村越正海シーバス釣行記:10年ぶりの秋田県、子吉川・雄物川遠征



酷暑となった2018年の夏。『ルアーマガジン・ソルト』編集長・ナカガワは、少しでも清涼感のある釣りをするために、マルチアングラー・村越正海氏とともに秋田県へと遠征。ここ数年、雄物川がメディアに登場する頻度が高まっているが、氏がシーバスで訪れるのは、意外にも10年ぶりという。3日間という限られた時間の中で、職業釣り師・村越正海は果たして夏のリバーシーバスをどのように攻略するのだろか?

村越正海(むらこし・せいかい)/DAIWAアドバイザリースタッフ。セイカイコレクション代表。釣り番組「Theフィッシング」への出演をきっかけに、その知名度が全国区となる。ルアーフィッシングはもちろん、エサ釣りなどあらゆる釣りに精通するマルチアングラー。

初日。日中はロッドを一切振らず、下見&釣り場の確認!

秋田空港に到着し、まずは県南部を流れる子吉川を目指す。10年前のおぼろげな記憶を頼りに、川の蛇行部や合流点、水門などをチェックしていく。

「まぁ、何度も一緒に釣行しているから分かると思うけど、まずは下見。これが重要。下見で竿を出してしまうと釣りに集中してしまって、ポイントを見て回れなくなり効率が落ちる。初日にどれだけ有望なポイントを確保できるかが、その後の展開に大きく影響する」

秋田空港から南下し、子吉川の下流域へ。車で約1時間ほど。宿泊場所は秋田市内に設定。雄物川と比べると、子吉川の規模は小さめ。だからこそ、ポイントが絞り込みやすいとも言える。

子吉川を下見した結果、最初のポイントとして選んだのが、河口から12kmの地点。2本の子吉川が合流する場所だ。夕(ゆう)マヅメのタイミングに合わせて、準備を開始する。なぜ、この場所を最初に入るポイントとして選んだのか?

「合流部分は流れが複雑になる。ここは、ちょうどいい瀬ができていて、もしいればアユも溜まりそうな場所。それを狙って、河口から入ってきたシーバスも溜まっているんじゃないか、という仮定だよね」

子吉川を下見した結果、河口から約12kmほど上流のポイントから実釣をスタート。ベイトとして想定しているアユの姿も見たいところだが…。

そう言いながら、最初に選んだルアーはT.D.ポッパーZERO。いきなり、現行品ではなくデッドストック…。メーカーの看板を背負ったアングラーで、迷いなく廃盤ルアーを選ぶのは、村越さん意外に知らない。

「いや~、最近のルアーの入れ替わりの激しさには、なかなかついていけないんだよねぇ。使い慣れたと思ったら、いつの間にかカタログから消えてたり…。だから、ついつい使い慣れたルアーを選んじゃう」

で、でも、そのT.D.ポッパーZEROって15年以上前のルアーじゃないですか? さすがに、DAIWAのシーバス担当の方の顔が引きつるんじゃないですかね…。

「ま、いいじゃない、そんなことは。使いたいルアーを使う、それだけ!」

●ロッド:モアザンAGS 92L ウェーディングコマンダー ●リール:イグジストLT3000S-C ●ライン:モアザン8ブレイド0.8号 ●リーダー:フロロカーボン16lbテスト ●ルアー:T.D.ポッパーZERO

こんなやり取りも、毎回のこと。ちなみに、この辺のルアーの詳細は、村越さんのブログのネタにもなっているので、ご興味のある方は下記リンクより、どうぞ。

開始早々、ミノーで1尾目をキャッチ! 「おぉ、これは、期待できそう…」

T.D.ポッパーZEROで、川岸の深みをチェック。ひと通り探ってみるが反応がないため、次はミノーに交換。これまた、デッドストックのシルバークリークミノーII 7cmフローティング。ん~、徹底しているなぁ…。

