エギングに限らず、釣りはターゲットを『釣る』のが目的。だから釣れなければ意味がない…とまではいかなくても、釣ること『だけ』にこだわりすぎていませんか?「どうやって釣るかを追及するのも、釣りの面白さです!」と、ヤマラッピからの大提案!! システマチックに3段階でエギを使い分ける釣りの理論を紹介します。
【Profile】
山田ヒロヒト(やまだ・ひろひと)
バックドリフト釣法やノーテンションソフトフォールなど、最先端で画期的なテクニックを駆使してエギングの高みを追求し続ける、数少ないフルタイムプロエギンガー。『ヤマラッピ』の愛称でおなじみ。
釣れればそれでいい。そんなエギングからは卒業!
フィールドの開拓や新テクニックの登場などにより、エギングはハイシーズンの春&秋のみならず一年中楽しめる、ソルトゲームの代表格にまで登り詰めました。
ところが人気が高まるほどに、どこへ行ってもアングラーがいる状態で、『ヴァージンポイント』はもはや存在しないといっても過言ではありません。
そんな中で何としてでも1杯を手にしようと思うと…
山田「当然、喰わせることが最重要課題になりますよね。だからショッパナから喰う確率が高い安全パイエギを投入するエギンガーがほとんどだと思います。月に何度も行けるわけではない、貴重なエギングの機会ですから『絶対に釣ってやる!』という気持ちはわかります。ただ、ソレっていろんなギミックを持ったエギが揃っている、現代エギングの楽しみを自ら狭めてしまっているように思うんです」
確かに、DAWIAに限らず各メーカーからも、大分型エギの枠を飛び出したNEWジャンルエギが発売されていますよね。
山田「そこで僕が提案したいのが、異なるタイプのエギにそれぞれの役割を持たせて、システマチックにゲームを展開するスタイルです。具体的には『見せる』、『感じさせる』、そして『喰わせる』の3段階で、エギを使い分けます。イカを追い詰めていく過程が、存分に楽しめますよ!!」
『見せる』
まずは目立たせて『見せる』。そして広範囲からイカを集める。
山田「わかりやすく、秋イカ釣りを例に挙げて説明しましょう。秋イカでのターゲットは春に生まれた新子がメインなので、一般的には『群れが溜まりやすいシャローエリアで2.5~3.0号のエギを使用する』、というのがこれまでのセオリーだと思います」
確かに。
新子のアオリイカは好奇心旺盛。
しかも自分より小さなエギならばすぐに喰らい付いてくれるというイメージです。
山田「その『好奇心旺盛』いう部分に着目して、あえて4号サイズのデカいエギやティップラン用の重いエギ、もしくは陸っぱりではまず使うことがないメタルスッテなどを使って、沖のブレイクをめがけて大遠投するんです。ブレイク周辺にはある程度成長してシャローエリアから卒業した『新社会人』くらいのイカがいるはずなので、これまで目にしたことがないデカくて存在感があるモノ、重くて素早く動くモノに惹かれてワラワラと集まってくるはずです」
でも、それではデカすぎる、重すぎるで喰わないのでは…あっ!
山田「(ニヤリ)そうです、ショッパナから喰わせる必要はないんです。第一段階では、あくまでも『見せる』だけでイイ。通常では考えられない異質なモノを投入することで注目を集め、たくさんのイカに集まってもらうことが目的なんです。たくさんのイカが集まれば、その中には好奇心だけでなく喰い気も強いイカが含まれている可能性が高くなり、この後の段階で喰わせる確率も高まります」
『感じさせる』
強い水押しやラトル音を『感じさせる』。そして『自ら時合を作る』。
次に『感じさせる』エギですが…これまでのエギングにはない表現ですね。
山田「見せるに通じる部分はあるんですが、視覚に訴えかけるわけではないので、あえて『感じる』という表現を使っています。ラトル音によるアピールがその典型的な例で、エギのボディ内壁に金属球やガラスラトルが当たることで音を発生し、それをイカが水を通じて振動として感じ取る。そしてエギを把握して追ってくれば、それはニュートラルな状態から『スイッチが入った状態』にシフトしているので、その後の喰わせるまでの展開は大いに期待できます」
見せるの部分でも使用するエメラルダス ステイはここでも出番はありますか?。
山田「ステイにしかない『スタビライザー』の役割がポイントです。シャクるとスタビライザーが大きく水を掻き、ほかのエギには出し得ない、波動を発生させます。この波動がラトル音と同じ様にイカへと伝わり、やはりスイッチを入れてくれてくれるんです」
山田「さらにステイは、ダート系エギとは異なるライブリーロールアクションも特徴的です。これには、マッタリとしていたポイントの活性を上げてくれるような効果もあるので、エギンガーが『自分で時合を作りに行けるエギ』として使うこともできます。ゲームに手詰まりを感じた時には、流れを変えるという意味で投入するのもアリでしょう」
『喰わせる』
寄せてスイッチを入れたイカをダート系エギで『喰わせる』
そしていよいよ最後の『喰わせる』という段階にたどり着きました!
山田「最後のクローザーとして活躍してくれるのが、現代エギングでもっともポピュラーな大分型のダート系エギです。使い方としては、その性能を存分に活かしてキレッキレにダートさせる!…のではなく、むしろ逆です!」
逆…とは? ダートさせない?
%%山田%%reen「ダートさせないと言うより、移動距離を抑えたダートにすることで、イカがエギの動きに追い付きやすいようにしてやる。直後に安定した姿勢でフォールさせれば、喰わせられる可能性は高いはずです」
見せるエギ、感じさせるエギはその存在感が重要だったので、モノによっては4.0号というサイズも出てきましたが、喰わせるエギのサイズは?
山田 「3.5号ベースで問題ありませんが、寄りはするけど喰うまでに至らない場合は3.0号以下もアリだと思います。最後の最後は思い存分、釣ることだけを考えて下さい(笑)」
以上、山田さんが提案する『見せる』『感じさせる』『喰わせる』の3WAYエギングでした。
基本となる大分型エギはもちろん、さまざまなタイプのエギが使える今だからこそ、いろいろ試して新しい発見をしてほしいです。もしかしたら、さらに新しいタイプのエギが登場する…かも!?
釣果至上主義から一歩進んだ「プロセス」を楽しむエギングは、新たな時代の幕開けのきっかけとなるかもしれません!