ゲームフィッシングとして確立している現代のエギングでは、A B S樹脂や発砲樹脂を採用したエギが多くリリースされています。そんな中、林釣漁具製作所が展開する餌木猿シリーズは天然素材である『桐』を使った味のあるシリーズなんです。今の時代になぜ、敢えてウッドなのか?西日本烏賊釣り師専門学校の塾長こと米田浩久さんにお聞きします。
【Profile】
米田浩久(よねだ・ひろひさ)
西日本烏賊釣り師専門学校(米田塾)の塾長という肩書を持つ、エギング歴約30年の大ベテラン。桐の木を用い日本古来の製法で作られる「餌木猿」を駆使して、アオリイカと遊び尽くしている。
塾長の講義1:天然素材の個性を楽しむべし!
高級家具の素材としても知られる「桐」を採用し、職人の手により作られる餌木猿。
今では貴重な木製のエギですよね。
塾長「確かに天然素材である木を材料にしたエギは今や少数派ですね。昔はアイが紐だったりもしました。天然素材だからこその注意点として、メーカーホームページでも、“素材ゆえにスペックにバラツキがある”と記しています。ですがこれがかえって“武器”になるシーンも多々あるんですよ!」
そうなんですか! 個体差が生み出す武器とはいったい?
塾長「例えば、木には節がありますよね。この部分は水が染み込みにくく、節が入る位置によって、同じモデルのエギでもダートが変化したりするんです。その効果は春のデカイカ狙いに有効だったり、秋の数釣りに有効だったりと様々ですが、僕らの仲間内では“当たりエギ”と呼び、新しい餌木猿を使い始める度に、『当たりかな…?』と一喜一憂しているんですよ。これも餌木猿ならではの魅力のひとつなんです」
なるほど。一様に同じものが作られるわけではない。だからこそ、それぞれの個性を楽しんでいるわけなんですね!
塾長の講義2:桐だからこそ発生するナチュラルな波動
塾長「ABSや発砲樹脂などの素材から発生する波動はハッキリとわかりやすいもの。ですが、その分スレの進行が早いとも言えると思うんです。一方、桐を採用した木製ボディが織りなす波動は柔らかく、アオリイカに違和感を与えにくいと考えています」
塾長の講義3:潮の変化を感じ取りやすい湾曲ボディ
塾長「樹脂製ボディのエギの多くはフォルムがストレート気味です。これが何を意味するかと言うと、軽い入力でダートを発生させることができるということなんです。対して餌木猿はあえて湾曲気味のボディを採用しています。こうすることで水抵抗を受けやすく、潮の流れを感知しやすい効果を生んでいるんですよ!」
塾長の講義4:ボディに水が浸る…のがいい時も!
塾長「桐という素材でできている餌木猿は使用しているとボディに水が染み込んでいき、重さもアクションも微妙に変化します。その変化がいい場合もあるし、悪い場合もあるんです。例えば、春の藻場撃ちなんかはある程度時間が経ってエギが水を吸ってしまったら、同サイズ・同カラーのエギに付け替えることもあるんです。ですがそれはそれで、餌木猿のスタイルであり、楽しみでもあるわけなんですよ」
違いを楽しめる、大人のためのエギ。それが餌木猿なんですね!