「おっ! キタよ! おお、やっぱコレ、よく釣れるよ!」

初日の夕マヅメは、子吉川の河口から約12km上流のポイントに入った。開始早々、シーバスがヒット。小ぶりながらも、ナイスファイトで楽しませてくれる。

い、いや、デッドストックのルアーをそんなに褒めなくても…。それはともかく、実釣開始早々に結果を得られたのは、大きな収穫だ。ただ過去に、村越さんも弊誌連載コラム『正海に訊け!』のテーマとして取り上げたこともあるように、実釣取材の最初にサクッと釣れると、その後が苦労するというジンクスもある。実際、このジンクスに何度も苦しめられてきた。

ヒットルアーはシルバークリークミノーⅡ7cmフローティング(DAIWA)。村越さんが、リバーシーバスで好んで使う、過去の名作トラウト用ミノーだ。

「いや、それはネガティブ過ぎるでしょ。子吉川の河口から12kmの地点までシーバスが入ってきているわけだから、ここから下流のポイント全てでチャンスはある。そう考えると、希望が持てる。下見で、いくつか有望なポイントは見つけてあるから。」

初日は、夜中まで実釣するも、キャッチできたのは最初の1尾のみとなった。しかし、ランカーサイズのバラシがあり、明日への大きなヒントを掴むことができたのだが…。

この後、下流へと移動して夜中まで実釣を続けるが、結果から言うと1バイト0キャッチ。ただ、その1バイトがスゴかった。

「多分、あれは80cmはあったんじゃないかなぁ。例の、シルバークリークミノーⅡだったんだけど、エラ洗いでバレたんだよなぁ。アップストリームで投げてたから、ラインのたるみでフッキングが甘かったのかもしれない…。でも、このヒントの価値は大きいよ! 明日は、子吉川で勝負で決まりだな」

確かに、様子見半分の初日としては、上出来なほどの結果である。しかし2日目、この上出来な結果に苦しめられることになる…。



えっ…!? あれほど雰囲気の良かった子吉川が完全沈黙!? 苦難の2日目

初日、秋田市内のホテルに戻ったのが午前1時頃。そして、2日目の始動は午前5時。子吉川は午後から攻めるとして、午前中は雄物川の最下流域のチェックに充てることに。

「万が一、子吉川がダメだった場合に備えて、雄物川も見ておきたい。保険だね。でも、初日の感じだと、子吉川で十分釣果は出そうだけど。雄物川での下見がひと通り終わったら、昼寝をはさんで午後は子吉川をしっかりとやろう。特に、80をバラしたあのポイントで夕マヅメを迎えたい。あそこは期待できるよ」

そう、雄物川は万が一のときのための保険、だったのだが…。夕マヅメから子吉川の状況が一変し、初日とは打って変わって完全に沈黙するのだ。

「いや~、まいったね…。子吉川はもう見切った方がいい。残り時間も短いし」

じゃあ、2日目の夜~帰るまで、雄物川でやり切るつもりですか?

「そうだね、それしかない!」

そして、この判断が奏功し、釣果を追加することに成功する。雄物川での釣果は、現在発売中の『ルアーマガジン・ソルト2018年10月号』に掲載中なので、ご興味のある方はぜひ(宣伝でスミマセン…)。

そして、実釣終了後…。

「あ、そうだ。ウチの倉庫を整理してたら偶然、いいモノ発見したら持ってきたよ。はい、どうぞ」

現行ロゴもかっこいいんですが、旧ロゴも味わい深くていいですね。(忖度で)画像を小さめでお届けしております。ご了承ください。

おおっ、こ、これはダイワの旧ロゴ! ん~、懐かしい!
ルアーだけでなく、ワッペンまでデッドストックものとは、恐れ入りました! 

〈了〉

『ルアーマガジン・ソルト2018年10月号』では、村越正海さんの釣行記事「職業釣り師の真実:ツラくて楽しい真夏のリバーシーバス」を掲載。本釣行取材の経過と釣果について詳しくとり上げている。

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