昨今釣り初心者からベテランアングラーまで、大人気なルアー釣りジャンルとして注目される「ショアジギング」。ショアジギングの主となるルアーの「メタルジグ」も、様々な形状や重さ、材質(鉛、タングステンなど)によりリーズナブルなものから高価なものまで多岐に渡ります。そんな激戦区のルアージャンルに、常識を覆す”異端児的メタルジグが登場しました! その名は「極ジグ」。一体このメタルジグはどのような『極み』をもたせたメタルジグなのでしょうか?「ゴクスペ」シリーズを手掛けるメーカー・ピュアテック(株)へのインタビューと編集部による実釣インプレでその秘密を解説していきましょう。
極ジグTG(ゴクスペ)
タングステン製ならではの飛距離にアクションの自在性を備えたメタルジグの新常識
【スペック】
●重さ:30g、40g 、60g ●カラー:6色 ●価格:オープン
冒頭でお伝えした通り、昨今のショアジギングブームにより、釣り場にはアングラーが増え、プレッシャーがかかり、通常のメタルジグでは釣りづらい状況にあるといえます。
そんなハイプレッシャーフィールドに打ち勝つために生まれたのが極ジグTGなんです。
素材には、鉛よりも比重が重く、シルエットを小さくしながらも飛距離を出すことができるタングステンを使用。
フォール時に水を受ける場所を増やした独特フォルムを採用することで、タングステンボディでは考えられないほどのスローフォールを実現し、フォールでのバイトをより誘いやすくなっているんです。
また、ジャークの際には瞬間的にクイックなアクションを演出しながらもピタッと止まるため、狙ったレンジや狙った場所でしっかりとバイトの間を与え、喰わすことができるんです。
自重 :30g
フック:オーナー社製使用
カラー:イワシ・ブルーピンク・シルバー・ゼブラグロー・グリーンゴールド
※画像は共通画像を使用しております
今回この極ジグの生まれた背景やその特徴を、開発に携わった一人、ピュアテック(株)の福原さんにお聞きしました。
開発者に聞いた極ジグTG誕生秘話
極ジグはタングステンなのに何故スローフォール&クイックなアクションが可能なのか?
福原「スローフォールの秘密は特徴的な裏面のキール状の形にあります。市場に出ているタングステンジグは飛距離を出すところは一緒の目的なんですけれども、どちらかといえば形状はストレートタイプで、早くボトムにジグを沈めることをコンセプトにしているものが多いです。
ですが、極ジグTGはタングステン製でありながらスローフォールさせるために、キール状にしてフォール中の裏表をはっきりさせることで、ヒラヒラとしたアクションで喰わせ重視のコンセプトにしているんです」
なるほど!フォール中の裏表をはっきりさせることでタングステンのジグでもスローにフォールさせることが可能なんですね。
福原「さらに設計のキモがありまして、センターよりもほんの少しリア側に重心を置いているんです。これにより、ジャークアクションにもレスポンスよく対応して動きのメリハリをつけることが出来るんですよね。しかもジャーク時にはキールが抵抗になることでジグが水中で止まるようなアクションになり、よりターゲットに魅せて食わせることを可能にしています」
バルサの手削りで型の原型を作成! 釣れる形は共通認識だった!
福原「実は極ジグTG、弊社のスタッフがバルサを削って、型をイチから作っているんです」
メタルジグってシンプルな形状のものが多いですし、CAD等でいきなり設計するのかと思っていました。
福原「製造拠点が海外になるため、こちら側である程度の形と形状を把握したうえで型を起こした方がアクション的な部分も含め開発が進みやすいと思ったんですよ」
なるほど。目指すコンセプトや設計思想が固まっていたらこそですね。
福原「そうです。潮が速い場所で底を取りやすいというタングステン製ジグの強みはあえて求めず、タングステンならではの飛距離を実現しつつアクションの自在性や喰わせる性能に特化したジグを目指しました。
ちなみに開発スタッフとは別にもにバルサを削っていたのですが、行き着いたとこところは同じ形状でした(笑)。タングステンジグでも、フォールで魅せられるような形状が一番釣れるよねというのが共通認識だったんです」
開発者のオススメアクション
福原「フォールやジャークなど様々な形で釣果を出しているんですが、中でも思った以上にただ巻きが良いんですよ。リリースしてからSLJ(スーパーライトジギング)で釣果が先行して出てたんですけど、中でもマダイの釣果報告がかなり多くて。ただ巻きでも弱冠テール側を振るようなアクションしてくれるので、マダイ狙いでも有効なんだと思います」
なるほど、通常のジャークについてはどのようにアクションさせれば良いですか?
