反発力がもたらすティップの収束スピードがロッド操作を快適に! テンリュウ「NEWレイズ」シリーズ



2020年初春、ロッドメーカー・テンリュウが大人気トラウトロッド「レイズ」をリニューアル。オリジナルモデル8機種、また、エキスパートアングラーも納得の「レイズ・スペクトラ」シリーズ3機種、計11機種が新たに登場する! これらすべてにトラウトマンであり開発者でもある舟木雄一さんのこだわりをギュッと凝縮。4回目となる今回は、ティップセクションの“収束スピード”に注目してみた。

【Profile】
舟木雄一(ふなき・ゆういち)
テンリュウ釣具事業部に所属。
幼少期からトラウト、バスに加えてソルトの釣りを経験してきたマルチアングラー。トラウトを狙うメインフィールドは天竜川、木曽川水系。本流から差してくる良型を狙って4月下旬から河畔に立つ。

ロッドワークを駆使して魚を誘え

前回の記事ではレイズの優れたキャスティグアキュラシーについて紹介している。

そう、渓流釣りでは“キャストがすべて”と言われるほど。アバウトなキャストは釣果を目前にしてポイントにルアーを送り込めないだけでなく、場を荒らしてしまう可能性もある。正確にピンスポットに到達させることは重要な要素なのである。

では、仮にキャストがうまく決まるようになった場合、次に意識すべき点とはどんなところなのだろうか。

舟木「ルアーを投げたあとは、ロッドワークを駆使していかにうまく魚を誘っていけるかどうかで、釣果に差が出てくると思います。大雑把に分けてしまえば“どう追わせるか”“どう食わせるか”という部分でしょうね」

ルアーに反応はしているが、途中で興味をなくし着き場に戻ってしまうシーンを経験したことのあるアングラーは多いと思う。シーズンの傾向や人為的プレッシャーなどシチュエーション左右される部分もあるが、非常にもどかしいシーンである。

追うけど食わない魚。こうしたターゲットに口を使わせるためには、ルアーアクションに緩急をつけることで釣果に繋がる場合もある。

魚種ごとに異なる着き場やスピード

ヤマメのように流れの中に入っているのか、それともイワナのように障害物周りに着いているのか。ターゲットの種類によるし、魚種は同一でも活性に左右されてしまうこともある。魚に口を使わせるためのロッドワークの引き出しと、それに対応してくれるロッドの調子が重要になってくる。

高弾性のブランクで巧みに誘う

舟木「ルアー操作にはロッドの反発力が必要不可欠。トゥイッチやジャークを行った際にティップセクションが曲がり、そして戻るという動作です。とくに“素早く元の状態に戻る速さ”が重要。曲がった後に素早く力が収束することで、次の入力に素早く移行することができ、より細かくルアーをアクションさせられるのです。

『レイズ』も『レイズ・スペクトラ』もシリーズを通して、ティップセクションの反発力が強くなるよう高弾性のブランクに仕上がっている。

トゥイッチやジャークなどのロッド操作をより細かく行うことで、誘いのバリエーションの幅が広くなる。
放出されたラインが素早く収束し、正確なキャストをサポートしてくれる小口径ガイドを備えたセッティング。ブランク自体の反発力に加えて、このガイド設定の妙もルアー操作にもいい意味で影響する。

舟木「たとえば水温がある程度高いハイシーズンであれば、ジャーク(ハードトゥイッチ)のような強い誘いでも魚はしっかり追ってくれるし口を使ってくれる。それが水温の低い早期や終盤の渓流となると、追ってきた魚が踵を返して着き場に戻ってしまったり、追うことすらしなかったりする。こういうシーンでは1回のターンでどれだけ長く見せていくがが重要になってきますよね」

魚が追わないシビアな状況では、ジャーク(ハードトゥイッチ)一辺倒では魚の反応を得ることは難しかったりする。魚の目の前でじっくり誘ったり、魚のスローな動きに対応するためにスローなルアーアクションで誘うことが有効な場合も。

舟木「渓流のピンスポットにルアーを入れて、50㎝の中で4回ヒラを打たせるところを5回、6回と移動距離を抑えながらより多く入力することで口を使ってくれる魚もいます。そのためにティップセクションには柔軟性と高弾性という相反する性能をうまくミックスさせることが重要と考えました」

ロッドワークのオンオフを素早く行えれば、ロッドワークによる誘いが自由自在になる。

舟木「簡単に何匹も釣れるシチュエーションは最高ですが、口を使わない魚をテクニックを駆使して釣り上げる。これも渓流釣りの楽しみのひとつですからね!」



オンオフのスピードをより追求した「レイズ・スペクトラ」

「レイズ」が8機種「レイズ・スペクトラ」が7機種(新作3機種)と、ラインナップの豊富さもウリのレイズシリーズ。それぞれ機種名の後に入るサブネームにも注目していただきたい。

