菊元俊文直伝Q&A! 強風時に”巻き物ルアー”が効く理由【バス釣り初心者必読|特選一刀両断】



ルアーマガジン本誌で最長期連載を誇る「菊元俊文のQ&A一刀両断」コーナーから、選り抜きの名回答をお届け。バス釣りの初心者にピッタリな、クエスチョンを一刀両断!今回は「なぜ、強風時に巻き物ルアーが釣れると言われるのか」について解説します。

風が強い時は巻き物ルアー・ファーストムービングルアーが釣れる!?

<きくもと・としふみ>’97初代JBワールドシリーズチャンピオン。元祖ビッグベイターにしてジグ番長の通り名でも知られるプロフェッショナルアングラー。エバーグリーンインターナショナルで、タックル開発やプロスタッフを統括するプロデューサーとしても活躍。

Q.強風時に巻き物ルアーが釣れると言われますが本当ですか?
A.風が強い時は、積極的に巻き物ルアーを使うことが釣果アップのコツ。

「強風時に巻き物(ファーストムービングルアー)系がイイか?」と聞かれれば、単純にイイと答えるのは簡単です。

でも、やはりそれには理由があります。言い換えると強風時にはワーム、ジグなどはやりにくいです。特にノーシンカーリグを始めとする軽いリグは横風に弱く、風でラインが引っ張られて流され、ボトムを取ることさえ困難です。

強風時にライトリグやスモールラバージグなどを使うと、風によってラインが流されやすくなる。その影響でルアーの動きやバスのバイト(アタリ)が分かりにくくなってしまう。

言わば「何をやっているか分からん状態になりがちです。背中からの順風や真正面からの逆風でのポジションではその限りではありませんが、横からの風はラインを半円状の弧にスラック(糸ふけ)を作るため、アタリ〜フッキングのパワーロスも出やすいです。

強風時の釣り全般に言えるコツとして、自分の立ち位置に対して、風がどの方向から吹いているかを意識しよう。一番やっかいなのは横からの風になるので、立ち位置や投げる方向などを変えて対処することが大事だ。

それに比べ巻き物は巻いている限り、常にラインテンションがかかるため「アタリが取りやすい」「ボトムや障害物へのコンタクトを感じやすい」「合わせが効きやすい」などのメリットがあります。これが、強風時には巻き物ルアーが強いと言われる、物理的な最大の理由だと僕は思っています。

格言「風が吹いたらスピナーベイト」のワケ

さらに、極端に水温を下げる真冬の強風などを除き、風はバスの活性を上げてくれるので、巻き物などの早いスピードのルアーに反応しやすくなります。

昔から「風が吹いたらスピナーベイト」と言われるように、ショアライン(岸沿い)に吹き付ける風は水中の溶存酸素を増やし、ベイトフィッシュをショアラインに打ち寄せ、それを狙うバスの活性を上げます。また、風が適度な濁りを生み、表層が波立つことによりアングラーに対するバスの警戒心が薄まります。

そんな状況でスピナーベイトの持つフラッシングとバイブレーションが効果的なことを表した言葉が、「風が吹いたらスピナーベイト」と言う表現になったのだと思います。

風が岸方向へ吹きつけると、波や適度な濁りが岸際に発生する。それによってバスの活性上昇や警戒心の低下につながり、巻き物ルアーがより効果を発揮しやすくなる。

スピナーベイトはいわゆる「強いパワーとアピール」を持った巻き物ルアーですが、他の巻き物も同様に風がアングラーに味方してくれることは多いです。風がバスの活性を上げてくれるので、丁寧に撃ったり、じっくり探るワームやラバージグの釣りに比べ、より効率的かつスピーディーに広範囲でバスを釣っていくことが巻き物では可能です。

クランクベイトなども、動きが素晴らしいけど重量が軽く投げにくいモノより、重心移動のコンバットクランクシリーズのようなカッ飛び性能を備えたモノの方が強風下ではストレスなく使え、アキュラシー(キャストの正確さ)も決まりやすいのでおススメです。

風が強い時は、追い風以外では当然ルアーは飛ばしづらくなる。そんな時は、重心移動システムを搭載したルアーを選ぶことで、飛距離低下やキャストコントロールの乱れを防ごう。

バイブレーションやメタルバイブも強風下では同様の理由でおススメです。



冬場でも風はプラス要素になる

僕の経験上、冬でも雲一つない晴天無風の暖かい日は意外と苦戦します。釣りの障害となるあまりにも強い風はダメですが、適度な風はやはりバスのフィーディングのきっかけとなったり、逆にずっと強風での状況下での一瞬の風止みも、同様のタイミングになることが多いです。

ちなみに冬場は朝イチがフィーディングタイムになることが意外と多く、食い気があるヤツがいることが多いので、僕は冬でも巻き物ルアーから釣りに入ることが多いです。これは無風でもいいです。冷えていた体も暖まり、いいウォーミングアップになってちょうどよいのです。

この記事はルアーマガジン2012年1月号掲載の内容を元に再編集しています。

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