福原「僕自身がよくやるアクションとしては、オーソドックスなワンピッチジャーク。ポイントはジャーク後のフォールをゆったりと長く魅せるようなアクションをさせること。キジハタなどの根魚にもかなり有効で、釣りに行った際にも立て続けに釣果が出た場面がありました!」
根魚に有効だと、使える幅がぐっと広がりますよね! もちろん青物にも効果的ですよね?
福原「つい先日も開発のメンバーが関西の沖堤で、トウィッチアクションにステイのフォールを織り交ぜていたらメジロ(ワラサ)が『ドンっ!』と(笑)」
タングステン製だけどオールマイティに作られている!
福原「タングステンならではの飛距離を飛ばせるからこそ広範囲にただ巻きや、トウィッチ&ステイのアクションも長く魅せられる。また魚がいるレンジも分かっていればスローフォールでネチネチとゆっくりとタイトに魅せることも可能なんです! どれが一番というアクションは特になくて、幅広いアクションに対応可能なので是非色々と試していただければと思います」
ルアマガプラスメンバーが極ジグを弄り倒す!
デザイン:ただの鉄の塊じゃない! 優れたデザイン性
実際に極ジグを手にして感じたのは、確かに意図のある設計がなされているんだな、ということでした。
例えばアイ(目)がある側の面。
フロントアイからアイ(目)を抜け、ボディの1/3程度まではセンターラインが出っ張っているのですが、そこからリアアイに向かって一気にフラットな形状になっています。
また、反対側の面には中心線沿いが出っ張り、キールのような形状となっています。
シンプルな設計になりがちなメタルジグですが、プラグ並に形状に意図をもたせていることが伺えます。
フックはフロントアシストフック×2を標準装備。
根がかりしにくく、水中でフックがラインを拾ってしまういわゆるエビになりにくいセッティングです。
しかもフックは有名メーカーである「オーナー」社製を使用。加えてバイトマーカーとしての働きを狙ったティンセル付き!
フックを付け替えたり取り外すことなく、買ってそのまま使える仕様になっているのは非常にありがたいですよね。
ラインナップ:わかりやすいウェイト&カラーラインナップで迷わない!
ウェイトのラインナップは30g、40g、60gの3種類。
ライトショアジギングのド真ん中ウェイトが揃っています。
使用するタックルにもよりますが、40gを基準に、釣り場の水深が浅いなら30g、深かったり風が強いなら60gを使う、くらいのざっくりとした感覚で使い分けられそうです。
カラーは全6色。
全国どこでも使えるベイトフィッシュカラーでのイワシ。
ソルトルアーの超定番色ブルーピンク。
色の濃い海では特に水馴染みがよく、愛好家も多いグリーンゴールド。
よりフラッシング効果に期待のもてるシルバー。
タチウオ狙いなどでは定番であり、ハマると凄いゼブラグロー。
マズメ時などのローライトで活躍してくれるアカキン。
様々なシチュエーションに対応できるカラーバリエーションですよね!
価格:タングステン+アシストフック×2付きで驚きのハイコスパ!
極ジグの価格はオープン設定になっておりますが、店頭価格を調べると1000円前後であることがわかります。
レアメタルでもあるタングステン素材を使用しているため、もちろん鉛製ジグには価格は及ばないものの、アシストフック2つ付きでこの価格は正直驚きです。
また、一般的なタングステン製メタルジグの価格よりも100~200円程度安いことが多いのも魅力的ですよね。
キャスタビリティ:さすがTG! 驚きのぶっ飛びを披露!
それぞれのウェイトのジグを、全長10ftで適合ウェイトが20~60gのロッド+PEライン1.5号&リーダー5号のセッティングで使用してきました。
もう当然、カッ飛びます!
