悩める釣れない子羊たちへ、釣れる男・川村光大郎が贈る10個のアドバイス。自分に当てはまりそうな項目が多い人ほど、「釣れない度数」が高い。でも、改善される項目が多いのだから、そのぶん釣りの実力もジャンプアップするはず!これを読んで自身のバスフィッシングスタイルを見つめ直すべし!
オカッパリレジェンド・川村光大郎が経験した「バスフイッシングの不文律」
日本全国どんなフィールドに行っても、岸から驚きの釣果を叩き出し続けている川村光大郎さん。一般の釣り人との交流も大切にしている彼なので、釣れない人の釣れない理由についても、詳しいに違いない。というわけで、釣れない人から脱却するための知っておくべきオカッパリの10箇条を、特別に選んでいただいた。
川村「バスっておもしろい魚で、自分の性格に合ったバスというのがいてくれるんです。キャラがわかりやすいところでいうと、木村建太、青木大介、金森隆志、それから伊藤巧。彼らはどこに行っても、どの季節だとしても、バスを釣りますよね。それぞれのスタイルがあって、得意な季節やフィールドは違うかもしれないけれど、それが仕事であれば、必ず結果を出さなければならない。しかも日を選んで釣りに行ってるわけじゃないので、きつい状況に当たることが多いと思います。それでもみんな、なんとかするんですね」
それは陸王の結果を見てもわかる。この4人は、どんな悪条件であろうと、目を疑うような結果を叩き出している。もちろん、この4人に川村さん本人も加えるべきであることは、誰もが承知していることだろう。
川村「それは、みんなそれぞれ自分に合った自分の魚を持っているからなんですね。そんなバスは、釣れないときに助けてくれたりするんです」
彼らのレベルになると、たとえ他の人間が攻めた後であっても、そのエリアに自分の魚が存在していたら、それを釣ることができる。一体どうしたら、その領域に達することができるのか?
川村「無理に自分の性に合わない釣りをすることはないと思いますね。自分がやりたい釣り、好きな釣りでいいんです。釣りは、本来やりたくないことまでやって釣る必要はないですから」
それが真実ならば、釣りって本当に素晴らしいと思う。
レジェンドの心得第1条 情報を鵜呑みにするな!
情報はそのままマネするのではなく、参考にして自分の釣りをする
川村「釣れている場所などの情報を鵜呑みにする人は、かえって釣れないことが多いですね。情報はあくまで過去のものだし、状況は刻々と変わるものですから。万が一同じ状況が維持されていたとしても、ネットなどで多くの人がその情報をキャッチしていたら、同じ場所で同じ釣り方をしても通用するとは思えません。情報は参考程度にとらえて、自分なりに釣りをするほうがいいでしょう。
むしろ情報なんて、入れないくらいでいいと思います。ただ、相手が本当に信用できる人ならば、最近の状況を聞いたりしてもいいかもしれません。僕自身、動画などで情報を発信しているので、矛盾しているんですけど、観てほしい部分は、場所とかではないんですよね」
レジェンドの心得第2条 「旬のテクニックは旬のうちに使え!」
今釣れてるルアーやテクニックは今のうちに取り入れるのが得策だ
川村「情報に無頓着過ぎるのもよくありません。たとえば新しいルアーやテクニックによって、特効薬的に釣果が跳ね上がることってあるんですよ。昔でいったらツネキチリグ、ハンハンジグ、あるいはスラッゴーとかもそうですね。最近で言えば野良ネズミがその好例かと思います。
もし、釣果をアップさせたいのなら、このような画期的な釣法やルアーは、取り入れるべきだと思います。もちろん、釣りは自由なので、使わないのも勝手です。でも、結果的に後になって取り入れるなら、つまらない意地を張らず、効果が高いうちに試すことが賢明でしょう。僕が今ハマっているのは、ハリーシュリンプの前歩きアクションですね。バスがあっさり食ってきますよ」
ハリーシュリンプ3in(ボトムアップ)バックスライド仕様
「ハリーシュリンプの前歩きアクション」とは、バックスライド仕様のハリーシュリンプ3inを、ボトムのずる引きで使う方法。
ピンテールのひげをカットし、矢印部に0.45gのバザーズワームシンカーTGリーン(DAIWA)を皮一枚で挿入。フックはD・A・Sオフセット#2(ハヤブサ)。ずる引きするとリアルな前歩きを披露。
入数:8本
フックカラー:フッ素コーティング
ズレを抑えワームをしっかりホールドするZ型クランク
貫通性能がアップするフッ素コーティング仕様
フッキングのパワーロスを極限まで抑えたストレートボトム部。
川村さんが「これには僕が乗り遅れちゃいました!」と告白したのは、ベローズギル(ジークラック)。リブ形状をギル型に落とし込んだヒット作だ。
レジェンドの心得第3条「思い込みはほどほどにせよ!」
上級者も陥る「根拠のない自信」という落とし穴に
川村「僕は、イベントやローカル大会などにも顔を出すようにしているので、一般の釣り人に接する機会も少なくないと思います。皆さん、それぞれ好きな場所や自信のあるルアーがありますよね? 僕にもあります。それっていいことなんですけど、なかには極端なことをいう人もいますよね?
