道具を買う前に知るフライロッド入門【どちゃくそ簡単フライフィッシング#02】



趣味…。探しているんです。なら釣りをやりましょ。で、なんならフライフィッシングを始めましょ! だって、フライフィッシングってどちゃくそ簡単だから〜。「僕は未だに信じていませんよ。フライフィッシングが簡単だなんて…」。この連載を読んだ同僚後輩に言われましたが、断言します。やっぱり、この釣り簡単デス。その理由と共にビギナーのための講座として始めた当連載。さぁ、まずは、この趣味の一生の相棒となるロッドの話をしましょう!



フライロッドの基本講座

フライロッドの構造はシンプル! まずリールを装着するための治具が配置されているリールシート。手を添えるためのグリップ。これはだいたいコルクですね。EVAと呼ばれる素材を使ったフライロッドはほとんどありません(無いわけじゃないっすよ)。理由は映えないから。映え、映えって頭悪い感じですが、まぁ、そうなんですよ…。で、ブランク。ブランクってのはロッドの本体。だいたいカーボンかグラスファイバー製です。また、竹製なのに恐ろしく値が張るものもあります。

見てくださいリールを固定する治具を…。最もシンプルな部類のものですが、この雑さですよ!?

そして、ガイドが装着されています。ロッドを軽くしたり、フライラインという特殊なラインを保持するという理由から、スネークガイド(チタンやステンレスの針金みたいなガイド)が根本側の一部以外に採用されています。このあたりはルアーロッドとの差異でしょうか。根本ガイド(ストリッピング)はSiC(丈夫で摩擦抵抗の無い定番素材)のガイドが採用されていたりなかったり。まぁ、ガイドの話はたいして重要でありませんので、深く考えなくていいです。諸々、限りではありませんので、不要なツッコミはノーサンキューです(笑)。

フライロッドにはゴルフクラブのように番手があります。

そして、ここからが重要かもしれません。フライロッドはその扱えるラインの重さがどれくらいなのかという指標としてのナンバリングが存在します。#1だとか#4だとか、そんな感じですね。ざっくり#0〜#15くらいまで存在しています。#0が最も軽くて、ナンバリングが増えるに従って大物用(正確には大きくて空気抵抗のあるフライを投げられる)だと思ってください。で、日本の本州以北、小、中渓流には#4以下のナンバリングがされているロッドが適しています。

このロッドは#3で長さが7ft6incになります。まるで囲っている部分ですね。3 wt lineと書いておりますよね。これつまり#3と同義。そして、3番と規格されている重量のラインを使うのに適していますよ。という意味。だいたい前後#1番の規格のラインは使用できる。これなら#2〜4は扱えますな!

今後の話の展開を楽にするために、この数字はロッドの硬さではなく、ロッドが扱える適正ライン重量の目安だと覚えてください。

なんで、こんなことを言ってるかというと、ロッドの対になるフライラインの存在があるからなんですね。ラインについてはまた別けてお話しますが、ロッドに番手があるように、対応するライン番手がフライフィッシングにはあったりします。まぁ、どっちかというとロッドよりも、使用するラインを軸に使うロッドが決まってくる釣りなんです。





購入すべき番手とフライロッドの長さについて

ぐわっ、と、凝縮すると、日本の渓流では#4前後のナンバリングのロッドを、まず購入することをお勧めします。ヤマメやイワナを上流部でメインに狙いたいという方は#3を買いましょう。ちょっと広々とした中渓流で気持ちよく釣りたいというかたは#4を。近所の川でオイカワやカワムツをまずは釣ってみたいという人は#2以下を。渓流釣りのどれもこれもやってみたいという人は、汎用性を意識して#4のロッドを選んでくださいね。北海道の人は…#5いっときますか?

