至高の日本淡水魚”オヤニラミ”を飼うための水槽選び【釣った、採った!で魚を飼ったり育てたり。アクアリウム奮闘記#02】



「アクアリウム」という趣味に目覚めハマりまくっているルアマガファミリー・フカポンがお届けする連載企画「釣った、採った!で魚を飼ったり育てたり。アクアリウム奮闘記」。第2回は、ブラックバスの親戚「オヤニラミ」を飼うことを前提とした初心者のための水槽の選び方について、自らのしくじり体験も含めて振り返る。

飼って楽しい日本淡水魚、オヤニラミ&タナゴ類

釣ったり、採ったりしたサカナを飼ってみようかな〜と思い始めた皆さまコンニチワ。HFE(Hyper Fishing Editor:自称)のフカポンです。今回は、そんな諸兄向けの記事を書いてみようかと思います。

日本のフィールドにいるサカナで飼いやすく、飼育していても楽しい淡水魚って何かと聞かれたら小生ならばオヤニラミとタナゴ類と答えます。オヤニラミに関しては、前回連載でもバス好きの方の琴線に触れるのではないかと軽く紹介させていただいた、スズキ目の淡水魚でブラックバスの親戚でもあります。

オヤニラミは日本の淡水魚。詳しくは下の囲みをご一読くださいませ。飼ってわかることも多々ある。

[現在、関東北部あたりを北限に定着しているスズキ目の日本淡水魚「オヤニラミ」。絶滅危惧種として指定されており、一部県(や地域)では天然記念物として指定されています(京都府・徳島県など)。ちなみに滋賀県と愛知県などでは指定外来種(外来といっても地域にとってはという注釈になります)になっており、採捕後の放流はNG、飼育も届け出が必要だったりといろいろと規則がありますので飼育の際は各自が確認してください。ある場所では保護されて、ある場所では要注意とされ…。そういったややこしいところ以外では、特に飼育するのにも問題ありませんし、捕獲も言わずもがな。そして販売もされています(肩書の絶滅危惧種という割にはそんな珍しい魚ではありません)が、心得として種類を問わず「飼い始めた魚は死ぬまで野外には放流しない」。これがアクアリウムの鉄の掟です。あと、個人的にですが日本淡水魚はブリードされている種以外、ショップでは買わない!これもオススメしたい自分ルールです]

タナゴ類については語りだすと熱くなって軽く論文級になっちまうので、今回は抑えます。まぁ、このタナゴ類は日本に18種類ほど定着していまして、その全てを愛でたい(天然記念物種は見るだけ)。というポケモン的要素があるんですよね…。で、僕はですね! ゼニタナゴをぜひ……。やばい、控えます。

中央のはヤリタナゴという種類。この魚も一部地域では天然記念物に指定されています。が、割にポピュラーな種です。婚姻期はとてもカラフルになります。タナゴはこの婚姻色を見て楽しむのが最高な淡水魚。飼うと強いのでアクアリウム初心者にはうってつけ。
婚姻色が出ていないと、フナっぽいですがそれでもほんのりオレンジがふつくしいヤリタナゴ♡

ということで戻りまして、小生のオヤニラミ飼育奮戦記から、少しづつ日本淡水魚アクアリウムの道に皆さまをご案内したいと思います。

豆粒ほどのオヤニラミを手に入れて、最初に購入した小型の30cm水槽は失敗だった件

さて、近所の水路ガサガサ(タモ網でサカナを採る手法)で手に入れたオヤニラミは豆粒ほどでした。採取したときは嬉しさのあまり悲鳴のような叫び声を挙げたのを今でも覚えております。

実はこの採集に出かける前に、採れることを期待して既に水槽を購入しておりました。

「GEX」というアクアリスト御用達のメーカーで、そうですね、釣具ブランドで例えるとDAIWAさんに当たるんでしょうか。ホームセンターなどでも取り扱いの多いメーカーなのですが、そちらで販売されている「サイレントフィット300」という幅31cm☓奥行き16cm☓高さ24cmの水槽を購入したのであります。

