釣り雑誌やメディアの釣った魚の写真。大きく見えません? はい、意識して大きく見えるように撮影してるんです。釣った魚を最大限、大きく見せてやることはとても大事! 詐欺だ、ズルイなんて意見はナンセンス。そら、釣った魚のサイズを偽ったり大きく申告するのはアウトですが、釣った魚をなるべく大きく見せるのは、全然アリと言うか、むしろやるべき。写真は真実を写すもの。トリックでもなんでもないんです。と言うことで、今回はプロのカメラマンから教わった魚の写真をスマホで大きく見せて撮るテクをご紹介します! もちろん本格的なカメラでも実践できますよ!
魚持ち。良くない写真と、大きく見える事を意識した写真、その違いとは?
協力してくれたのは、メガバスのフィッシングプレゼンター、アラマキシンヤ氏。これはアラマキシンヤ氏が取材で釣ったキビレチヌの写真です。チヌのサイズは、実測45cmと言ったところ。まずは、大きく見せる写り方を放棄した写真が上になります。
では、これを映える感じを意識して、撮影します。つまりなるべく大きく見せてみましょう。
と言うことで2枚目の写真、上の魚と同じ魚ですが大きく見えませんか? もっと大きく撮る方法もあるのですが、判りやすさ優先でいかせていただきました。
上下写真を見比べながら、大きく魚をスマホで撮るために実践しやすい方法、ポイントを解説します。
大きさを比較できるものを隠す!
まず、ダメを意識した写真、どのようにアラマキシンヤ氏にオーダーしたかと言うと、
フィッシュグリップを露出させて、腕も映るように。ついでに魚を体に近づけてくださいと、オーダーしました。つまり、これがダメなポイントです。
フィッシュグリップは魚のサイズを比較しやすいアイテム。それが映り込むと、写る魚が小さく見えてしまいます。悪い意味の錯覚です。ただ考えてみてください。フィッシュグリップの全長は40cmほど。魚は45cmくらいあるのに、魚が小さく見えませんか? これでは台無しです。小さい見えるのは写した時のスマホの高さや角度によるトリックです。
ついでに腕が肘まで露出してますよね。だいたい中指の先端から肘まで、小生で45cmくらい。アラマキシンヤ氏も同じか少し短いくらいですが、いかがですか? 45cmと言うキビレチヌ。決して小さくないことが、比較対象を冷静に理解して考えるとわかるんですが、小さく見えますよね?
二枚ある下の写真は、上記のポイントを踏まえ、大きさを比較しやすいフィッシュグリップと、手を隠し、魚を体に近づけずに、逆にカメラに向かって突き出した写真になります。
ほら、45cmの良型サイズにようやく見えませんか? そうなんです。釣った魚をなるべく大きく見せて写真を撮るのは、技術であってトリックや詐欺の類いではなく正当な権利なんです。思い出は美しく、楽しく。食べるにせよ逃すにせよ、どうせ記録に残すなら大きく見せたほうが良いじゃないですか。
さらに大きく見せる基本。横に持ったら横位置に。縦に持ったら縦位置にしよう
せっかくなんで、上のキビレチヌをさらに大きく見せてあげましょう。
横位置写真とは、スマホを横に向けて撮った写真です。魚を支えて横に向けて写真を撮るときは基本的に、横位置の写真のほうが大きく見えるんです。
なので、今回のキビレチヌは、フィッシュグリップで縦にぶら下げていますから、縦位置にしてみました。
さらに大きく見えますよね。
因みに下の写真を見てください。こう言った持ち方は、イマイチです。サイズが比較しやすい拳が魚と一緒に写り、尻尾をガシリと握って手のサイズがわかりやすい。前に突き出している以外は大きく見えない典型的な写真です。
小さなアジも、大きく見せることはできます。
上のアジの写真は、サイズ感が連想しやすい、アジバサミをなるべく隠し、アジを前に突き出してもらい、カメラに近づけて貰った写真です。アジは25cmほどですが、なんか大きく見えませんか?
ピントの位置も気をつけよう。人の目にピントを合わすな。魚の目に合わせよう。
実は魚持ちの写真を撮るのに、スマートフォンのカメラはうってつけなんです。
なぜかと言うと魚持ちの写真の場合、魚が主役ですから魚の目にピントを合わせるのが基本と言われています。
それを知らない、普通のプロのカメラマンさんは常識的に人の目にピントを合わせる傾向がありますが、ルアーマガジングループの雑誌やウェブで仕事をしてくださるカメラマンさんは、必ず魚の目にピントを合わせ、できる限りそれを持っている後ろのアングラーの目にもピントが来るように工夫をしてくださっています(雑誌側の要望です)。
つまり、俗に景色の写真などを撮る場合に使うパンフォーカス写真、被写界深度が深い写真を撮ろうとしてくださるんですね。
普通は特定の対象をより主役とするためにポートレート写真、被写界深度を浅くして、主役以外をボカして目立たなくするのが良い写真のセオリーと言われていますから真逆になるんですね。
スマートフォンのカメラは、知識がなくとも、構造的に、前者のパンフォーカス写真になりがちなので、魚持ちの写真を撮るのには都合が良いんです。
ただし、さすがのスマートフォンカメラでも、上の写真のアジや下の写真の秋イカコロッケサイズをどかんと大きく見せようとすると、究極に主役の魚をカメラに近づける必要がありますからその魚とアングラーの顔の位置が遠くなり両方にはピントが来なくなります。そうなりにくい性能をスマートフォンのカメラは持っているに過ぎません。
さて、魚持ち写真の撮り方の基礎講座でした。このサカナを大きく迫力を見せる写真の撮り方の基礎を編み出したのは、実はルアーマガジン誌のカメラマンさんが元祖なんですよ。豆知識でした! 魚持ちの写真の撮り方講座。好評ならまた、お伝えしたいと思います。