バンタム2020新作ルアー『ワールドミノー115SP フラッシュブースト』。シマノテクノロジーの粋を集めて完成されたアイテムだけに注目度が高いものの、同シリーズのミノーカテゴリーには、名作として知られる『リップフラッシュ』がすでに存在しています。両者の違いは? どう使い分ければいいの? 開発ブレーンのひとりであり、国内屈指のミノー使いでもある山木一人プロに聞お聞きしました!
2つのバンタムミノー
年明けのフィッシングショーではそのウワサさえもなく、先日、突然の発表で大きな話題を呼んだ『ワールドミノー115SP フラッシュブースト』(以下、ワールドミノー)。
しかしながらバンタムシリーズには、ストップ&ゴーでの浮上時に明確なシミーフロートアクション(強い揺れ)を生む意欲作『リップフラッシュ115F(および115FMD)』(以下、リップフラッシュ)がラインナップされています。
なぜ同じ115ミリサイズのミノーに新たな機種を設定したのか、疑問に思うアングラーは少なくないのでは?
たしかに、ワールドミノーはサスペンドでありリップフラッシュはフローティング、両者のタイプは異なります。
フラッシュブーストだけでなく、ワールドミノーにはシマノ社独自の重心移動システムAR-Cも積んでいるので(リップフラッシュは非搭載)、それらを内蔵するうえでボディデザインの変更を余儀なくされたのではないかとも考えられますが、世のミノーには同一ボディでフローティングとサスペンドの2タイプを用意しているものがほとんどです。
下世話な話、新たに金型を起こす必要がないのだから、そちらのほうがよほど経済的なはず…。
そんな余計な詮索も含めて、ワールドミノーとリップフラッシュの使い分けを知るべく梅雨明け直前の箱根・芦ノ湖に山木一人プロを訪ねました。
タイプで異なる強さの度合い
【Profile】
山木一人(やまき・かずと)
我が国のバスフィッシング発祥の地、芦ノ湖の畔で生まれ育ったナチュラルボーン・アングラー。シャッドとI字系の手練として有名だが、今回登場するミノーはもちろんすべてのルアーに対して造詣が深い。
果たして、ボディ形状の違いには明確な理由がありました。
それは“余計”どころか、むしろ2つのミノーがどう違うのか、ローテーションの核心に通じる内容でした。
山木「もちろんリップフラッシュの形状でサスペンドタイプを作ることも考えたし、実際に試してみましたよ。でも、それだと動きが強すぎる。一段下に入り込んで水押しが強いと、ジャークやトウィッチをしている際にアングラー側がすぐに疲れちゃう。リズムよくアクションを与えられない」
山木「あと、サスペンドっていうのは常に一定レンジで、バスにその存在を見せ続けることになるでしょ。そこで強い動きというのは濁りが入ったりとかイレギュラーな状況でもない限り嫌われやすいと思ってる。フローティングで、止めて浮かせてレンジが変わるなら強くていいんだよ。でも、一定のレンジをキープするなら、動きは軽快なほうが明らかに反応がいい」
当然と言えば当然、ワールドミノーとリップフラッシュは、それぞれの目的に最適化したボディデザインだったのです。
止めても誘い続けるアドバンテージ
では実際のところ、リップフラッシュとワールドミノーはどのようにローテーションしているのでしょうか?
山木「個人的には、魚側から食いにこさせられるフローティングが好きなんだよ(笑)。だからまずはリップフラッシュのストップ&ゴーから試していく。でも、それじゃ食わない。軌道が変わる動きには反応してくれない、表層までついてこられないようなら、ワールドミノーを使う。サスペンドっていうのは止めてもレンジキープができて、一定層を長く通せるのが特長でしょ。冬場じゃなくても、そういう状況ってけっこうあるから」
ベイトフィッシュが目視できるかどうかも選択基準のひとつにはなるものの、要するにその日その場で、どの動きがバスにスイッチを入れられるか? たとえほとんど“止め”を入れないジャークでも、リップフラッシュとワールドミノーでは「ダートの質が違うし、反応が変わってくる」と山木プロ。
山木「でね、ワールドミノーのウリはフラッシュブーストなんだけれど、その最大のメリットは止めても誘い続けられることだと俺は思ってる。フローティングは止めても浮くから、水面で放置しない限り動きが失われることがない。動いていればバスを誘える。ところが多くのサスペンドルアーは止めて姿勢が復元したら、次のアクションまで誘う要素がなくなってしまう。でも、ワールドミノーの場合はステイ中でさえもフラッシュブーストがバスの興味を引いて、次のアクションまで飽きさせない。その、誘う要素の変化が食わせるきっかけを生むんじゃないかと考えてるんだよね」
もちろん釣果はどっちもバッチリ!
リップフラッシュ115FMD
表層に小魚がまったく確認できなかったため、リップフラッシュはF(潜行深度約1メートル)ではなくFMD(潜行深度約2メートル)を起用。
岩場をチェックしはじめてすぐにナイスフィッシュが食ってきた!!
サイズ(mm):115
自重(g):14
タイプ:フローティングミディアムダイビング
フックサイズ:TBL930 #6×3
ワールドミノー115SP
シャローにクルーズするネイティブのビッグフィッシュを発見。
進行方向を読んでキャストし、ただ巻きを開始してまもなくロッドが絞り込まれた!!
これぞ箱根ネイティブと言わんばかりの、金色の魚体が美しい。
サイズ(mm):115
自重(g):17
フックサイズ:#5×3
タイプ:サスペンド
最後に山木さんのタックルをチェック!
左から順に
ワールドミノー用その1(サスペンドタイプ用ベーシックセッティング)
●ロッド:バンタム168M
●リール:アンタレスHG
●ライン:フロロカーボン14ポンド
ワールドミノー用その2(よりキレのあるダートアクションをラクに演出するためのセッティング)
●ロッド:バンタム169M-FM/2ファストムービングスペシャル
●リール:バンタムXG
●ライン:パワープロ1.5号(PEライン)+リーダー:フロロカーボン16ポンド(約50センチ※トラブル防止のため)
リップフラッシュ用(ルアーの高浮力を活かし、なおかつ浮上中のバイト対応“乗せ重視”のシステム)
●ロッド:バンタム168ML+G
●リール:バンタムHG
●ライン:ナイロン16ポンド