7月中旬に開催された世界最大級の釣りイベント“ICAST”(アイキャスト)で先行発表され、日本ではいつ公開となるのか、SNS界隈で話題を呼んでいたシマノの新作スピニングリール『ヴァンフォード』。そしてついさっき、待ちに待った情報解禁!! 8月1日になるやシマノプロスタッフきってのインフルエンサー、黒田健史さんが自身のブログで紹介! あらためて『ヴァンフォード』とはどんなリールなのか、直接話を聞いてみました!!
教えて黒田さん!
【Profile】
黒田健史(くろだ・けんし)
1985年生まれ。国内最高峰カテゴリーJBトップ50メンバーであり、昨季の開幕七色ダム戦では見事3位入賞、年間ランキング7位でフィニッシュ。年を追うごとにはっきりと存在感を増している注目株だ。長年の経験と高度な技術、そして豊富な知識に裏付けられたタックルに対する造詣の深さは特筆すべきもの。バスのみならず、ソルトゲームにも精通している。ニックネームは“クロケン”。
巷でウワサのシマノNEWスピニングリール!!
『ヴァンフォード』。
これまでラインナップになかった名称であり、まったく新たな機種であることが分かります。とはいえ、シマノ愛好者でなくとも同社の名機『ヴァンキッシュ』はご存知のはず。頭の“ヴァン”から察するに、おそらくはヴァンキッシュの系統に属するのではないでしょうか?
時期的なことを踏まえ、世間ではシマノ16ストラディックCI4+の後継機と言われており、ボディのメインカラーがブラックになったとはいえ、赤い差し色の使い方からしても、たしかにストラディックCI4+の面影が感じられます。
はたしてヴァンフォードは、どのような位置付けにあるのか? そしてどんなリールなのか…やはり思ったとおり、情報公開解禁(8月1日?)となっただろうタイミングでヴァンフォードについてきっちりポストしてきたブロガー兼JBトップ50プロ兼プロガイド兼ユーチューバーの黒田健史さんに、またしても深夜の電話インタビュー敢行でございます!!
ズバリ、『ヴァンフォード』は『ストラディックCI4+』の後継機種だった!!
マツ:く、黒田さん、夜分にすみません。ついいましがた「黒田健史のあいうえお」にヴァンフォードの記事が上がっているのを見て、いてもたってもいられず電話してしまいました。
黒田:「あいうえお」じゃねぇし。「いろはにほへと」だし。って言うか、いま何時か知ってます?
マツ:0時8分みたいです……。
黒田:じゃ、そゆことで。グンナイッ!! ってこの猿芝居、もうやめましょう。『ヴァンフォード』のことですよね?
マツ:さすがパイセン、話が早い。すでに多方面でいろいろウワサされてましたけど、実際のところヴァンフォード、どうなんでしょ?
黒田:ぶっちゃけ、皆さんのご想像どおり『ストラディックCI4+』の後継機種です。ちなみにストラディックCI4+は、台数で言うなら世界でもっとも売れているスピニングリールです。
マツ:なんと!! そんな人気モデルなら、名前を変えないほうが良いように思ってしまいますけど…。
黒田:理由はですね、『ストラディック』と混同するから。シマノのスピニングリールは厳密に言うと二種類あって、ひとつが『ステラ』を頂点とするコアソリッドシリーズ、もうひとつが『ヴァンキッシュ』をボスとするクイックレスポンスシリーズ。
端的に言うと前者が剛性、後者が軽さに軸を置いています。
で、ストラディックは前者。ストラディックCI4+は後者に属しています。同じストラディックの名を冠していても、リール設計の方向性が根本的に異なる。でもそれだとユーザーさんに誤解を招きかねない。ということで、ストラディックCI4+の正統後継機種でありながら名前を変更したんです。
ちなみにヴァンフォードという名前ですけど、マツさん、もちろん意味を調べてますよね。
マツ:あ、あ、当たり前じゃないですか。あれですよ。ヴァンキッシュの“ヴァン”と、フォードは車のような力強さを連想させる……「かかってこいや」みたいな。
黒田:いま、テキトーに答えましたよね? まぁでもぶっちゃけ、当たらずとも遠からずです。正味な話、ヴァンフォードは造語。ヴァンキッシュのヴァンをもらっているというのは正解。クイックレスポンスシリーズであることをイメージ付けたい。で、語呂の良さからヴァンフォード。単語としての意味はありません。
マツ:どうりで辞書に載ってないはずだわ。って言うか、ほぼ正解じゃん。
黒田:(調べてないくせに)まあ、ヴァンキッシュ直系の弟分ということですね。
マツ:なるほど、よし、じゃあここからが核心です。ブログで、フラッシュブーストや狂鱗やAR-Cにはほとんど触れず、「ワールドミノー(今秋発売されるバンタムシリーズの新作ルアー)はアクションレスポンスがすげぇ」とクライアントのツボを思いっきり外した爆弾魔・黒田さんにお聞きします。ヴァンフォードの特徴を教えてください。
黒田:マツさん、言うねぇ。そんな僕がいまさら、ハガネギアがどうとか、X-SHIPがスゴイとか、SA-RBがイケてるとか述べたところで……。
マツ:間違いなく誰も喜びませんね。
黒田:ですよね。分かりました。ぶっちゃけて言いましょう、黒田的にヴァンフォードの推しは2点。
マツ:……(ごくり)。
黒田的ヴァンフォードのここがスゴイその1
「ヴァンキッシュと同じローターを採用!!」
黒田:その前にまず、2019年にフルモデルチェンジしたヴァンキッシュは、史上最高に良いヴァンキッシュだと思います。じゃあ、何が良いのか?