たとえば『このルアーのこの色が最強』とか、『この場所で釣れなかったらバスはいない』だとか。こんな偏った考え方を持っている人は、どうしても変化する状況への対応力が狭くなってしまう。そんな思い込みは捨てたほうがいいです。
ルアーパワーは落ちていくし、フィールドも変わっていくもの。バスも明らかに進化しているので、人間も柔軟性を持つべきです」
レジェンドの心得第4条 「釣れなかった理由を直視せよ!」
謙虚になって、釣れなかった理由を分析し、次につなげる
川村「釣れなかった時に、その理由が自分にあるという意識になれない人っていますよね。たとえば、今日は濁りがきつかったから釣れなかったんだ…とか、状況のせいにする人に多いですね。でも、釣れない理由って凄くシンプルで、場所が違っているか、ルアーが合っていないか、釣りが下手か、なんですよ。つまり釣れない原因の多くは自分なんです。
フィールドや季節によっては、岸沿いからバスが離れてしまう状況で、岸釣りではどうにもならないようなケースもあります。でも、他にそれなりに釣ってる人がいるならば、釣れない原因は自分にある。釣れなかった時になぜ釣れなかったかを考えて、反省して、それを次に生かすことが大事ですね」
大事なのは殻を破って自分を変えること! それはボートフィッシングでも同じ!!
今まで魚探に積極的にならなかった川村さん。しかし、先日の「艇王」ロケで魚探の重要性を痛感し、成長できたという。自分を成長させようとする姿勢は岸釣りにも必要だ。
レジェンドの心得第5条 「バスをなめるな!」
音を出さず、服の色にも気を使って、自分の存在を悟られないこと
川村「バスって魚のなかでも相当賢いと思います。ルアーとかバスアングラーに対する警戒心が高い。そうやすやすとは騙されてくれません。釣り人の気配にもすごく敏感なので、足音、影、立ち位置、着水音などで、バスに釣り人の存在をを悟られないことが大事なんです。
バスをなめたらいけません。謙虚に釣りしましょう。特に音に対して無頓着な人って、釣れないです。実は僕も昔は音に無頓着だったけど、今は相当気を使ってアプローチしています。家に帰ってからも足音をひそめる癖があるので、家族にびっくりされることがありますね。
服の色にも気を遣ってます。黒い服や、明るい色も着ませんね。グレー系はどこに行っても目立たないですね」
結果的に気付かれたとしても無駄ではない
足音や服に気を使っても、バスに気付かれてしまうことだってある。でも、その気付きをちょっと遅らせるだけでもいい。川村さんは最近ブルーグレー系の服がお気に入りだ。
レジェンドの心得第6条 「雑に釣りするのはやめろ!」
キャストもリグの仕立て方も精度を高めるに越したことはない
川村「雑な釣りをする人は釣れません。たとえば、狙った場所にアバウトなキャストをする人がいますけど、最近のフィールドには、それでも釣れちゃうような甘さがありません。僕は狙った1点の10cm手前に落とすくらいなら、ルアーが空中にあるうちに回収します。釣りって基本フィネスだと思います。フィネスリグという意味ではなく、どんなルアーでも繊細な要素がすごく影響するんです。
雑と言えば、ワームのフックセットがダメな人もよく見かけますね。ワームを曲がってセットしてるとか、フックサイズが合ってないとか。フックはウエイトやキールの役目も果たしている場合もあるので、雑にフックを選んでいるとアクションにも問題が生じます」
ワームフックを雑にセットするのは言語道断
ワームは適正なサイズのフックをまっすぐキレイにセットするのが大原則。大きすぎるフックはバスにとって違和感でしかないし、小さすぎるフックはフッキング率が悪くなる。
レジェンドの心得 第7条 岸釣り3種の神器を常備せよ!
