赤松さんが最も得意とする川での岸釣り。その春の攻略に欠かせない10個のルアーを挙げていただいた。目安となる時期は3月下旬以降。まさしくこの記事を読んでいるタイミングはラストスパートだ。
解説をして頂くのは村上DNAを引き継ぐ「長竿の貴公子」
【Profile】
赤松健(あかまつ・けん)
滋賀県出身、卓越したセンスを持つ気鋭のアングラー。村上晴彦に師事し、現在は一誠の社員として修行の日々を送る。岸釣りはもちろん、ボート釣りも得意としている。雑誌、ネット、テレビなどの各メディアで活躍中。
いい季節を堪能する10個の厳選ルアー
赤松「春の川は、流れがガンガン効いてる場所とか、ひたすら浅い瀬みたいなエリアに差している魚はまだまだ少ないですね。でも、水がよどんでいて、バス釣りしやすいような浅い場所がおいしくなる時期だというのも事実です。ルアーを10個選びましたが、春って正直いうといい時期じゃないですか。いいときに、いい時合いでルアーを入れれば、大概のものは食べてくれると思いますよ」
そう、釣り方やルアーも大事なのだが、釣るタイミング…つまり時合いが大きなカギを握っているようだ。また、川と言っても様々なタイプがある。水門で人為的に水位調節している河もあれば、大量に雪解け水が流入する川もある。状況が激変する川であっても、赤松さんが厳選した10個のルアーがあれば、きっと突破口が見えてくるはずだ。
キャラメルシャッド5in(一誠)ネイルリグ1.8g/1.3g
春の川でバスの捕獲率が最も高そうなリグ
春の川といっても、川の種類や水位などで状況は千差万別。しかし、このキャラメルシャッドのネイルリグならどんなシチュエーションでも気にせず使えるという。
赤松「まず水深は気にせずに投げられるし、ハードボトムだろうがウィードエリアだろうが、根がからずに引けます」
そんな使い勝手の良さが、赤松さんにこれを選ばせた最大の理由だ。メインの使い方は、ボトムから3cmくらい上のレンジをただ巻きすること。時々、ボトムに触れる感じがいいらしい。そしてカバーがあったら、そこに突っ込ませてズルズルと引く。フックはスティーズワームフックWOS5/0(DAIWA)を使用。キャラメルシャッドはボディー後部も肉厚なので前に1.8g、後に1.3gのネイルシンカーを入れることができる。
キャラメルシャッド5in&ビビビマルチ(一誠)
春の川を効率よくチェックするスイムジグ
ボトム付近を引くならネイルリグが適任だけど、中層を引くとなると若干ハードルが高い。レンジコントロールが難しいのだ。その点スイムジグは中層引きが簡単なので、中層攻略用として赤松さんはこのコンビネーションを推奨。
赤松「ビビビマルチは、特に3/0フックのモデルがスイミングに凄く向いてるんです。フッキングもいいので、オフセットのネイルリグですっぽ抜けたりしたら、これを巻いて、カツンとかけてやります」
沈むのも早いし、広い範囲を手っ取り早くチェックできる。ビビビマルチは7gが基本で、レンジやスピードによって、10gも5gも使う。
AKチャンク+根魚玉ブラック10g(一誠)
自在に動く独創的シンカーでハードボトム撃ち
「根がかりしにくい」という評判の海用フレキシブルヘッド「根魚玉」を、バス用にアレンジしたのが「根魚玉ブラック」だ。スナップで付け替えられる手軽さで、テキサスリグのようなカバー攻略機能を持っている。どんな場所で使うのかというと?