このロッドは先の連載に挙げたオービスのロッド。6ft6incで2番という仕様。これだと最奥の源流のイワナもしくは、オイカワやカワムツ狙いに適しています。でも50cmのレインボートラウトが来てもヘッチャラです。

長さは釣る渓流の規模に併せましょうと、普通の入門書には書かれていると思います…。が、間違っちゃいなんですが、ここは言い切りましょう。#3以下ならば7ft6inc以下を。#4ならば8ft6inc以下を。できれば8ft以下を選んでください。

半径15m以内の絶対領域(HUNTER☓HUNTE◯含み)

これを知っておけば後が楽なので、ちょっとめんどくさいかもしれませんが、算数をしながら話を進めますね。

えっと、内緒ですよ。フライフィッシングには、どんな釣り(疑似餌)でも敵わない魔法のキャスティングレンジがあります。これがあるから、この釣りは簡単なんです。

この魔法のキャスティングレンジは、自分を中心にした半径15mのこと指します。これをフライでは「皇帝の為の絶対領域=THE Emperor Field」と呼んでます。嘘です。そんな中二病丸出しの名前はないですし、どの文献でもそんな話はないでしょう。ただ、わかりやすくコントロールフィールドと呼びましょうか。

ただ、この15mという距離を制圧できれば、渓流での魚釣りは成立します。ボッコボコのボコです。この距離を越えて魚を狙わなければならないケースが出てきた場合に、初めてキャスティングのテクニックが必要になってきます。

このフライフィッシャーマンはおそらく奥の流れ込み、壁際を狙っていたはず。せいぜい立ち位置より12m前後の距離だと推測できます。で、ごらんの通り。

先に列挙したロッドの長さですが1ftが約30.4cm。オススメしたいロッドの長さが7ft6incから8ft。わかりやすく8ftとしましょう。8ftは2m43cm。これの倍が4m46cm。そうですね、これにさらに2m43cm足しましょうか。約6m89cm。これに14ft足しましょう。約4m30cmですから合計11.90m。

雑な絵ですいません! 出版社なのに雑って言われちゃうぅ! しかも、最初、算数間違ってるし。まぁ、そんな細かい数字は関係なしw ニュアンスです。

何を言ってるんだって? いま計算した流さは、どなたでも確実に8ftのロッドを使った時に扱えるラインの長さであり、魚を狙える距離の長さであり範囲です。これをフライでは「女王の演舞場=Queen’s dance hall」と呼びます。…これも嘘です。ただ、便宜上、マイフィールドと呼びましょう。

連載内でいずれ解説しますが、フライのラインシステムは、重量物である「フライライン」+毛鉤を魚が食いつくように落とすための「テーパードリーダー」+ハリスに相当する「ティペット」、その先に主役である毛鉤を結びます。これがフライのラインシステムです。

で、これも詳しくは次号以降に掲載しますが、ロッドをフライラインの重量で曲げて、ムチのようにラインを前に運ぶんで、その重さを得るために竿の長さ☓2本分のラインを出してみました。

なんとなくわかるかもしれませんが、使用するロッドの長さが長ければ長いほど、このマイフィールドは長くなります。じゃぁ、長くとやってしまうと、フライフィッシングの小回りの良さをスポイルしますので、先に挙げた長さぐらいのロッドを選んで欲しいのです。

うーんと、マイフィールドが約11.90m。あれ?さっき言っていたコントロールフィールドである15mまで3.10m足りないじゃないかって? はい、この足りない距離を埋める技術こそが、日本の渓流でフライフィッシングを成立させるためのキャスティング技術ということになります。

これまた雑な絵。まぁ、色々いいましたが15m前後はフライフィッシングが他の追従を許さないほど得意な、魚を仕留めるレンジだということです。で、12m前後で魚釣りは十二分にできますし、このエリアは目をつぶってても狙える距離(その解説は後日)。+3mは10分の練習で広げられる距離と認識くださいませ。

はい、つまり、たかだか3〜4m前後、飛距離を伸ばる技術を手に入れれば釣りが成立しちゃうんですね。3〜4mって成人男性の大股歩きで3〜4歩ですよ? ほら。なんとかなりそうな気がしてきたでしょ?

コントロールフィールドが15m。マイフィールドが12m前後。もっと安心させましょう! もはやキャスティング技術なんて必要なく投げられるのが後半に表記したマイフィールド。つまり12m前後なんですが、その範囲内でも、だいたいの釣りは成立しちゃいます。

でも3mくらいはせいぜい飛距離が伸ばせるようにしなきゃ、ツマンナイでしょ?

さて、そんなこんなでフライキャスティングに興味が湧いてきた頃合いかと思いますが、まず、この話を前提に、おすすめしたいロッドの話を、次回にしょうかと思います。連載4回目をご期待ください。