マクベスビッグとマクベスタイニー、あるいはジジル115フラッシュブーストやスウェジーMDW。そして各ルアーの狂鱗カラーと、今季も次々に新作バンタムルアーシリーズが発表されてきました。そのどれもが最先端を行きつつも名作の予感を感じさせられる逸品でしたが、なんとさらに驚くべきルアーが登場です。言わばシマノの技術全部盛りのミノー。その実力を奥田学さんが解説してくれました。
奥田学
おくだ・まなぶ/スイムベイトやクローラー系など、国内ビッグベイトゲームの草分けであり伝道師。かと思えば、ミドルレンジスイミングやボトストなどフィネスリグの操作においても優れたパフォーマンスを発揮、いわば死角無き全方位型アングラーである。
3in1の絶対的アドバンテージ
ワールドミノー115SP(シマノ)
●全長:115mm ●重量:17g●タイプ:サスペンド ●カラー:全12色 ●フックサイズ: #5×3 ●価格:2,360円(税抜き) ●発売:2020年9月予定
奥田「こいつのスゴいところは、何と言ってもシマノの最先端テクノロジーを全部載せていること。フラッシュブースト、AR-C、それと狂鱗やね。今年出したジジル115にも搭載しとるけれど、形状的にミノーとも相性がいいのはソルトの分野ですでに証明されているからね。もちろんバス用にいろいろ試行錯誤を重ねて…最終的にどんなふうに仕上がっているか、俺自身も実は楽しみなんよ(笑)」
シマノが誇る3つの最先端テクノロジー
FLASHBOOST(フラッシュブースト)
ステイさせても自発的明滅が惹きつける
ボディ内部に反射板を設置するのはトラディショナルなカラーパターンだが、シマノはそれをスプリングで固定。かすかな振動でも慣性を伴って動き続けるため、アクションを与えずともフラッシングを発生する。カラーの概念を覆す、発明とも言うべき機構である。
狂鱗
捕食者を狂わせる被食者のリアル
ホンモノの小魚の鱗を精密にスケッチし、そのアウトラインをデータ化。そのうえで部位に応じたサイズと配置を再現。それぞれが独立して輝くため、光の当たる角度、見る角度によって輝き方が艶めかしく変化するまったく新しいホログラムパターンが完成した。
AR-C
圧倒的飛距離とクイックレスポンスの融合
ウエイトの移動軸にスプリングを配することによって、位置の自動的制御を可能にした革命的重心移動システム。テイクバック~ラインリリース時に後方へとウエイトが動くが、着水時にはすでに前方定位置にあるため、すぐさまベストアクションを演出できるのだ。
現時点でほぼ完成形に近いワールドミノー115SP。ただ巻きならロールを伴うウィグリングで潜行深度は約1メートル。ストップ&ゴーも使い方のひとつであり、トータルバランスに優れているため障害物回避性能も実に高い。
バスの活性に応じてジャークやトゥイッチ、巻きと使い方を変えていく。ダート幅は、ジャーク>トゥイッチ>巻き。その調整ができるのもワールドミノーの強味だ。
広く、精度高く、バンクに沿ってチェックしていけるのはAR-C搭載ルアーの本領。その投げやすさは1キャストしただけでもハッキリと感じられるはずだ。ダート時にはウエイトの接触音がラトル的効果も生むと奥田さんは言う。
止めてもなおフラッシュブーストの明滅効果でアピールし続けるのはサスペンドモデルならではのメリット。ルアーの機能として自発的なフラッシングは実にエポックメーキングだ。
奥田「季節や状況によっては止めを入れなければ食ってこない時もある。そんな場面で最後のバイトトリガーに成り得るのがフラッシュブーストなんよ」
ワールドミノーにはホログラム系を中心に狂鱗パターン5色を含め計12色がラインナップされている。濁りの入ったエリアではキョウリンクロキンを試すなど、カラーローテーションも重要だ。
実釣で明かされたの実力
ワールドミノーを奥田さんが使っている様子を見て、まず驚かされたのは飛距離だった。
オーバーヘッドでも、サイドハンドでも、バックハンドでも、さほど力を入れないフォームから繰り出しているキャストだというのに、飛行中に回転することもなく、ライナーで、実に気持ち良く飛んでいくのが傍目にもわかったのだ。
奥田「AR-Cの恩恵やね。ミノーって、どちらかというと投げにくいものも多いでしょう。でも、こいつは真っ直ぐスッと飛んでくれる。飛距離が出るっていうのは、精度が出せるのとイコールだからね。カバーがなければぶっ飛ばして、あれば正確に撃ち込んでいく。例えば、リザーバーでストレスなくバンクを流していけるのはそれだけでアドバンテージになる」
驚くべきことに、ワールドミノーはロッドワークだけではなく、ハンドル回転によるダートアクションも披露する。
奥田「ワールドミノーの特徴のひとつに、誰でもイージーにイレギュラーダートさせられるというのがあるんよ。ロッドとラインを一直線にして、グリ、グリ、グリグリの繰り返し。それだけでも左右にちゃんと飛んでくれる」
取材のために同行させていただいたワールドミノーの最終テストでは、サスペンドミノーが最適解とは言い難い状況なのにも関わらず、結果として40センチクラスを頭にトータル4尾キャッチに成功。
奥田「時期的には、まぁそんなもんでしょう。テストじゃなかったら、サスペンドミノーなんて投げんもん(笑)。でも、だからこそ逆にこのルアーに確信が持てたよ。フィーディングフラットでバスを探しながら連続ダートのリアクションで食わせる、秋のミノーパターンがむちゃくちゃ楽しみやね」
発売は9月を予定していると言う。
ミノーパターンが再び旬を迎える、まさにその入口のタイミングだ。