ニッポンが誇るサブカルチャー『マンガ』。しかし釣りとなると、題材はもちろん所作のひとつとっても釣り人を魅了できるかどうかが別問題。そんな釣りマンガの名作を現役・釣り雑誌編集者が再び味わいつつ、隠れた名著を探すレビュー企画です!今回は春の夜長にじっくり読みたい魚との出会いや駆け引きのドラマが光る、釣り以外の要素も含まれた珠玉の4作品をご紹介!
レビューするのはルアマガ編集局きってのマンガ好き「釣りマンガレビュアーズ」
レビュー#1 ちょい釣りダンディ
「“日常のすぐ隣で、ライン1本で野生動物と格闘している男の姿”がここにある!! 各章の間にあるコラムがまた秀逸。作者の阿鬼乱太さんは間違いなくベテランアングラーでしょう。しかしこの画のタッチはもしかして…やっぱりね」
「吉田類さんとか孤独のグルメ好きな人はハマるオッサン主人公マンガ。ギラギラ感は一切なし、でも隙あらば釣り(&メシ)。不勉強ながら知りませんでしたが、かなりの良作。ポートフォリオにサオ仕込もう」
「これはすごくオモシロイ! サラリーマンが仕事をさぼりつつ、身近なフィールドで釣りを楽しむ。憧れるなぁ…。釣りバカ日誌がよりリアルになった作品といった印象ですね」
レビュー#2 江戸釣百景 ぶらり百竿
「“釣法指南家”こと流百竿(ながれひゃっかん)が客の要望に応じてどんな魚も釣り上げてしまうというお話。カーボンロッドもリールもない時代、だけど知恵と技術があれば的な、モノが溢れる現代へのアンチテーゼが裏テーマと勝手に想像」
「江戸を舞台とした釣りマンガ! 釣技指南役とは面白い設定でげすな…。ビックコミックならではの重厚感ある物語で、時代考証もしっかり。釣りネタは難しいのか3巻で完結みたいで残念!」
「江戸時代の釣り小説が夢枕獏の大江戸釣客伝なら漫画版はコレ! というくらい唯一無二の存在です。釣りが日本の文化に深く根ざしているというのがよくわかる作品です。釣りバカは今も昔も変わらないんだなぁ…」
レビュー#3 山賊ダイアリーSS
「ここに挙げたからといって釣りを期待すると、『ルアマガよ~!』となるので言っておきますが、メインはモリによる魚突きとサバイバルな感じ。画はけっして上手とは言えないし、シンプルな作風だけど、ついつい引き込まれてしまいます」
「本元の山賊ダイアリーは好きで読んでたけど、今度は海か! とはいえ釣りじゃなく魚突き。こだわりが凄くて、水まで現地調達する異次元さ。魚突き好きがやってるモグラーズデライトってサイトよく見てたな〜」
「本来は山での狩猟が中心の漫画ですが、SSは海を舞台に、素潜りをして魚を突いたり釣ったりの自給自足生活の様子が描かれています。読んだら色々実践したくなるタイプの作品。大学時代にハマったらきっとマネしてます(笑)」
レビュー#4 鰹みだれうち
「カツオ漁の世界を描いた漢のドラマ仕立て。本職から見ると首を傾げたくなる部分もあるようだし、話の展開はカツオ漁じゃなくても成立するありがちなパターンですが、嫌いじゃありません。一気に読めて、でも2巻で終了…」
「一本釣りって字面は釣りだけど漁ですから! しかしゴラクに通ずるギラつきストーリーの中に、細かな取材が聞いた描写が映える。面白いのに、2巻で打ち切りなのが悲しいところ…」
「この企画で紹介しているほかのどの作品とも毛色が違います。釣り漫画というよりも漁師漫画と言った方がしっくりくるかもしれません。海の男たちの迫力がかなりリアルに描かれています。こういう船長いるわ~ってなります」