これらを活用することでバスと向き合う姿勢も向上する
川村「アイチューナー、水温計、そしてフックシャープナー。僕は、オカッパリ用バッグのなかに必ずこの3つを忍ばせています。
クランクベイトなどのリップ付きプラグは、新品が全部まっすぐ泳ぐとは限りません。トゥルーチューンは、基本やるべきものだと思っています。ちょっと壁に当たったり根がかりしただけでも、バランスは崩れますから。
それからオカッパリは魚探がないので、水温計も持っておいて損はないです。
最後にフックシャープナーですけど、ほとんどの人が持ち歩いていないですよね。ルアーも新品のうちは針先が鋭いけれど、使っていくうちに必ず鈍っていきます。特にスピナーベイトやジグは針交換ができないので、研ぐしかありません」
ビデオで学習した定番シャープニング法
川村さんの研ぎ方は、内側には決して触らずに、針先に向かって、周囲を研ぎあげる。これは昔、沢村幸弘さんがNBCのビデオで紹介した方法で、最も標準的な研ぎ方のひとつ。
レジェンドの心得第8条 「フィールドと魚を観察せよ!」
その1尾を未来の1尾につなげられる人こそ、釣果を重ねられる
川村「バスのいるフィールドは、天候、水質、気温、ベイトの種類など、取り巻く状況が刻々と変化します。それなのに、フィールドの観察をせずに、いつもと同じ釣りを始めちゃう人がいます…これは釣れませんね。僕は、まずフィールドを観察しなきゃ、何も始まらないと考えています。
また、釣りを始めてからの気づきも大切です。そうですね、一番の気づきは、釣れた魚の反応じゃないでしょうか。釣れた一尾を『釣れた、よかった』で、終わらせるのではなく、どこで食ってきたか? どんな水深で食ってきたか? どういう誘いをかけたときに食ってきたか? それを覚えておけば、その1尾を次の1尾につなげられます。これもある意味観察ですね」
釣るだけではなく、周囲の変化に注視せよ
普段はマッディーな水域がクリアになっているとか、前日の雨がどう影響しているか…など、フィールド観察は、バスの居場所や、釣り方を知るための大きなヒントになる。
レジェンドの心得第9条 「釣行回数を増やせ!」
現場感覚が薄れてしまうと、どうしても釣れなくなってしまう
川村「釣行回数を増やせ…ですね。やっぱり釣りって、実際に釣って覚えることがとても多い。本や動画でテクニックを学んでも、現場で実践しないと自分のものにはならない。
自分にとって相性の良い道具というのも、使い込まないとわからない。キャスト精度もそれなりの頻度で釣りに行かないと上達しないし、維持できない。釣行回数が減ると、現場感覚みたいなものが薄れてしまうんです。ただ、人それぞれ事情があるので、できる範囲で増やすしかないんですけど。
昔、『ザ・フィッシング』を観ていたら、アメリカから帰ってきた泉和摩さんが『上手くなるためには?』みたいな質問を受けて、その答えはひと言『釣りに行くことですね』でしたね」
多忙を極めても時間を作り、現場感覚を磨く
ルアーメーカーの経営という激務をこなしつつも、精力的に釣行を重ねる川村さん。そうして培われる現場感覚が、新テクやルアーデザインのアイデアの源泉となるのだ。
レジェンドの心得第10条 「人が多くても有望場所は捨てるな!」
人もバスもいない場所より、人もバスもいる場所を選ぶべきだ
川村「よく釣れる場所って、どうしても人が多くなってしまうんです。でも、人が多いからと言って、その場所を捨ててしまうのはもっと釣れない。もちろんマナーとしての距離感は配慮しての話なんですけど、その日その時の状況で、いいとわかっている場所には多少人が多くても、突っ込むべきだなと思います。やっぱり今、バスってどこにでもいる魚ではないので、本当にいいところにしかいないんです。
ヘラブナ釣りのおじさんから、以前こんなことを言われました。『バスを釣る人が、今日だけで、ここだけで、何十人も来てるぞ』と(笑)。でも、そのうち何人かはバスを釣ってるんですね。だから、人の多さはそんなに気にすることはないんですよ」
自分の性格に合ったバスがいたりもする!
人の多いA級スポットでも、他の人には釣れなくて、自分だけ釣れることがある。そんな自分の性格に合うバスというのも存在するのだ。たとえ人が多くても、チャンスはある。
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