現在日本国内において人気、実力ともに若手No.1であるバスアングラー「伊藤巧」。2019年より戦いの舞台をアメリカに移し、B.A.S.S.セントラルオープンに参戦中。3戦を終え、年間暫定順位4位とトップカテゴリー・B.A.S.S.エリートシリーズ昇格圏内にいる。そして遂に迎えた最終戦・グランドレイク。果たしてエリート昇格圏内を死守出来るのか!?今シーズン1番の大勝負がはじまる・・・
H-1GPX、TBC、陸王、艇王と国内の試合で破竹の快進撃を続ける若きロードランナー
いよいよ最終戦!利根川ライクな雰囲気が味方に!?
伊藤さん「最終戦のグランドレイク戦を控えての僕の年間順位は4位。エリート昇格は5位までとされていますが、3位からは僅差で、今回上位に入らないと昇格は難しいというのが現実でした。
グランドレイクの印象は、規模が大きくてウィードはない。それでいて水がそこそこクリアな下流域と上に行くほど水色が出る上流部。あとはボートドッグが多いですね。バスの動きは比較的速めで利根川の魚に似ていました。ダムなんだけど、河川のように流れが出ると張り出しに着いたりとか、シャローカバーに入ってたのが出てきたりとか、沖の釣りができたりとか、個人的には嫌いじゃないタイプかなぁと」
伊藤さん「ただ、毎週のようにトーナメントが開催されているようでプレッシャーは高く、プラクティスでも1日5尾釣るのがやっとなくらい。プラはノリーズプロスタッフの渡辺和哉くんと行ったんですが、ふたりで5尾釣れるかどうか」
伊藤さん「ただ数は釣れないですが、釣れる場所はやっぱり利根川チックで、釣れると4~5ポンドクラス。デカい魚は追えてたかなというイメージで、プラを終えました。
迎えた初日。始めは深いほうで反応がよくてシャローカバーはイマイチ。でも風が吹くとかなりのバスがエサを食べに岬や張り出し、沖のフラットに出てきたので、それをプラン通りにカットテールとエスケープツインのチェリーリグで獲っていきました」
グランドレイク戦の想定パターン✕4
伊藤さん「朝の7時くらいにスタートして、昼の12時の時点で16ポンド15オンスというかなりのウエイトを獲っていたんですが、暑さで魚が弱りそうだったこともあり、釣果的にも2日目を想定してセーブし、1時間早く帰着して、8位。
2日目はストームが夜中に通って朝は雨で、9時10時くらいから晴れました。パターンは初日とは逆で朝イチからシャローで4ポンドクラスがポロっと釣れたので、もしかしてと思ったらそのままシャローを釣り切り、14ポンド強のウエイトまでもっていきました。しかし、太陽が上がってからは色々とやっても結果釣れずに、そのままウエイイン。やはりタフだったようで、スコアは3位に上がって決勝に進むことができました。
この時点でエリート昇格は確定というアナウンスが出てて、歓迎ムードになりましたが、だったら最終日はポイントを獲るのではなく、優勝するために一発でかいのを狙う釣りを展開したんですが、大ハズシ(苦笑)。ノーバイトノーフィッシュで最終日を終えて、結果10位。年間4位でエリート昇格が確定して、参戦初の1年間が終わりました。
最終戦に挑む心構えとしてあったのが、守りにいったら勝てないということ。ミシシッピリバーで順位を落とした時点でのポイントで考えると、8位の青木(大介)さんともたった20ポイント差でした。そうなると守りではなく、勝負に出ないとだめだなと。
それでも釣れる釣れないは、本当にその瞬間を捉えられるかどうかなんですが、それ以前に魚の差し方やクセがある程度読めていたので、正直どうにかなりそうだなとは思っていました。だから後は自分が感じる雰囲気とノリでいわゆる時合いを合わせられれば釣れるだろうと。ただもちろんそれがズレたらまるで釣れないということもありえましたが。
その意味では初日、二日目は最高にそれが合致しました。おかしいんじゃないかって言うくらいで、イトウタクミは昇格しろと言われているようでした(笑)。
エリート昇格が決まった瞬間は単純にすごくうれしかったです。本当にこの1年間が報われたなと。でもその後に感じたのが、もう来年の2月から試合が連続すること。年9戦もの試合があるので、いまは喜びよりもこれから本当にアメリカで戦わないといけないという不安と恐怖心が勝ってます。
でもそれ以上に、応援してくれた方々、支えてくれた方々への感謝の気持ちが強く、早く帰国して報告したいと思っています。
アメリカ参戦初年度にて最高峰B.A.S.S.エリートシリーズに昇格した伊藤巧。しかし、彼の本当の“アメリカ”との戦いはこれから始まる。来年からはエリートシリーズでより厳しい戦いが待ち受けているだろうが、それでも果敢に挑戦していく熱い情熱を持った若人を応援せずにはいられない。