豆粒ほどのオヤニラミ。最初に採取した個体です。セットの小さい水槽に最初は「麦飯石」と呼ばれる砂利と、偽物の水草をセットして飼い始めてみました。「麦飯石」のチョイスは結果的にGOOD! 偽物の水草は「BAD!」でした。

表題にて失敗だったと書いたのは製品のクオリティ云々ではなく、アクアリウムを始めるにあたって最初に買う(飼う)べき水槽のサイズではなかったということに後になって気付きました。水槽って、実はある程度の大きさがあるほうが初心者アクアリストには優しいんですよね。小生はいきなり飼育難度の高い入り方をしてしまったのです。

オヤニラミを飼う? 失敗からアドバイス。本格的にやるなら60cm規格水槽。ちょっとかじりたいなら30cmキューブ水槽。

「よーし、パパ、水槽で魚を飼っちゃうぞ!」と一念発起し、リビングのインテリアとして捉えるならオススメの水槽サイズは間違いなく60cm規格水槽です。60cm規格水槽とは60cm幅×30cm奥行き×36cm高さのサイズの水槽のことで、一番需要も多いことから最もコスパの高い水槽サイズになっています。水槽に付随する機器も60cmを基準にしていることが多く、メンテもパワーアップもしやすいのです。バス釣りのロッドに例えるなら8フィート6インチ・レギュラーテーパーでパワーはMといったところでしょうか。

60cmの規格水槽を導入し、嫁の留守中に自分の部屋に運び込む準備をしている際のワンカット。うちの猫が「黙っている代わりにネチョ飯を要求するニャ」と交渉してきた。

なおかつ、このサイズの水槽は買ったら必要な機器が揃っているセット物が豊富にラインナップされています。

たとえばこんなの。↓↓ 細かいこと言い始めると1セットで1記事書けちゃうので控えます。こんなのがあるというのを覚えておいてください。

グラスアクアリウム GA-60シリーズ[テトラ]

アクアリウムを嗜むものにとっては御用達のメーカーさん。特にろ過器のお世話になることが多いですね。ドイツに本社があり、同じくろ過器メーカーとして定評のある「エーハイム」とならんで有名です。エーハイムさんもドイツです。※こちらは幅60cm☓奥行き30cm☓高さ40cmの水槽になります。

グラステリア600 6点セット[GEX]

GEXは日本のアクアリウムメーカー。釣具ブランドに例えるとDAIWAさんかな? ほぼアクアリウムを嗜むのに必要なものが大物、小物含めてラインナップされています。アクアリウムの総合メーカーと言えるでしょう。

ただですね。正直この60cm規格水槽から入るのは「よし!やってみるぜ!」と少々気合の入ったヒト向けです。「あ、そこまでガチじゃなくていいんでほかないの? ちょっとかじってみたいだけなんだけどなぁ」的な人にオススメしたいのは、30cm☓30cm☓30cmサイズのいわゆる30cmキューブ水槽です。

30cmキューブ水槽ってこんなの ↓

グラステリアLX300[GEX]

これは左右背面に予め黒いスクリーンを貼り付けたキューブ水槽で、お魚や水草などを入れたときに映えます。いろいろやってわかったんですが、オヤニラミにしろ、タナゴにしろ暗色系の背景なり底石だと、色が出やすいんですよね。なのでコイツはオススメなんですよ。

クリスタルキューブ300 [コトブキ]

コトブキという会社は日本の老舗アクアリウム機材メーカーのひとつ。この水槽の魅力は、価格が超絶安いこと。ルアー1個分+αくらいで購入できます。小生もひとつ持っていますが、必要十分のクオリティです。あと、たとえばタナゴ類を種類別に飼いたいなんて人には、コレをいくつも揃えていくなんてのも楽しいと思います。安くアクアリウム始めたい人にはオススメ。

