O.S.Pの2021年の新製品、シンカーウィップはキャロライナリグにシャッドを接続する「シャッドキャロ」を想定したシンカー。力の弱い人や女性、子どもでもハードジャークを繰り返せるよう水の抵抗を減らした形状が特徴だ。その開発の影には目に見えにくい苦労もあったとのこと。シンカーウィップの発起人である林晃大さんに話を伺った。
解説はシャッドキャロを得意とする林晃大さん!
そもそもシャッドキャロとは?
シャッドキャロとはラインシステムにシンカーを組み込み、本来の潜航深度では届かないようなディープにまでシャッドを沈めて底層を攻略するテクニック。
長野県は野尻湖をホームレイクとする林晃大さんは以前からこのシャッドキャロを活用。
2015年にO.S.Pのスタッフレポートでも語っており、シャッドキャロの変遷がかいま見られる。
2021年に新たに販売する『O.S.Pシンカーウィップ』は、このシャッドキャロのために専用設計されたシンカーだ。
O.S.Pシンカーウィップ(O.S.P)
【スペック】
●3.5g:3個入り、680円(税抜き)
●5g:3個入り、770円(税抜き)
●7g:2個入り、680円(税抜き)
●発売時期:2021年2月
シンカーウィップはシャッドキャロ専用のシンカー。
専用品を新たに開発するということは、一般的なキャロライナリグで使うシンカーでは満足できなくなった…ということですよね?
林「はい。通常の中通しのシンカーだとジャークしたときに結び目にシンカーが当たって、途中で切れるトラブルが多発するんですよ」
シャッドキャロはルアーとアングラーの間にシンカーが挟まるため、アクションを伝えるためにハードなジャークを多用する。
ワームを使う一般的なキャロライナリグとは違い、常に大きく、激しくアクションを与え続けなければならないシャッドを接続するからこその問題点だ。
林「シャッドの動きで重要なのは直進安定性と抵抗の少なさ。この2つを突き詰めていった結果、シンプルですがこうしたウィップの形状になりました。個人的には細身であることに重きを置いていますね」
シンカーが細いことでどんなメリットがあるんでしょうか?
林「シャクったときにシンカーがブレてほしくないんですよね。ブレるとシャッドの動きのキレも落ちるし、アクションにシンカーの素材感がでるのが嫌だったんです」
シャクった後、フォール時の動きにも林さんはこだわりを持つ。
林「左右非対称とか上下非対称のシンカーも試したんですが、シミーフォールしたりしてシャッドの動きに干渉してしまうんです。でも、細身にしたことのいちばんの利点は抵抗の少なさですね。水の抵抗を受けるとその分手元への負荷が大きくなる。それをいかに軽減するか、です」
ハードな連続ジャークを何度も入れ続けなければならないのがシャッドキャロという釣り。野尻湖、琵琶湖でガイド業を営む林さんには歯痒い思いもあったようだ。
林「普段ガイドするときのお客さんには力の弱い人や女性、お子さんもいて、僕と同じ強さでジャークし続けてくれと言っても無理なんですよ。そんな人達がどうやったら使えるかって思ったら、抵抗を軽くしてやることで同じくらいのジャークができるようになるなって」
あくまでもシンカーは脇役! 「存在感を消した」シンカー
シャッドの動きに影響を与えず、アングラーへの負荷を減らすために引き抵抗も減らす…林さんの開発過程とは、シンカーの存在感を消していく作業だった。
林「それもあってカラーを黒にしています。水中でのギラツキを抑えたいんで。素材も比重が高い焼結タングステンにしたので、その分コンパクトにまとまりました。シンカーで魚が釣れるわけじゃないんですよ。あくまでもシンカーは脇役なんで、目立ったらダメなんです」
側面の特徴的な「丸ポチ」は苦難の証
「シンカーウィップ」の側面には金属のピンが1本刺さっている。これは後付けしたワイヤーを固定するための策だ。
林「焼結タングステンは文字通り焼き固めるもの。しかし熱を入れるとワイヤーが溶けてしまうんです。だから事前に穴を開けておき、ピンで固定する構造にしました。このピンがないとシャッドキャロのハードジャークには耐えられないんです」
専用シンカーを開発してまで試したい「シャッドキャロの魅力」とは?
そこまでしてシャッドキャロにおける利便性を追い求めるのは、やはりこのテクニックがバスにとって魅力があるからですよね。
林「ここ数年ようやく注目され始めたとは思うんですけど、まわりが釣れていないタフな状況でも釣れる釣り方なんです。深いレンジでの横方向リアクションはなかなかないんですよね。そこが強いのかなと思います」
シンカーウィップはシャッドキャロでの使用を前提としているとは思いますが、他に有効な釣りはありますか?
林「専用とはうたっていますが、要は『存在感を与えない』シンカーなので、テキサスや普通のキャロでもワームとよく馴染みます。またスクリューキーパーを付ければネコリグのシンカーとしても。ワームの先端に3.5とか5gのシンカーを埋め込むのは大変ですから」
ウェイトの使い分けはどうでしょうか?
林「基本はレンジに合わせます。3.5gが水深4~6m、5gが水深5~8mくらいで、7が7~10mの想定です」
必ずしもジャークしなくてもいい! シンカーウィップの活用法
シンカーウィップがいよいよ発売となりましたが、この時期(2月)以降に活きる使い方はありますか?
林「越冬後のディープフラットにいる魚をシャッドキャロで狙いましょう。まだ水温も低く、早すぎる動きにはバスも反応できないのでジャークは優しめ、あるいは逆にズル引きも。ジャークしなければいけないわけじゃないんです。
季節に応じて魚が追えればハードジャーク、動けなければズル引きで。いろんな使い方ができるからアレンジして使って欲しいです。一応シャッドキャロ専用なんですが、それに捉われずに使ってください!」