舟木「トゥイッチン(Twitchin’)とジャーキン(Jerkin’)でしょう。この2つのサブネームの違い。大まかに分けるとすれば、前者が軽量ルアーの扱いに向き、後者が重量級つまりヘビーウエイトルアーの扱いに向くという部分です。渓流用であれば、5㎝5g以上のルアーが重量級というう設定にしてあります」

トゥイッチン(Twitchin’)を冠した「RZ4102B-UL」

ジャーキン(Jerkin’)を冠した「RZ542B-L」

舟木さんが言う、ルアーウエイトに合わせたサブネーム。それは、トゥイッチン(Twitchin’)であればフローティングミノーなど軽量級ルアーに合わせた軽やかなロッドアクションであり、ジャーキン(Jerkin’)であればヘビーウエイトミノーのような重量級のルアーにマッチするパワーを持たせた機敏なロッドアクションがイメージされる。

舟木「加えて、ロッドワーク時のロッド操作における“力の入力のオンオフ”を、より追求したモデルが『レイズ・スペクトラ』になります。ティップセクションの張りをより強調した高弾性マテリアルを採用しているので、オリジナルの『レイズ』に比べてより“ピン”としたシャープなアクションに仕上げています」

レイズ・スペクトラシリーズ

舟木「ただし、ピーキーすぎるアクション故、バイトを弾きやすくなるのもこのモデルの特徴だったりもします。そのために必要なのがタックルバランスなんです」

スペクトラに関しては「究極に突き詰めた性能のロッドだからこそ、セッティングも究極なものにしてほしい」と舟木さん。おすすめのセッティングはどんなものなのだろうか。

舟木「感度はいいけどバラしやすいので、どこかで力を吸収したい。そのためスペクトラのメインラインにナイロンをおすすめしています。ただ、どうしてもPEを使いたい方にはドラグ緩めの設定を大前提にしつつ、ナイロン素材のリーダーを長めにとっていただきたいですね。欲を言えば、フックには掛かりの速いネムりの効いた線形の太いものをルアーにセットすることで、より理想的なバランスになると思います」

「レイズ」シリーズはナイロン・PE共に対応しているが、「レイズ・スペクトラ」はナイロン推奨。ピーキーで張りのあるロッドだけに、総合的なタックルバランスにこだわり釣りを楽しみたい。そんな「レイズ・スペクトラ」は玄人向けの究極シリーズと言えよう。

ハイプレッシャーを克服するための近距離&遠距離への正確なキャスト

最後に「レイズ・スペクトラ」について補足しておきたい部分がある。それは今回解説してきたティップセクションの調子について。

舟木「近年、特に関東近郊河川等、釣り人の多い地域では人為的プレッシャーによる釣果の減少が叫ばれています。そうしたハイプレッシャーな環境でいかに釣果を伸ばしていくかという部分では、やはり近いポイントであっても遠いポイントであっても“キャスト精度”が重要になってくるということ」

プレッシャーの高いフィールドでは、ルアーや人にスレた魚が多い。それは渓流であってもやや開けた中本流であっても同様で、いずれにせよピンスポットに正確にルアーを打ち込んでいく必要がある。

舟木「遠くのポイントに遠投したい。さらにその先の小さなスポットを直撃させたい。こうした場合のキャスト精度を高めてくれるのが、レイズ・スペクトラの“ブレの少ないティップ”なんです。つまり、ロッドアクションの際の戻りの速さ収束の速さが、キャスタビリティーにも影響してくるということ」

舟木さんによればロッドは短いほど“投げやすい”そうだ。ただ、やや開けた渓流や中本流では6ftクラスのロッドで遠投しながらもピンスポットを狙わなければならない。

舟木「ゴルフと一緒で、釣りのキャストでも最初の入射角を間違えてしまうと、ルアーが遠くに飛べば飛ぶほどミスの幅が大きくなる。だからこそ“どれだけブレが少ないか”という部分が重要になってくるんです。加えて、厳密に言えばバットにも張りを持たせてあるので、よりティップの戻りが早くなっています」

レイズ・スペクトラRZS51LL(Twitchin’Custom)

キャスト精度を究極まで追求したLLモデル。5ft1inは細渓流や藪沢などを積極的に攻めたい1本。

レイズ・スペクトラRZS61LL(Twitchin’Custom)

遠くのポイントほどキャスト精度が求められることもある。こうした開けた渓流や中本流におすすめなのが6ft1inのLLモデルだ。

高機能ロッドでありながら、汎用性を持たせた「レイズ」と、ロッドワークやキャスト精度ほか、細かな部分を徹底的に磨きぬいた「レイズ・スペクトラ」。計15機種の中からあなたのフィッシングスタイルにマッチした1本を見つけていただきたい。

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