まぁ、あとはADA(アクアデザインアマノ)と呼ばれる、そうですね車ブランドで例えるとレクサスみたいなイメージのメーカーさんがございまして、こちらは通販で買えないのですよ。販売店となるアクアリウムショップに出向いて手に入れるしかございません。

こちらのキューブ水槽も(60cm規格水槽も)オススメです。何が違うって?うーん、まぁカメラのレンズみたいなもんで、ガラスの透明度が良く美しいと言われております。小生もADAの水槽は3本持っておりお気に入りですが、ちょいとお高いのと(水槽にしては)強度に難がある点から、最初の1本として運用するには少し気合いが必要かなと考えております。ブランドイメージについてはホームページなどをご覧いただけるとわかるかと思いますよ。いや、1本だけとりあえず水槽を導入したい。しかも本格的なヤツ!というお方にはオススメなメーカーでもあります。所有欲も満たされる系な感じで。



あ、なんで60cm規格水槽か、30cmキューブ水槽がいいのかって書き忘れてた

アクアリウムの主役であるサカナを長く健康に生きながらえさせて、水槽という箱庭で育てるということを考えたとき、飼っている我々も楽しくなくてはいけません。そのためにはやっぱりある程度大きな水槽のほうが楽しいのですよ。オヤニラミは小型の淡水魚ですが、肉食なので小さい水槽より大きな水槽のほうがいいんですよね。後々、他の魚との混泳を考えるならなおさらです。

あと、サカナの健康を考えたとき、水槽の水量というのが非常に大事になってきます。基本的にろ過器を設置はするのですが、ろ過器の機能より、水槽サイズ、水量、レイアウトにより水槽全体のろ過能力が変わってきます。ろ過器はあくまで水を動かし、ちょっとろ過能力の高い仕組みを集中させている循環器に過ぎません。水質を安定させるには「水量」と「水槽の底面積」が大事です(底面にセットする砂利や砂はろ過能力をアップさせるのです)。

[この理屈がわかると三面護岸ののっぺらな水路がどーして生物の生育に不適切なのかがよーく理解できますぞ]

紹介した60cm規格水槽はろ過器と組み合わせると比較的バランスの良い水槽環境を作り出すのが容易です。30cmキューブ水槽はコンパクトながら水量が割に確保でき、底面積を確保できるので、同じく水槽環境を安定させやすい側面があります。

[60cm規格水槽なら約65L、30cmキューブ水槽なら27L]

30cmキューブ水槽がビギナー向けという見解には異を唱えるベテランアクアリストもいるかもしれませんが、こと「オヤニラミ」を1尾なら寿命まで可不可なく育てることができると思います。あと、外掛けフィルターというメンテナンスが楽なろ過器で運用可能なので、低コストで始められるんですよね。

オートワンタッチフィルター AT-50[テトラ]

30cmキューブ水槽には少しだけ大きめのフィルターをということでこいつをチョイス。水槽にひっかけるだけ、コンセントオンするだけで運用可能、メンテも楽。ってことでこちらを。メンテナンスも楽ですよ〜。

ということで、本日の独断と偏見による「オヤニラミ」のために導入すべき水槽論について書かせていただきました。で、このタイプなら魚の数を増やしていっても運用次第ではどうにでもなる汎用性があるんですよ。

あ、そうだ。オヤニラミは混泳や複数尾飼育は向かないというのが一般的な情報ですが、混泳も複数尾飼育もウデ次第です。ただ60cmや30cm水槽で2尾飼育というのは辞めときましょう。同じサイズの個体なら3尾以上がオススメ。僕は現在3尾の稚魚サイズを30cmクラスの水槽で同時飼育している以外は、水槽につき1尾というVIP待遇で育てている魚でもあります(他魚種混泳はしてますよ)。

ということで次回連載をお楽しみに。次は水槽のスタートアップについて! 購入予定の水槽は決めておいてくださいよ!

続きはコチラ

[ルアマガ+]関連記事