バストーナメントJB TOP50第4戦”桧原湖”直前プレビュー。注目選手直撃インタビュー【スモールマウス王は誰だ?】



国内最高峰のバストーナメントJBTOP50/2017シリーズはすでに第3戦までを終了し、年間タイトルレースも佳境へと入ってきた。サバイバルレース必至の第4戦エバーグリーンカップ”桧原湖’を明日に控え、注目すべき選手のインタビューをお届けする。

第4戦はスモールマウスレイク「桧原湖」

国内最高峰トーナメントJBTOP50の2017シリーズも折り返し、いよいよ後半戦。

明日に迫った緒戦・第4戦の開催地は、福島・桧原湖。TOP50戦地の中では最北端の東北ラウンドとなり、ターゲットはスモールマウスバス。通常のラージマウス戦とはまた異なる試合展開が、予想される。

桧原湖戦会場となる早稲沢キャンプ場前、8月18日時点の画像。夏前に比べかなり水位は低いが、地元情報によればここからさらなる減水も予想されている。*なお観戦の際は、施設使用料として1日1000円が必要だ。

実力差が著しく出る桧原湖。釣れて当たり前、勝負はその先…

鬼形毅氏(以下、鬼形)「今季のこれまでの3試合はいわば『凌げる』試合だった。ラッキーパンチも通用した。しかし、ここからの2連戦は『凌げない』大事な試合。経験値の差が著しく出る。ここで芽を出す若手がいれば本物」。

こう語るのは、トーナメント解説者の鬼形毅氏。実に鋭い読みがそこにはある。

おにかた・たけし 当サイト及びルアーマガジン誌、そしてAbemaTVでもお馴染み、日本初のバストーナメント解説者。現役トーナメントプロならではの卓越した読みと軽快なトークが視聴者のツボを直撃中。レジットデザイン・ロッドエンジニア。

明日から始まる桧原湖戦に限って言えば、バッグリミットの5本は容易に揃うも、ウェイトアップが難しく、アベレージサイズの500〜600グラム級を5本揃えても、いわゆる『ただの人』。予選2日間を2500グラム+2500グラム=5キロを持ち込んでも、上位30位内に絞り込まれる最終日の決勝進出は難しい。ちなみに昨季の予選ボーダーライン上30位は5200グラムだった。

鬼形「例えば極端な話をすると、有名フラットでガチ勝負を挑んだ場合、上位と下位では3倍のウェイト差が付くとされるのがこの地。単に釣れるだけではなく、いかに大型と出会う術を持っているかカギ。果てしなく実力差が浮き彫りになる」。

2500グラム×3日間で上位を狙えたのも今は昔。かつての基準はもはや過去の遺物に過ぎない。近年、個体の大型化が囁かれるこの地で勝つには1日あたり4キロ、計12キロを下回ることはない。なお、昨季のウイニングウェイトは13キロ超という恐るべきスコアだったことも付け加えておく。

鬼形「強者は常に勝つ気で試合に挑んでいる。(第3戦まで)凌いだ結果、年間暫定順位がまずまずという気の緩みが微かにでもあれば、残り2戦で差し切られ来季のシード権(=年間30位)を得ることも難しくなるのではないか」。

年間順位を争うA.O.Y.(=アングラー・オブ・ザ・イヤー)レースもいよいよ正念場。1試合あたり稼げるポイントは優勝で60点、以下2位59点…と続く。単純計算では、桧原湖戦を終えた時点で暫定首位に60点以上の差があればA.O.Y.の座を獲得する夢は消える。はたして、どの選手が頂きに立つのだろうか、興味は尽きない。

それではいよいよ、鬼形氏が選ぶ桧原湖戦注目選手の発表だ。

鬼形「桧原湖メジャー戦3連覇中の五十嵐誠選手や、この地でA.O.Y.を勝ち獲り最高峰戦に昇格以来常勝の小森嗣彦選手らを挙げても、それは妥当過ぎる。期待値という思いも込めて3人を選んだ」。

まず1人目の選手とは…。

澳原潤、桧原湖5本5kg時代を予見するストロングマシーン!

