「小豆ちゃん」夏には必須の豆アジ用フック、満を持してサーティフォーよりリリース!



さぁ、ルアマガプラス でも開発経過を追いかけていた、小アジ、豆アジ専用のアジング用ジグヘッド、「小豆ちゃん」がテストにテストを重ねて、ついにサーティフォーからリリースされます。自称フックヲタクの記者が、がっつり紹介&インプレ&考察&取材しましたのでご紹介します。ただ、少々マニアックなので、最初に陳謝します。

十八番のオープンゲイプフックからクローズドゲイプフックデザインで登場した「小豆ちゃん」その理由は?

こちらが製品版の極豆、豆アジ専用ジグヘッド「小豆ちゃん」
0.4g、0.6g、0.8g、1.0gがラインナップ。価格は400円(税別)。
そう、たぶんですが「掛ける」ことが大事。その理由は後述。
ナローでクローズドな理由については後述。特徴的なヘッドは近年家邊さんが提唱する、レンジをなるべく長い時間フォールさせて釣るという基本アジングコンセプトを体現。線径0.485mmって細かく記されていますが、この線径も何度も何度もテストしていたことを取材で目の当たりにしています。
34 小豆ちゃん 1.0g
サイズ:1.0g
¥440
2020-07-22 17:23

開発経過をずっと追いかけてきたこともあり、最終形状がクローズドゲイプデザインになったことに対しては、記者的には実は驚きはなかったのですが、ご存知の通り、サーティフォーの家邊克己さんのリリースするアジング用ジグヘッドフックのほとんどはオープンゲイプデザインのフックが多く、代名詞とも言えたのに、これはクローズドゲイプ採用だと? と首をひねった方も多いでしょう。

サーティフォーのジグヘッド代表作。ダイヤモンドヘッド。アジングジグヘッドのスタンダードとなったオープンゲイプフックの典型作。
こちらは小豆ちゃんの、プロト。開発当初はオープンゲイプ形状でテストされているものが多かったが….

簡潔な答えはじつはパッケージの裏に記載されているのですが、フックマニアとしてもう少し家邊さんの話などを踏まえながら解説します。まず簡潔な理由は、クローズドゲイプフックだと豆アジ、極豆アジがバレにくいから。なんですね。

さぁ、本体サイトより詳細な解説、いきますよー! 下記リンクが過去の同製品開発風景の記事となっております。合わせてご覧ください。

超小型のアジの口は、成魚クラスにくらべて非常に柔らかく身切れしやすい

超小型のアジの口は、成魚クラスのアジはもとより、豆アジサイズのアジよりも柔らかく、身切れしやすいことがテストによって、わかりました。この口のやわらかさこそが、サーティフォーの開発陣の悩めるポイントだったようです。通常のオープンゲイプ形状だと、どうにもバレが頻発することが確認されました。

そもそも、アジングにおいてオープンゲイプフックが良いとされてきた理由(あえて言うなら許されてきた理由)を理解しておく必要があります。

取材当初、ほとんどのテストフックがオープンゲイプだった。

オープンゲイプフックは針先(ポイント)が外側に向くことによって、それを吸い込んだアジに対するフッキングの機会を増やす。という大きなメリットがありました。フッキングの機会を増やすことが重要な理由は、アジの捕食行動の特徴に起因していました(とりあえず落ちてきたものを、吸い込むけど直ぐ吐き出す。これを何度もやる)。

針先が外側に向いているオープンゲイプフックのデザインはそういったアジの捕食スタイルにマッチし、サーティフォーだけでなく、アジング用ジグヘッドのスタンダードとして他社も追従した経緯があります。

ただ、オープンフックゲイプのデメリットも理解しておかなければ、実はうまく使いこなせないデザインであるので、この機会なのでじっくり解説します。



小豆ちゃんのお話前に、オープンゲイプフックの原理を解説

実は、フッキング機会が増える一方、オープンゲイプフックはとある注意点を理解しなければバレやすく、フックに負担をかける形状と言えます。根本的に、オープンゲイプフックは、口内を引っかきながらフッキングに至る形状です。

