さて、釣りの準備はできました。実際に現場で釣りを始めるにあたって、気をつけなきゃいけないのはマナー。マナーとは法律で決められたものでも、遵守しなきゃいけないものでもありません。ですが、現場でのマナーや、気遣いは、釣りを始める今も、未来にも直接的に釣果に関わってくる重要なテクニックです。
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第12章 アジング、釣りの未来に直結するマナー問題
2019年以降顕在化したコロナ問題もあり、外遊び(アウトドア)が注目され、そのなかでも釣りは今や世界中で空前の大ブームです。こういったブームが発生するということは、初心者、ビギナー層が多くフィールドにやってくるということ。そして、残念ながらその多くは、あたり前のように取り組まれていた「釣り」のマナーを知るよしもありません。
「釣り」のマナーだけならともかく、遊ぶ人の分母が大きくなるということは、それ以前の人としてのマナーを守れないような人も多く流入してきます。釣り場にゴミを残さない。立入禁止エリアには入らない。などという子供でも理解できるようなことを大人が理解できないことも多々あります。
従来の釣り人のマナーについても、様々な取り組みがなされてはいましたが、当たり前のマナーが守れない一部の心無い人のために、今まで釣りができていたフィールドが立ち入り禁止になったり、釣り禁止になったりという事象が日本国内で多発しています。
これは、大変に残念な事態です。釣りは文化であり、心を豊かにする遊びのはずです。当たり前のマナーが守れないことで、どんどんと釣り場がなくなっている現状は、生活の質を貧しくしていっています。釣りに興味が無いという人にも回り回ってその貧しさは訪れてきます。ですから、無関心でいないでください。
自分が守っても、他人が興味が無いから釣り場でのマナーを守っても虚しいだけだ。とも思わないでください。率先した行動は、そういった「いくら言っても聞かない人」の居場所を狭めていきます。著者も自問自答しながら書いていきたいと思います。
では、具体的にどんな事に気をつけ、釣りを愉しめばよいのでしょうか。
【Part.1】釣りのマナー。準備の段階での工夫
今からでかけようとしてる釣り場の情報収集が可能であれば、しっかり行っておきましょう。残念ながら加速度的にフィールドの釣り禁止処置が進んでいます。去年釣りができた、先月釣りができたという場所が、釣り禁止になっている場合があります。
そして、道具について。必ず用意しておきたい道具に「ライフジャケット」を挙げたのは、自分の命を守るためでもあり、その釣り場を守るためでもあります。もし、あなたが、ライフジャケットを装着せずに現場で事故にあってしまった場合、それが残念ながら重大事故に発展してしまった場合、「釣り人の事故が起こったから、ここでの釣りは禁止」という事態になるケースが増えています。嫌な言い方をすると、自分だけでなく、他の人に迷惑をかけることになります。
ライフジャケットを装着していれば、最も起こってほしくない「死亡事故」を防げる可能性が高まります。ライフジャケットはロッドやリールなどの道具に比べて、購入優先度が下がってしまいがちですが、是非とも優先度を上げて準備してください。
また、ダストポーチや、喫煙者は灰皿などを用意しておくのもマナーを意識した準備です。著者も考えてみれば、コンビニの袋などはゴミ用に準備はしていましたが、基本、釣りカバンの中にゴミを集めて後ほど捨てるというスタイルで、ワザワザ、ダストーポーチなどの用品は準備してきませんでした。ですが、こういった専用の道具があれば、よりマナーに対しての意識が上がるのも道理です。カバンに無造作に放り込んだ、ラインの切れ端がルアーなどの用品に絡まって、邪魔になるなんてコトも防げますので、結論釣果にも繋がります。
【Part.2】釣りに行った地元でお金を落とす
少しだけマナーとは外れるかもしれませんが、この心がけも釣り人の地位向上に繋がります。コンビニを利用するにも、釣り場の近くのコンビニを利用する。食事処を利用する。お土産を買う。こういった心遣いで心象が変わったりします。釣り人がもたらす経済効果を地域の人が認識してくれれば、歓迎の機運が高まります。
【Part.3】駐車には細心の注意を払う
釣り人の移動手段のほとんどが車かと思います。バイクにしろ自転車にしろ言えることですが、駐車に関しては細心の注意を払ってください。有料の駐車場が近くに(徒歩圏内)あるならば、優先的に利用しましょう。多少遠くても、歩くくらいの気持ちでいてください。
港などの駐車スペースに空きがある場合でも、利用可能か必ず確認してください。
近年、この駐車トラブルも釣り禁止に発展する大きな原因です。漁港などは特にそういったトラブルが多発していますので、関係者に挨拶、そして確認するようにしてください。
【Part.4】挨拶というコミュニケーション
