「乗り手が限られるF1マシンより、誰もが楽しめるスポーティな市販車を!」 メイド・イン・ジャパンにこだわり、ハイクオリティなロッドを多数ラインナップする老舗メーカー・テンリュウが、激戦区とも言えるアジング・メバリング等のライトゲームカテゴリーに対し、この秋装いも新たに投入するラインナップが『ルナキア』だ。
アジングにも対応する『ルナキア』は新世代のライトゲームロッド
このルナキア、実は今回が3代目となるフルモデルチェンジで、初代の登場は2006年。もう12年前のことになる。当時はメバリングロッドとしてカテゴライズされていたが、カサゴやソイなど気軽に釣れるライトターゲット全般も含め、多くの魚種に対応していた。
というのも、2006年の時点では現在のようにルアーで釣る対象魚種が細かくジャンル分けされておらず、メバルは当時からルアー対象魚として確立されていたものの、只今人気沸騰中のアジについてはルアーの対象魚ですらなかった。もちろん「アジング」という言葉も存在していない時代である。
しかし、時代は巡り巡ってはや12年。ご存知のようにライトゲームカテゴリーも魚種別に細分化され、それに応えるように最新素材、最新技術を余すことなく投入したロッドが次々と発売されている。そしてこのルナキアも、テンリュウ独自の最新鋭マテリアル&テクノロジーをふんだんに盛り込んだ、新世代のライトゲームカテゴリーロッドに仕上がっている。
ブランクはカーボンナノチューブ素材で強化&軽量化
その代表的な一例が、ブランクのバット部分に用いられている「C・N・T(カーボンナノチューブ素材)」。通常、ブランクの素材となるカーボン製プリプレグは、カーボン繊維をレジン(樹脂)で固める形で造られる。
ところがこのレジン、強化を目的に多く使い過ぎると重くなってしまい、ロッドアクションもダルついたものになってしまう。そこでC・N・T粒子をカーボン繊維とレジンとの間に散りばめることで、カーボン繊維間の結びつきが強化。これによりブランクの剥離を抑制し、ネバリ強度もアップ。レジン使用量の削減にもつながり、軽量化にも成功しているのだ。
「楽しい使用感」を目指し、ルナキア初のソリッドティップ採用モデルが登場
ティップはLK582S-LSとLK632S-LMLSの2本にソリッドティップを採用。実は歴代ルナキアを含めてソリッドティップは初採用なのだが、現代のソリッドティップの主流である高弾性のカリカリ仕様は敢えて敬遠。中弾性でしなやかに曲がる仕様を選択した。
これは「テンリュウが目指すロッドアクションとは何か?」について開発陣であらためて議論した際に、絶対的な性能よりもアングラーが使っていて楽しいと思えるかどうかという、ある種の”感性”の部分を優先した結果だという。
開発を担当したテスターの蔵野雅章氏曰く「クルマに例えるなら、乗り手が限られるF1マシンを作るのではなく、誰でも楽しめるスポーティな市販車を作るべき」 この言葉こそ、ルナキアを表現するには最適と言えるだろう。
歴代ルナキアで培ってきたチューブラーティップモデルも
そしてもう1本のLK6102S-MLTはチューブラーティップを採用しているが、この部分に導入されているのが、2代目モデルより継承する「マグナフレックス製法」。弾性率の異なるカーボン製プリプレグをともに巻き込んでからブランクとして形成(窯で焼く)するため、つなぎ目がないに等しい、しなやかな曲がりが堪能できる。ソリッドティップとチューブラーティップ、構造こそ異なるが目指す方向性は共通していると言えるだろう。
ガイドは全モデルでチタンフレーム&SiC-Sリングを使用
ガイドは全モデルにチタンフレーム&SiC-Sリングの超軽量仕様を搭載。ソリッドティップの2モデルにはバット部分にATガイド(写真左)を選択し、さらなる軽量化を追求。その結果、フロロカーボンやエステルなどのモノフィラメント系ラインの方が、トラブルなく使いやすくなっている。
一方のチューブラーモデルはすべてKガイド仕様(写真右)で、PEを含めたあらゆる素材のラインに対応している。
カーボン繊維で編まれた西陣織が織りなす日本文化の美
さらに特筆すべきは、メイド・イン・ジャパンらしさをより強調している「西陣織」が施されたフォアグリップ&リールシート。ご存知の方も多いだろうが、西陣織とは京都の西陣が発祥となる、平安時代より代々続く綿織物の最高級品だ。
「西陣織とルアーロッドに一体どんな関係が?」と思う方々も多いだろう。実はカーボン繊維を使って西陣織を製作する工房があり、さらにテンリュウ独自の技術を駆使することでロッドパーツ化に成功。直接手に触れる部分に採用することで、古(いにしえ)からの日本文化の継承と唯一無二の所有感を演出してくれる。それと同時に一般的な樹脂製リールシートよりも硬く軽いため、感度アップにも貢献しているという。
第1弾で登場する3本はジグ単にうってつけ、第2弾にはロングレングスモデルも
ジョイント部については、開発時にインロー継ぎにもトライしてみたが、パーツをひとつ余分に作らなければならず、加えてその分重量が増えてしまう。これらデメリットも考慮して、逆並み継ぎ式のオーバープットフェルールを採用。リールを付けた状態で竿先が持ち重りすることなく手元に重心が集中するので、操作性&感度もアップしている。
まずは今秋に登場する3本、ジグヘッド+ワームの”ジグ単”を使いこなすには最適のモデルで、ソリッドティップモデル2本はアジング、そしてチューブラーティップモデルはメバリングをそれぞれフィーチャー。晩秋~冬を迎えるこれからの季節にこそ、ぜひ使ってほしいシリーズと言える。
なお、第2弾として7フィートと8フィートのロングレングスモデル2本も鋭意テスト中。こちらは重めのキャロライナリグやフロートリグ、メタルジグなどを使っての広範囲サーチに適したモデルだ。来春発売の予定につき、もう少々お待ちを。