アユってカンタンだ!バス釣りの達人が教える、友釣りライトスタイルAtoZ【実釣編!】



道具を揃えて、オトリアユをゲット! じゃあ現場ではどう釣っていく!? 初めてのアユ釣りは分からないことだらけ。特に、縄張り荒らしを攻撃するアユの生態を逆手にとった「友釣り」は、生きたアユを扱うデリケートなもの。しかーし! キモを押さえれば意外と手軽に1匹と出会える釣りでもある。初見さんに難しいイメージは今や昔。ダイレクトな手応えに感動しつつ、美味すぎる川の女王を愉しむべし!!



ロケ地:久慈川(茨城県大子町)

数や型のみならず、アユの身の美味さでも圧倒的な有名河川、久慈川で取材を敢行! オトリ屋さんは超人気の「うめ吉」さんにお邪魔。女将さんの人柄に、名だたるアユ名人もこぞって常連となる老舗だ。巨大な東屋は久慈川を直で感じられる眺望が圧巻! 川面のせせらぎと風を感じられる。もちろん、釣りせずともアユの塩焼きやBBQが楽しめる。また母屋は居酒屋としても繁盛。常連さんと仲良くなって、手ほどきを受けてみては?

前回までのエピソードはコチラ!

まずはオトリアユを用意

オトリ屋さんでオトリアユを買い、オトリ缶に入れてもらう。オトリ缶のエアレーションを作動させ車で移動し、現場に移動!
中村「まずは、買ってきたオトリの「水合わせ」をします。オトリ缶の水温と、川の水温が違うんで、いきなり川の水にさらしてしまうとアユが弱ってしまう。少しずつ水を掛けるようになじませていって、弱らせず馴染ませます。5分くらいあれば馴染みます」。

水合わせ。川から水をすくって、上から掛ける。このオトリ缶はフタがメッシュになっている。
中村「現場に着いたらオトリ缶から曳舟にオトリアユ移す作業があるんですが、ここでオトリを逃がしてしまうことも少なくない(笑)。慣れないうちは両手でアユをやさしく掴んで、1匹ずつ慎重に移します」。

ちなみに、入門用のライトなスタイルで釣りをしていく。川に入ったとしてもヒザまで。サオも本式に比べれば短めの6メートルだ。それでも実は…バッチリアユの友釣りを楽しめてしまう。

友釣りライトスタイルは、こんな格好でOK!

ルアマガプラススタッフ3人とも完全に初心者。今回は入門用のヒザ下までの浅瀬スタイル。足元はウェーディングシューズや、かっちりとしたフィッシングサンダル。あとは半パン、速乾性のパンツやスパッツスタイルでOK!


サオと仕掛けを用意していく

中村「サオと仕掛けをセッティングしていきましょう。リバーストーン63ならサオのパッケージに仕掛けも丸ごと入っています。仕掛けの先端、竿先に付ける部分は輪っかになっていて、チチワで結ぶだけになっています」。

鮎の友釣り入門フルセット『バリバス トライキット鮎リバーストーン63』

コレが仕掛けの先端。輪っかになっている
竿先のヒモ状の部分(リリアン)に、仕掛けをチチワで結ぶ

チチワ結び

中村「ハリスは、指3本から4本くらいの長さになるようにハリス止めに止めます。朝や午前中はアユの追いが悪いんで、少し長めの指4本」。

活性の悪い時は指4本と長めにとり、ルアー釣りでいうところのショートバイトに対応。活性が上がれば指3本と短くし、根がかりなどトラブルを減らし、効率をアップ。
中村「ハリス止めの穴にハリスを通して、針側を引けば止まります。両側から引っ張ると切れてしまいます。また、抜け防止のコブは必要ないです。ハリスは交換するのを見越して、余った端糸は2〜3センチ余らせてカットします」。

中村「アユの位置を知らせる目印をセットしましょう。水深の1.5倍くらいを目安に目印をずらします。ここは水深が、ぱっと見ヒザくらいだから50センチなんで、75センチくらいから始まるように目印をずらします。目印が水に付くと抵抗になってしまうんで、なるべく目印は水につけないように注意します」。

矢印が目印。仕掛けの糸に目印はあらかじめ通されている。基本は、一番アユ側の目印の位置を水深の1.5倍に設定。残りは20センチくらいを目安に等間隔にずらしていく。

オトリアユの付け方

中村「オトリに関して、慣れるまでは、全てを玉網の中で完結させることが前提です。玉網の外でやるとオトリアユを逃がしてしまいます。最初に、曳舟からオトリアユを玉網に出します。アユ釣りに慣れないうちは曳舟の水ごと全部玉網に出しましょう。そして1匹を残して曳舟に戻します。そのほうが安全です」。

一度オトリを全部玉網に入れ、1匹残して再び曳舟にオトリを戻す

中村「鼻カン(はなかん)を鼻に通すのですが、キモはアユの持ち方と、鼻カンのつまみ方です。まあ逆に言えばそこだけです。ワームのセットよりは遙かに簡単です(笑)」。

これがオトリ周りの仕掛け全部。サカサバリはハリス止めと一体化している。
中村「まずは仕掛けの持ち方。鼻カンだけをつまんでおくと、アユが暴れたとき掛け針やサカサバリが玉網にささったりトラブルになりがちです。なので、針を2本とも中指〜小指で包み込むように持ちます」。
中村「鼻カンはアユの鼻の片側から逆側へ向けて通すのですが、穴から穴へ平行に通すようなイメージを持って、つまみます。利き手で仕掛けを持ちましょう」。
中村「アユは背のほうから掴みます。親指と人差し指で目隠しをしてあげて、他の指は力を入れずにそっと添えるだけのイメージで持ちます。そう持つとアユは暴れません。アユにダメージを与えないよう、手は川の水でよく冷やしましょう」。