鉛のジグと比べると、一回り重いジグを投げているのと遜色ないキャスタビリティでした。
やはり同じ重さでもよりコンパクトな方が空気抵抗も小さくなり、よく飛ぶようになりますね。
さらに単純に遠くまで飛ばせる、という点も優れていますが、力まなくてもしっかりと飛ばすことができる点でも優れていると言えそうです。
また、上記のタックルの場合、40gが最も投げやすく、距離が出た印象でした。
おそらく、振り抜けがよくてキャスティング時の初速を上げやすく、そのおかげで飛行姿勢も安定しやすいからだと思われます。もう1ランク上のロッドであればもちろん、60gももっと気持ちよく飛ばせるはずです。
キールが飛行姿勢を制御!?
アイ(目)の無い側のセンターに設けられている稜線。アクションにも当然、影響を与えていると思われますが、飛行機で言うところの垂直尾翼の役割も担っており、飛行姿勢にも影響を与えているようです。
シルエットは翼の断面に酷似!?
極ジグのアイ(目)を下にした状態で横から見ると、そのシルエットはまるで飛行機の翼の断面のよう。飛行機の翼はその形状により揚力を生み出すことで飛んでいますが、極ジグでも同様の効果があるのかもしれません。
フォール:釣れる形を追求した独自設計で理想的な喰わせのフォールを実現
極ジグのフォール。
これには驚かされました。
ヒラヒラとフォールしていく様は、まるで普通の鉛製ジグ!
ストンと沈まないので、フォールによる喰わせの間が作りやすいであろうことは想像に難く有りません。
おそらくフォールだけ見たら素材を当てられないかも…。
スロー系ジグに近いシルエットに、水噛みのための複雑なデザインが組み合わさって生み出された言わば奇跡のセッティングです。
操作感:ジグが泳ぐってこういうことか!
フォールの次は操作感ですが、こちらにも驚愕。
とてもタングステン素材とは思えないような、非常に軽やかなアクションを披露してくれるんです。
その動きのキレはまるでスプーンの様。
ティップだけを振るような小さなジャークやトゥイッチでもよく泳いでくれました。
また泳ぎだしもよく、細かいピッチのジャークやストップ&ゴーでもレスポンス良く泳いでくれましたよ。
タダ巻きでの泳ぎももちろん良くて、スロースピードでもよく泳いでくれました!
浮き上がりやすいため、高速リトリーブでの表層攻略も面白そうです!
画期的なタングステンジグの登場が時代を変える!?
コンパクトかつ高比重であるタングステン製メタルジグでありながら、驚きのアクションレスポンスを披露してくれる極ジグTG。
その存在感は一般的なタングステンジグとはちょっと異なると言えるでしょう。
というのも、極ジグTGはその魅力的な特徴とは相反する要素として、一般的なタングステン製ジグに比べればフォールスピードは遅いし、すぐに浮き上がってしまうんです。
そのため、深場まで素早く落としたい時、潮の流れがキツイ状況、ボトム付近を速いスピードで探りたい、といった状況はちょっと苦手。
それではどういったシチュエーションが得意なのか?
ズバリ
普通のときはいつでも使える!
でしょう。
タングステン製で抜群のキャスタビリティを誇りますが、その使用感は鉛製ジグのそれ。
であるのならば、従来のタングステン製ジグを使う場面以外は全て極ジグが得意とするとも言ってしまえるわけです。
実際に使ってみて、同じレンジ感、スピード感で使えるジグなのに、飛距離は鉛よりも圧倒的に飛ぶ、という感覚を味わっていますからね。
もちろん、ベイトフィッシュにシルエットを合わせたい時、細長いジグでロングダートさせたい時、より表層をゆっくり引きたい等々、特化したシチュエーションには向いていないわけですが…
例えば釣り場で最初に投げるジグであったり、ローテーションの中心軸となりうる定番。
極ジグTGはまさしく、その枠にピッタリなメタルジグなわけなんです。
もしかしたら近い先、鉛ジグよりもタングステン製メタルジグが当たり前の時代がやってくるかもしれません。
だとすれば、極ジグTGはその道の最前線を行くルアーとなることでしょう。
自重 :40g
フック:オーナー社製使用
カラー:イワシ・ブルーピンク・シルバー・ゼブラグロー・グリーンゴールド
※画像は共通画像を使用しております