クイックレスポンスシリーズは軽さを追求しているがゆえに、剛性の点でコアソリッドシリーズに及ばない。まんまそれは逆のことがコアソリッドシリーズの特徴として言えるわけです。
で、旧ヴァンキッシュのアキレス腱はローターの剛性にありました。といっても、もちろん一般のアングラーさんが使うならまず気付かないレベルですが…ステラやツインパワーが金属を採用しているのに対して、クイックレスポンスシリーズのローターは強化樹脂でできているので、こと伸びの少ないPEラインを使用するとほんのわずかファイト中にたわむ感覚があったんです。そうなると当然、ドラグの効き方にもブレが生じてしまいます。
それが19ヴァンキッシュではすっかり解消された。ローターの形状を変えることで、たわみがなくなりました。その剛性感はステラにも肉薄する勢いです。
マツ:え~と、それはヴァンキッシュですよね。ヴァンフォードは……。
黒田:最後まで聞けっ!! そのヴァンキッシュと、まったく同じローターをヴァンフォードは使ってます。塗装が違うだけ。
マツ:な、なんと!! そんなこと公にしちゃって良いんですか?
黒田:問題ないでしょ。僕的にはそこが一番の訴求ポイントです。
黒田的ヴァンフォードのここがスゴイその2
「ロングストロークスプールを搭載!!」
マツ: そしてもうひとつが……。
黒田:ロングストロークスプールの採用です。これは長いことステラにしか搭載されていなかったスプールで、その禁を破ったのが去年モデルチェンジしたヴァンキッシュだったわけです。
それをヴァンフォードにも積んでいる。ヴァンフォードも、ステラと同じ仕様のスプールなんです。
マツ:ステラと同じと聞くだけで、特別感がありますね。
黒田:ストラディックCI4+では14.5mmだったストローク長が、17mmになった。当然、飛距離が伸びるし、食い込みが少ないのでライントラブルも少なくなる。
マツ:にもかかわらず、本体価格で3万円台ということは…実勢価格で2万円台半ば!!
黒田:そうなりますね。
マツ:う~む、お買い得感ありありですね。
黒田的ヴァンフォードの出番とは?
マツ:では最後にもうひとつ教えていただきたいんですが、たとえばロッドの場合、黒田さんは適材適所でバンタムだったり、エクスプライドだったり、ゾディアスだったり、各シリーズのラインナップから自分がベストだと思うものを選んで使い分けていますよね。
同じように、黒田さんのなかでスピニングリールの用途別セレクトってありますか? 「ヴァンフォードはこういう釣りに適してるぜ!」みたいな。
黒田:ぶっちゃけてイイですか?
マツ:ぶっちゃけてください!!
黒田:お金があって台数を揃えられるなら……。
マツ:なら?
黒田:『ヴァンキッシュ一択』っすね。
マツ:…………(-_-;) え~と、黒田さん的に、別にヴァンフォードの出番はないと。
黒田:ないです(きっぱり)。
マツ:…………(爆弾投下?)。
黒田:リールに関して言うなら、グレードの差は性能差として明確に表れます。プロである以上、メーカーへの忖度を抜きにしたら、やっぱり自分が1番良いと思えるものを使いたい。
マツ:むぅ、ごもっとも(しかもステラじゃないところが黒田的? しかしこのままではオチが…)。
黒田:ただし!
マツ:ただし?
黒田:二番目に僕が選ぶとしたら『ヴァンフォード』だと思います。
マツ:マジか!! ツインパワーでも、ステラでもなく?
黒田:はい!!
マツ:ヴァンフォード、それだけ信頼性が高いということですね。
黒田:そうですね。
マツ:黒田さん、ご苦労さまでした。真夜中にありがとうございました!!
黒田:もう、この時間の電話は2度と出ませんから。いやそもそも、かけてこないでください。
マツ:ごめんなさい………(-_-;)