中村「鼻管の先を、穴から穴へ平行にスライドするように動かしましょう。この鼻カンはワンタッチ方式で、ロックを掛けずとも外れないアイテムです」。

画像はバリバス エクセラ鮎ナチュラルハナカン。輪の左側をよく見ると、真っ直ぐになっている。この部分を鼻の穴から穴へ平行に通すのだ。
中央に見える穴二つが、鮎の鼻。ここを一直線に鼻カンを通す

鼻カンを通したら、尻ビレにサカサバリを引っかけ、仕掛けの完成だ。
中村「鼻カンからサカサバリの糸は、鼻カンからオトリの尾ビレくらいの長さに調整します。短すぎるとアユが自由に泳げません。もちろん長すぎるとトラブルの元になります」。

中村「サカサバリは、尻ビレの後ろに穴のようなものがポツポツとあるんですが、そのちょい上に刺します」。


アユの友釣りを開始!

中村「アユのいそうなポイントを見定めます。色が黒っぽく見える石が狙い目です」。
アユのエサは苔(こけ)。苔むした岩は、苔の色で黒っぽく見える。

黒い部分が苔だ。橋の上から観察すると、身を翻したアユがキラキラと反射して見えることも。

「そこにオトリを誘導していくんですが、アユ釣りはそこが一番難しい。ルアーとは違い、生きているアユをどう誘導するか。難しく、一番楽しい瞬間です。最初はオトリも元気なので、行きたいように行かせます。オトリが一箇所でロックしてしまうと釣れないので、狙いの場所に誘導させます」。

ポイントの上流側にたって、下流側のポイントへアユを送り込む

中村「基本にして簡単なのは、ポイントに対して上流側に立って、下流向かって真っ直ぐオトリを送り出します。送り出したら、さらにサオを倒して流れを利用し下流へ送り込んでいく。ポイントとの距離は、サオと仕掛けの長さ分で、目印が水に入らない距離です。すぐに慣れて距離感は掴めると思います」。

糸の張り方が重要。

中村「ポイントに到達したら、糸を張らず緩めずのテンションに保ちます。ラインのたるみをアユ釣りではオバセというんですが、ゼロオバセですね。バス釣りでいうと、ノーシンカーをズル引きするようなイメージです。どうしても狙いの場所にオトリが行かなければ、オトリを投げるのもありです。オトリが弱らないよう、ふわっと、着水も超ソフトにしましょう」。

中村「反応がなければ、どんどんポイントを変えて釣っていきます。1匹釣れたところは何匹か釣れることが多く、連発も期待できます。アタリはというと、金属的なガガガン!という明確なものです。アワセは必要ありません」。

アユが掛かったら、抜き上げて玉網でキャッチ!

中村「掛かったら、サオを立てて、アユを下流側へ誘導し、自分と流れとサオとアユを一直線にします。そしてもっとサオを立てていくと、まずはオトリのアユが水面を割って出てきます。そのオトリアユが見えたら、一気にサオを立てて引き抜きます。そして、飛んできたアユを玉網でキャッチします。
 流れに対して斜めの状態でアユを引き抜くと、どの方向にアユが飛んでくるか分からない。なので慌てずに真下にアユを誘導してから抜き上げましょう」。

中村「アユが釣れたら、それまでのオトリアユを曳舟(ひきふね)というアイテムに戻し、釣ったアユに鼻管を付けてオトリにします。そうやってオトリが常にフレッシュな状態になるよう循環させます」。

友釣りのトラブルとアユの持ち帰り方!

午前中は追いが悪かったが、水温が上がると活性化! 初心者トリオも全員安打だ!!

中村「トラブルといえば、エビと根がかりですね。エビとは、掛けバリが、鼻管の前の糸に絡んでしまうこと。そうなるとアユが自由に泳げなくなってしまう。糸が緩むと針で糸を拾ってしまうので、糸をダルダルにし過ぎなければエビになりません。
根がかりは、今回狙うのは浅瀬なのでその場所まで行って取るか、ルアーの根がかりを外すように下流側に回り込んで外します。面倒ですが下流側に回って外せば、ポイントが潰れません」。

中村さんが良型で締めて釣り終了! さあお楽しみの塩焼きタイムだ…!!

アユのキープと持ち帰り

中村「アユのキープの仕方で、僕のオススメは氷締めです。アユを生きたままオトリ屋さんに持ち帰って、氷で締めてから持ち帰ります。アユは内臓から全部美味しく食べられるので、食味も楽しんでください!」
「うめ吉」のお母さんが焼くアユは絶品! 小一時間は炭火でじっくり焼き上げるのがコツ。
内臓はもちろん、アタマから尻尾まで食らい尽くす! キュウリウオの名の通り爽やかな香りと、炭火焼きの香ばしさがたまらない…。ライトなアユ釣り、マジでハマります!!