そういった基本を鑑みると、実はフックとしては欠陥を持っていると言えます。そのデメリットはフックとしては実はかなりマイナスの要因で、それゆえににオープンゲイプタイプのアジングフックを否定されるメーカーもあります(それはそれで正しい考え方と思います)。

ではなぜ、オープンゲイプフックはアジの定番となり得たのか。それはアジの口の、柔らかさにありました。アジの口内、フッキングポイントとなる部分は薄い膜状になっており、針先が取っ掛かると、比較的弱い力でフックが突き刺さり、ゲイプまで貫通します。

通常なら引っかきながら口内をすべり(身を裂きながら)、フックセットせざるを得ないオープンフック形状ですが、このアジの口の柔らかさが奏功して、引き裂く前に貫通してふところでホールドしやすいので、オープンゲイプフックでも、フックとしてしっかり機能すると言えます。

アジのフッキングポイントはご覧の通り、ビニールのような薄皮。

口が硬い魚だと、ポイントが刺さった段階でゲイプに負担が大きくかかりやすく、破損しやすいということにもなります。これを理解しておけば、オープンゲイプ気味のフックを破損させないフッキング法も、あるにはあるということにお気づきになられたかもしれません。

オープンゲイプフックによる引き裂きフッキングがなぜダメなのかというと、魚のバレの原因はほぼ、身切れ。だからです。引き裂きフッキングはこの身切れを誘発しやすいことから、フッキングの機会が多い代わりにバレやすいというオープンゲイプフックの弱点が露呈します。

極論言うと、バーブレスはバーブ付きよりバレにくい理由がコレ。さっさと貫通して引き裂きを抑えます。

極豆サイズの口内の膜は想定より、より柔らかかった!

家邊「最初はオープンゲイプのフックをテストに使ってたんだけど、どーにもバレやすくてね。その理由が普通のサイズのアジよりも幼魚サイズの豆、極豆サイズのアジの口が、めちゃくちゃ柔らかいせいでバレやすいことがわかったんです」

「フッキングの機会が多く、掛りやすい」と、「掛かった後のランディング性能」のバランスを考慮した結果、“小豆ちゃん”はクローズドでナローゲイプなデザインに最終決定されたようです。

家邊「さんざん、オープンゲイプな豆アジ用フックもこの機会にテストしまくりましたが、クローズド形状のフックに最終的に落ち着きましたね」

クローズドになると、フッキングによる貫通力は物理的にオープンより上がります。ただオープンほどフッキングのきっかけがオートマティックに与えられるわけではないので、アタリに対してのフッキング動作がより重要になることが考えられます。

ただ、小豆ちゃんの場合、クローズドゲイプかつナローゲイプになっているため吸い込みやすく、豆アジクラス向けとも言えます。

実は、従来の成魚サイズに採用されているオープンゲイプフックも、勝手に掛かったより、仕掛けて掛けたほうがバレが少なくなる理由がここに隠されています。オープンゲイプフックが折れる、強度的に弱いと感じている方も、フックセットを能動的にすることでそういったデメリットを排除することができます(つまりアワセをしっかり入れる)。アワセがウマイ人にバレが少ない理由もここにあります(オープンであろうがクローズドであろうが)。

ただ、刺さる場所が硬い魚は、貫通時の負荷に耐えきれずフックが破損しやすい。なので、フックの太さのバランスも密にテストする必要があるのですね。貫通力はと言うファクターはフックにはとても大事。

1年以上、相当な頻度でテスターや家邊さんによりテストされ、磨きに磨き、絞りに絞り製品版となった“小豆ちゃん”。これからの季節、豆アジが多くなってくる季節ですので必須になるかもしれませんね!