生きている魚本来の姿って、写真でも表現するのが難しいですよね。釣り上げて、太陽の光にあててすぐの美しい生命感ある色合いや光沢感….。そんな魚本来の美しさを、イラストで表現してくれた、そんな図鑑が発売されました。釣り人ならわかるはず。ああ! そう! こんな色合いだった! 脳に焼きついた記憶を呼びさます。素敵なイラスト図鑑をご紹介します!
界隈で話題になっているイラストレーター「長嶋祐成」さんの最新作!
「THE FISH 魚と出会う図鑑」【河出書房新社】
実は、前から気になっていました。この図鑑のイラストを提供している長嶋さんの作風を。
書籍内でも長嶋さんご本人が語られていますが、釣り人でもあることがわかります。
だからこそ合点がいく、その淡く透明感があり、鮮やかな色合いの「絵」。泳いでいる魚を釣り上げて、燦々と照り輝く太陽の下にさらしたときに、刹那に見せる魚の美しさ。それをまず、その絵に感じさせます。ああ、そうそう、釣り上げたあの魚! こんな色合いだった! って嬉しくなります。
写真という釣り人にはとても便利な魚籠(びく)があるわけですが、魚だって生き物です。釣り上げてすぐは息を飲む色合いなのですが、写真に収めるころには、徐々にパワーを失って色合いが変わったりします。
釣りをされている方ならわかると思いますが、その最初の色合いを想起させる力が長嶋さんの絵にはあるんです!
それに加えて、実際に魚の生活域に潜られて観察されたことが伺える「生命感」。この見事な融合が作風にこれでもかと表現されていて素敵なのであります。
はらりとめくっただけで魚好きならワクワクする世界が広がっています。とまぁ、記者みたいなのが語るより、少しだけ見ていただいたほうがはやいでしょう。
長嶋さんの魚の紹介文にもとても愛があり、引き込まれます。他社の出版物ではございますが、いやぁ、これは買いです(笑)。
単純に写実的というわけではなく、作品として魚を描き出している長嶋さんの魚への思いが伝わるとても良い図鑑でございます。ぜひとも手に入れてご覧になってください。