釣り場についたら、出会う釣り人や、地元の方に挨拶をすることはとても効果的です。もし、あなたが駐車が好ましくない場所に駐車していたり、釣りをすると作業者の邪魔になったりする場合は、一声かけてくれることもあります。無用なトラブルを避けることができます。
例えば小さな防波堤。突端に釣り人がいます。声を掛けずに突端の釣り人の迷惑にならないだろうと思って、防波堤の真ん中でロッドをふろうとしたら、先に入っていた突端の釣り人が激怒したり……なんて事案があったりします。当人は、離れているし良いだろうと思っても、先に入っていた人にとっては不快なんてこともあります。
途中で入った釣り人も、「ここの釣り場はお前のもんじゃないだろう!」なんて切り替えしたりする事になるのも釣り場のあるあるです。そうすると、お互いにヒートしあって……。
理不尽に思うかもしれませんが、こういったケースも最初に挨拶、会話を交わすことで快く釣りができることがあります。そんな事を言われる筋合いもないから気にしない。ではなく、気にすることでトラブルを回避できる事は多々ありますので気持ちよく釣りをするために、コミュニケーションをとることをオススメします。
とはいっても、いわゆる釣りのソーシャルディスタンス的な距離感はあるのか? という話になりますが、地域や釣り場の混み具合によりますが、目安としては自分がキャストする範囲内に、先行者のキャスト範囲とかぶる場合は、必ずひと声掛けましょう。このご時世ですので、余裕をもった距離感で楽しむのが良いと思います。
その釣り場のルールやマナーみたいなのも存在します。「そんなのオカシイ、関係ない」と思っても、コミュニケーションをとっておいて損はないです。釣りの情報も聞けるかもしれません。
ですが、自分の住む地元の釣り場であっても、そこは自分たちだけのテリトリーというわけではないことも意識しておく必要があります。マナーを守って釣りをしてくれる人に対しては、ぜひ寛容であってくれると良いですね。自分が足繁く通う場所を大事にしたい気持ちはよくわかりますが、ビジターに対して排他的に行動した場合、良い結末にならない事例が全国各地で見られます。釣り場を気持ちよくシェアできるマナーをお互いに培うように心がけたいですね。
【Part.5】ゴミ問題
こんなことをワザワザ、記述するのも読者に申し訳ないくらいです。そもそも、この記事をご覧になられているという方は、釣り場でトラブルなく楽しむために、既に意識されている方で、そんなことはあたりまえだと感じてくださっているはずなのですが、「釣り場にはいかなるゴミも持ち込まないように」しましょう。ポイ捨てなんて言語道断です。
細かなことを言えば、ルアーを結んだ際に少しでるラインの切りカスでさえ、落とさないようにしましょう。
弁当ゴミ、釣りゴミ、その他もろもろ。現場には残さないように! ゴミ箱が釣り場に設置されていても、そこにゴミを捨てないように心がけましょう。可能な限り、自宅に持ち帰って処理しましょう。
特にラインやフックなどのゴミは深刻です。野鳥や動物などに絡まることで、怪我をさせたりの事故も多発しています。そういった事態がネットなどで拡散されることで、「釣り人はマナーが悪い」「釣り人は排除すべき」といった論調も生まれかねません。
喫煙者の吸い殻……。釣りに限らずですが必ず持ち帰ってください。紙の部分は土に帰るからいいだろう。とかもNGです。どんな部分であろうと、見ていた人にとっては吸い殻を捨てたようにしか見えないからです。
ごみ問題に関しては、一部の団体や地元有志が、積極的に釣り場の清掃活動などを行うことで、そういったマイナスの側面を払拭するための活動を文字通り行ってくれています。こういった活動に、参加するの大事なことかもしれません。
こういったゴミ問題などの、人としてあたり前のマナー。いくら言っても響かない、聞かない人がいることは確かですが、そこは諦めてください。そういった人たちに心を痛めるよりも、自分が動いたほうが効果的だからです。釣り場に落ちているペットボトルを必ず1本持ち帰る運動。帰宅時に人のゴミであっても、ゴミ袋に1袋分持ち帰ることを心がけているアングラー……。そういった人たちの活動は決して無駄ではないはずです。
そういった行動を常日頃行うことで、心無い人の居場所が少なくなるからです。
【Part.6】騒音問題
アジングは特に夜に楽しむことが多い釣り。民家が近くにある場所で釣りの最中に騒いだり、車の開け締めの音を響かせたりということのないようにしましょう。
【Part.7】釣り場へのアクセス
入りたい釣り場にアクセスするために、徒歩などで、私有地内を通るようなケースがある場合は、必ず許可をとってください。それでなくても、夜間に民家近辺を移動する際は、細心の注意を払いましょう。知らずに他人の家の庭を横切っていたといったこともなくはありません。空き地の通行についても同様です。
以上に挙げました7点はごくごく、普通の話です。今更語るべきことでもないかもしれませんが、最低限、いや、最低限以上の行為で釣り人がゴミを捨てる人たちじゃないことを世間にわかっていただく必要があります。今だけでなく未来の釣り場を守るために、意識していきたいですね。