ゾーイは本物のブルーギルを型取り、ハンドメイドでウレタン成形。その上でひとつひとつに精巧な彩色を施す手間ひまの掛かったルアーだ。企業秘密も数多く隠されているのでは…? そんな心配をよそに、何とゾーイオリジナルモデルの作り方を濱田さん自身が大公開! 嘘偽りなく、以下が製品版の製作の流れなのだという。
「ゾーイ」の製作過程を大公開!
手作業で型取りと成形を行う必要のあるゾーイ。最適解を見つけ、それに慣れるまでは非常に苦労したという。
濱田「泥沼にハマると製品を作ってるのか不良品作ってるのかわからなくなったことも(笑)」
しかしそれも昔の話。現在は独自のレシピでムラなく効率良く、釣れるゾーイを仕上げていくTHE職人技だ。
【PROFILE】
濱田禎二(はまだ・ていじ)
『ハマティ』の愛称で知られる、ギル型ビッグベイトの名作・ゾーイを生んだ奇才ルアーデザイナー。現在はJBマスターズを主戦場とするコンペティターだが、かつてワールドプロ(=現トップ50)シリーズ在籍時は1998第1戦市房ダム優勝の記録も。ジャッカルから独立後の2005年から続く人気ブログ『今日のハマティ』にも要注目。1968年12月1日生まれ(52歳)、神奈川県出身・静岡県在住。
まずはシリコン型にヒートンをセット【ゾーイ製作その1】
まずは型を用意。左側面と右側面の2つに分割されている。ラインアイ・両サイド・ブレード用アイ・テールアイと、あらかじめ計5ヵ所にエイトカンをセットして重ね合わせる。
濱田「型を押さえる圧がポイントです」【ゾーイ製作その2】
一気に3体ぶんの型を束ね、木枠で万力状に圧力を加える。強過ぎても弱過ぎても不可で、絶妙な圧を要する。長年の経験がモノを言うそうだ。
浮力確保としてガラスビーズを配合【ゾーイ製作その3】
ゾーイは水より比重の大きいウレタンを採用しているため、そのままでは沈み過ぎてしまう。最適な浮力をもたせるために混ぜるのはガラスビーズだ。
濱田「含有量次第で浮力を微調整できるんです」
ガラスビーズは粉末状になっており、内部に空気をはらんでいる。不純物を排除するために一度濾してから配合する。
2液性のウレタンを注入&攪拌【ゾーイ製作その4】
濱田「混ぜると急激に膨らむ発泡性もありますが、ゾーイはこちらを使っています」
各液体の量はスケールで厳密に計り、ビーズとしっかり馴染ませる。
型枠の穴から流し込んだら20分間放置!【ゾーイ製作その5】
十分に攪拌した液体は、3つの型に段階的に流し込んでいく。これもムラを防ぐ術か。カップに作った液体がピッタリ収まるのはさすがだ。
完成! 化粧をする前でも美しいスッピンゾーイ
濱田「こんな感じです」
ボディだけなら想像より早く完成したのは驚き。この後、塗装過程へと移るが今回は時間と誌面の都合上ここまで。では、最後にタックルに関してひとことお願いします。
濱田「硬い竿だと、i字で引いた時にノー感じになりやすいのでMクラス。ルアーを見て釣るのが基本なので、リールのギア比はこだわらなくてもいいと思います。ラインは14ポンドで、それ以上だとリアクション時に動くパワーが弱くなります。以上かな」
開発者・濱田禎二のゾーイ推奨タックル
●ロッド:ネロNC-610M(ジャッカル)
●リール:「ベイトリールなら何でもOK」
●ライン:レッドスプール14ポンド(ジャッカル)