筆頭に登場するのは、TOP50屈指のストロングゲーマー・澳原潤(おきはら・ひろし)選手。これまで上位入賞時にはフットボールジグにクランクベイト、そしてバルキーワームと常に強気の戦略が奏功。そのイメージから、よもやホームグラウンドはフィネス主流の桧原湖だとは思うまい。

おきはら・ひろし 1980年9月3日生まれ(37歳)、O型。栃木県出身。右投げ・Bait/Spinning左巻き。2011JB桧原湖A.O.Y.、2013TOP50第1戦早明浦ダム優勝。スポンサー:ゲーリーインターナショナル、ピュアフィッシングジャパン。2017TOP50ゼッケンNo.16。*第3戦終了時点、年間暫定41位。*画像は昨季DAY3。

鬼形「昨季の桧原湖戦、最終日に持ち込んだウェイトは4250グラム。ところが、これはリミットの5本ではなく4本(!?)、それもスモールマウスオンリー。仮に5本だったらおそらくスモール新記録だったのではないかと」。

今や5本で4キロもそう珍しくない桧原湖だが、昨季はそれをさらに上回る新時代の到来を匂わせたのが澳原潤選手。不運の1デッドながら決勝DAY3は単日1位のウェイトを持ち込み、予選5位から準優勝までジャンプアップを果たしたのは記憶に新しいところだ。

澳原潤選手(以下、澳原)「もう1本は1キロチョイ、1100くらい。あの時は一番軽い魚で960グラムだった」。

仮に1100グラムが追加されていれば『5250グラム』(!!)。スモール5本5キロ時代の到来か!? 恐るべし、澳原選手! 鬼形解説者が今回注目選手に選出した理由は「大型を探す術を知る選手」であること。単に場所の釣りでもなければ、使用ルアーの差でもない。

澳原「そうですね、場所は入れるかどうかということが気になるだけ。ルアーだってそう大差はない。ただ、タイミングと釣り方に”キモ”があるのは確かです」。

今や湖全域の地形を全選手が知り尽くす時代。かつてのように自身だけが知る沈み物など皆無に等しい。その”キモ”に関しては固く口を閉ざすが、今戦へ向けての戦略は存分に訊くことができた。

澳原「爆発力を見せるために、それなりの練習はしてきたつもりです。ホームの意地を見せたい!」。

TOP50昇格6年目、これまでに2度の準優勝を果たしたこの地、桧原湖。残すは頂点のみ。2013早明浦ダム戦以来となる通算2勝目も視野に入ったに違いない。



次世代強者の筆頭候補・高梨洋平。2年目のホーム戦で覚醒へ!!

次に登場する選手も同じく桧原湖がホームグラウンド。未だ表彰台経験はなく、知名度もそう高くはない。しかし、そのパフォーマンスはTOP50ベテラン選手からの視線が常に熱く『今後の要注目選手』と目されているのも事実だ。

たかなし・ようへい 1991年4月1日生まれ(26歳)、O型。福島県出身。右投げ・Bait/Spinning左巻き。2010JB桧原湖年間3位、11年間2位。スポンサー:モーリス、フラッシュユニオン、BPS(バンダイパワースポーツ)。2017TOP50ゼッケンNo.17。第3戦終了時点、年間暫定30位。*画像は一昨季開幕戦早明浦ダムDAY2。

鬼形「おそらく桧原湖を最も知り尽くしているのが彼。現場に至近の地元出身選手で、この地でプロガイド業を営み、過去にはJB桧原湖で幾度も年間上位を獲得している。昇格2年目のルーキーながら期待値は高く、今後要注目の存在」。

昇格初年度の昨季、ホーム桧原湖戦ではまさかの予選落ち。ホームの洗礼とはこの世界でよく言われることで、重圧がのしかかったのではないかとも囁かれた。

高梨洋平選手(以下、高梨)「いや、プレッシャーを感じたことは全然ないんです。試合ってホームだろうがアウェイだろうが、展開を作ることこそが難しい。桧原湖は持ち駒が多いだけに、もっと良い展開があるはずと釣れていないうちに動いてしまったのが敗因…。結果的に言えば、平常心ではなかったのかもしれません」。

手数の多さが時にマイナス方向に働くこともあるのだという。しかし、彼が注目されているのはホームにおける展開だけではない。

高梨「僕の場合、どの試合もプリプラで初めて訪れるようなフィールドばかり。試合当日には何かを感じて、即興でアジャストしていく。プラは地形と魚の濃さを確認するだけ。釣れた結果から試合で何かをやろうとか考えてはいないんです」。

昨季のTOP50デビュー戦早明浦ダムでは、奇策とも言えるディープクランクを駆使して連日5キロ超を叩き出し予選を首位通過。史上初となるルーキーデビュー戦優勝も期待されたが、最終日は非情のエンジントラブルで6位後退。この展開は大きな話題となった。

