ボトムからバスを湧かし、周囲の魚を寄せ、ついには水面が沸騰するかのような強烈なバイトシーンをアングラーに見せつけるO.S.Pの新機軸ルアー『ピクロ68F』。リップを背中に背負った奇特な外見もあいまって大きく話題を呼んだ昨年の快作だ。そんなピクロがSSS(スーパースローシンキング)として2021年に着弾。バス釣り界にさらなる旋風を巻き起こすことは間違いない。
解説は開発初期から『ピクロ』に携わった林さん!
林「ピクロはオリジナルをプロトの段階からテストしていました」
そう語るのはO.S.Pのプロスタッフ、林晃大さんだ。
背面に背負ったリップで水を受けると「ピクピク」と「ロール」することから名付けられた『ピクロ』。
昨年発売されたオリジナルのフローティングモデルは、遊泳力を失った小魚が弱々しくもがく様子を誰でも簡単に演出できるルアーとして非常な人気を博した。
林「野尻湖にO.S.Pのスタッフが来たときに見せてもらって、使ってみたらシーズンも終盤なのに短時間で良型が連発したんです。それで、これ面白いですねってなって開発が進んでいった感じです。動きもいろんなバージョンを作ってやらせてもらってましたね」
ピクロ68SSS(O.S.P)
2021年2月に発売する新モデル『ピクロ68 SSS』はオリジナルのピクロとどう違うのでしょうか?
【スペック】
●サイズ:68mm
●カラー:11色
●ウェイト:4.6g
●タイプ:スーパースローシンキング
●発売予定:2021年2月
林「オリジナルはフローティング。だから水深を入れたいときには潜るまでの助走距離が必要なんですけど、今回のSSSだと着水したところからスタートできるんです。もちろん、深めのレンジを引けるのもいいところですね」
オリジナルのウェイト4.4gに対し、SSSは4.6g。この0.2gのおかげで、30~50cmほど深くレンジを刻めるのだという。
林「メチャクチャ違うかと言えばそうじゃないですけど、リザーバーで使うにあたって、切り立った地形とかで使うときに、最初に沈められるのはメリットですよ。水面なのか水面下50cmなのかでは大きな差があるんで」
オリジナルのフローティングと違い巻きを止めても浮き上がらないので、水中でも「食わせ」の間を作りやすいのもSSSの利点だ。
林「プロダクティブゾーン、ここで食わせたいって言うのが狭いときには特に使い勝手がいいですね。スローシンキングですが、すごいゆっくり沈むんで止めてても違和感がない。サスペンドに近い感覚です」
いわばピクロは「ミドストプラグ」!?
林「いろんな使い方ができるんですよね。ただ巻きだったり放置だったり、トゥイッチもいけます。個人的に一番使うのはミドスト、ホバストですね。ロッドワークでラインを動かしてロールさせます」
近年人気のミドスト&ホバスト。ワームでする釣りのイメージが強いですが…。
林「ピクロにはハードルアーならではの集魚力があるので、魚が浮いてくる感覚はより強いです。フラッシングだったり、音とか波動があるんで、それはもうワームには出せないですから」
そうなると、ルアーのジャンル的にはどういったものになるんでしょうか?
林「強いて言うなら…ミドストプラグですかね。ただ巻きだとバイブレーションとかミノーみたいな感じでリップが水を受けて潜るタイプで、ミノーでもあるし、良いとこ取りなルアーなんです。ミノーとi字系の中間って感じかな」
ピクロのおすすめは春と秋のデカバスハンティング!
林「水温が下がって食いが渋くなってきたなってときに炸裂することが多いです。水温だと14、15度で下降気味のときですかね。高いタイミングだとどうしても小バスの活性が高くて、そっちに持っていかれちゃうんです。この前は山口でロケしてでかいのばっかり釣れましたけど(笑)」
林さんが最初に野尻湖でピクロを使ったのもちょうどその時期だ。
林「テストのタイミングは10月とかで釣り人もいなくて、寒くてそもそも釣れないよって季節のはずなのに、ワラワラと湧いてきたんですよ。湧き方も真下から突き上げてくるような感じで、2、3匹で取り合うみたいな。
スモールって見たことない動きに興味をそそられる特徴があるんで、まさにそれだなと。バスが見たことがない、これまでにない動きだったのが大きかったと思います」
林さんはスモール対応のカラーローテを駆使!
林「僕は基本ワカサギレイクで釣ることが多いので、リアルワカサギバージョン2とか、ベイトフィッシュライクなカラーがまずひとつ」
林「あと手持ちに入れておいてほしいのはピンク、黄色などのチャート系ですね。ルアーを目視しながら使うので、見やすいのは便利です。
ローリングでギラギラするのでリアルカラーでも見えるんですが、特にスモールはカラーローテーションで反応が違うことが多々あります。方向性を変える意味でも有効です」
どんなタックルでも簡単にロールが出せる、ミドスト系の新機軸
プロトから製品版に落とし込む際、新たに求めた性能はありますか?
林「使いやすさという部分で、正直最初のプロトのときはタックルを選んだんですよ。どんなタックルでも使いやすいように、簡単にロールが出せるようなアクションにしてほしいってリクエストはしました。
細かいことを言えば頭のブレが少ないとか重心もブレないようにとか。0.0何グラムとかでウエイトの調節とか、プロトを何個も何個も作ってみて、ああだこうだ開発の方と話して作ったんで、出来あがってすごく使いやすいルアーには仕上がったと自負しています」
正しいアクションには高い技量を求められるミドストやホバスト。しかし、ピクロはプラグならではの扱いやすさとタックルチョイスの幅の広さ、アピール力の高さでこのテクニックに新たな思考を持ち込んだ。
林「おすすめのタイミングがこれからの時期、冬から春にかけてなので、このタイミングでぜひ使って欲しいですね。僕の場合はリザーバーが多いですけど、フィールドを選ばないセッティングにしてあるので、野池でも試してもらいたいなと。
ピクロはバイトシーンが見えるからやってて面白い。いろんな使い方ができる自由度の高いルアーなので、いろんな使い方で楽しんでください!」