高梨「実は、ディープクランクをボトムノックで使ったのってあの時が初めてなんです。今季の開幕戦・遠賀川(9位入賞)では生まれて初めてフリッピングで魚を釣りました(笑)。僕は、練習でできたことしか試合でできないという考え方では強くなれないと思っています」。

現代5強の一角、青木大介選手や五十嵐誠選手を彷彿とさせる現場アジャスト能力を内に秘め、成長途上にある高梨選手。パズルのラストピースが埋まった時、圧倒的な力を発揮するであろうことを今からベテラン選手達は恐れているのだろう。

高梨「何も決めない。自分のスタイルを貫くだけ」。

今まさに、覚醒の準備はできたところだ。

未完の大器・長谷川太紀。スモールバッグ大記録ホルダー!!

ラストはこの選手。

2014年にマスターズ年間4位で昇格権利を得て、翌15年からTOP50に参戦。23歳とこのシリーズでは最若手の部類ながらも、3シーズン目を迎えている。前述の高梨選手同様、表彰台経験はまだないが「期待値込み」(鬼形解説者談)で直撃。

はせがわ・たいき 1994年7月27日生まれ(23歳)、O型。長野県出身。左右投げ・Bait/Spinning左巻き。2016全日本バスプロ選手権東日本準優勝ほか。スポンサー:ジャクソン、QUON、ボートハウス ラッシュ。2017TOP50ゼッケンNo.37。第3戦終了時点、年間暫定11位。*画像は昨季DAY2。

鬼形「私が参戦するJB 2ndカテゴリー・マスターズにもダブル参戦中。小手先に走らず、自分だけの釣り、そして練習を重ねていることが伺える。今後上位に行く要素は大きい。やはり昨季の2日目、彼がスモールマウスのみで叩き出した4870グラムは偉大」。

桧原湖でラージマウスとのミックスバッグで5キロを超えた例は過去に3例が存在するが、スモールマウスのみとなれば長谷川選手がレコードホルダー。5キロに限りなく近いその数字は、前述の澳原選手の例と同様に新時代到来の夢を抱かせる。

昨季は予選を約8キロ、暫定2位で通過。しかし、魔の最終日が待ち受けていた…。

長谷川太紀選手(以下、長谷川)「大型はいました。しかし、数は減っているのは明らかだった。少ない魚を確実に獲らなければいけなかった…」。

昨季桧原湖戦最終日、記者は長谷川艇に同船。前日は「釣っても釣っても全て800グラム以上。20本は釣った」という驚異的なパターン(!!)。しかし、この日は反応が薄い。さらには、船べりまで寄せた明らかなキッカーがフックアウト…それも2度。

長谷川「なぜバレたのか。あの後全てを検証しました。今、野尻湖でプロガイド業を営んで2年目。毎日釣りをしないと、見えてこないこともあるんです。桧原湖と同じスモールマウスを相手にあのミスを完全克服しました。もう2度と同じ過ちは繰り返さない」。

プリプラは7日間を予定していたが、5日目を終えた時点で終了。何かに開眼したに違いない。

長谷川「エリアの把握はできました。スモールを釣る動作に関しては普段から野尻湖で毎日やっているので、敢えて釣る必要はない。今年こそはイケます!!」。

昨季は13.5キロが優勝ライン。今季はさらに伸びるのか!?

では最後に、今戦注目の3選手はウイニング(=優勝)ウェイトをどう予想するのか?

澳原「12キロ。1日3500ベースで、あとはキッカーをどれだけ入れることができるかが勝負になると思う」。

高梨「去年より数が釣れているのは間違いない。うまくいけば1日5キロで、2日で10キロ。耐える日は3500と考えれば13〜14キロ」。

長谷川「4キロ×3日間。そのうちどこかでプラス1キロして、13〜14キロ」。

強気の若手陣に対して、思いの外、澳原選手は控えめなウェイトを挙げてきた。ただし、彼らの言葉が真意なのか、それともフェイクなのかは明日以降明らかになる。

今回は個体が大型化しつつあるスモールマウス寄りに話が終始したが、ここ桧原湖にもラージマウスは生息する。昨季こそラージとのミックスバッグを選択した選手が上位に名を連ねることはなかったが、今季は…はたして!?

TOP50第4戦桧原湖は明日6時30分、早稲沢キャンプ場をベースに勝負の幕があく!! 釣りPLUSでは明日、試合終了直後に現地からDAY1速報をお届けする予定だ。

【大会会場等の詳細はJBNBC公式サイト・NBCNEWSでご確認ください】


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