赤松「ハードボトム専用です。例えば波打ち際のリップラップに投げ込んで、引っ掛けては外し、引っ掛けては外しの繰り返しで釣るのが楽しい」
シンカーの下面がフラットなので、コロコロと転がったりしにくい。だから奈落の底へと落ち、回収不能になるリスクが少ないのだ。
赤松「AKチャンクは春にでかいバスが釣れるイメージありますね。もし弱気になったら、そのまま小さいワームをつけてください(笑)」
スパテラ7.8in(一誠)1.8gネコリグ
余韻で出せる自発的アクションがキモ
赤松「流れや風を受けてパシャパシャしている、そんなハードボトムエリアで使いたいですね。10ポンドラインのベイトフィネスタックルか、硬めのスピニングタックルでも使えるリグです」
たとえ強風が吹き荒れても、このネコリグならギリギリキャスト可能。動かし方は2種類あって、まずはボトムに落としてから一回ちょんと動かして止まるのを待つ方法。それから、ボトムでずっと動かし続けるボトスト的演出も有効だ。どちらにせよ、直接人間が与えた動きよりも、その後の余韻でワームが自発的に動く部分がバスを刺激するようだ。フックはジャングルワッキーガード#1(カルティバ)を使用。
GCハスフラット180F(一誠)スローフローティングチューン
必殺のデッドウォークでバスを呼ぶ
優れたカバー回避能力と、鋭敏なアクションレスポンスを誇るハスフラット。元々フローティングだが、赤松さんはリップとフロントフックの間に2gの鉛シールを貼り、スローフローティングにチューンして使用。
赤松「使う場所はピンですね。例えばいかにもバスが付いていそうなブッシュとか。あるいは、どこにいるかはわからないけど絶対にバスがいると確信できるような小さな支流とかでも使います。バスがルアーのところまで寄ってきてくれるので」
演出法は、カバーに突っ込ませて抜けさせたり、あるいはボトムに当てながら引くのもいい。特に得意としているのは、最近流行している細かい首振りアクション『デッドウォーク』だ。
時合いがハマれば一発!
ザリバイブ67/57(一誠)
春のデカバス時間帯は、迷わずザリバイブ
クランク並みのパワフルな波動を出し、フォール中も「シミーフォール」でバスを誘う、一誠イチ押しのバイブレーション。特に春はビッグバスの捕獲例が多い。では赤松さんはどんな場所で使うのか?
赤松「根がかりしにくくて、広い場所ですね。ここなら夕まづめに一発出そうだな……と思ったら、ザリバイブを使います。基本はボトムに当てながらのただ巻き。ただ、4~5mなど余りにも水深が深い場所では、リフト&フォールも織り交ぜます」
57と67の使い分けは、気分次第らしい。
沈み蟲2.6in(一誠)バックスライドリグ
根がかり多発地帯でバックスライド!
赤松さん的に、このワームの使いどころは2カ所ある。
赤松「まずは流れが当たるブッシュですね。魚がいそうなブッシュの奥にバックスライドでスルスル入れていく感じです。テキサスやラバージグより奥に入ります。もう一つがオープンで緩やかな流れが効いてる場所。ここではドリフトで使います。よく飛ぶので対岸にまでぶっ飛ばして、ずーっとラインに流れを当ててドリフトさせる。何かに引っかかっても、ティップをゆすって外して、またドリフトみたいな」
いずれにせよ、根がかりが激しい場所で使えて、フッキングがいいというのがこのリグの特長だ。フックはマルチオフセット2/0(カルティバ)。シンカーは0.9gのネイルシンカーを、最後部に刺して、瞬間接着剤で止めるのがベター。
AKチャター10g+カタクチワームヤバクネ4.5in(一誠)
パワーと食わせを併せ持った最強コンビ
このチャターは、バスがピンスポットやカバーに付いていないとき、あるいはカバーとはリンクしない沖にベイトがいるシチュエーションで使用する。とにかく、オープンウォーターでただ巻きするのが基本だと赤松さんは念を押した。
赤松「凄くパワフルなチャターなので、そのパワーで魚を寄せて、タイトな千鳥アクションでスイッチを入れるイメージですね。だから自分ではアクションを加えない方がいい」
トレーラーのカタクチワームヤバクネは、AKチャターにとって最良の相棒。ただ巻き時のゆらめきアクションは、見るだけで赤松さんのテンションが上がるという。
ギルフラットセット(一誠)
完璧なセッティングが、見えバスを騙す
ギルフラットにあらかじめシンカーとフックをセットして、ベストな状態で販売されているリグ済みのワームだ。これを巻いて使うと多関節ボディーのビッグベイトのように、艶めかしく動くのだが、赤松さんの場合、春の川ではあえて巻く釣りは選択しない。
赤松「サイトフィッシングか、ピン狙いで使います。みんながライトリグのサイトフィッシングをやってるような状況で、このルアーを使うとバスが勝手に食って来るんですね。川でのサイトでは、相当強い!」
必殺のサイトテクは、見えバスの進行方向で待ち伏せして、バスの視界に入るか入らないかでジャーク。このときの本気バイトは半端ないらしい。
ギルフラットjr(一誠) ヘビキャロ
信じれば攻略できるヘビキャロのピン狙い
ヘビキャロでありながら、実は沖のピンスポットを狙う高度な釣法。狙うピンは、岩や激しいブレイクなど。それらの存在を知っていることが前提条件だ。フックはマルチオフセットの1/0(カルティバ)で、シンカーは1/2~3/4oz、リーダーは1m前後。フックは『たすき掛け』と呼ばれる刺し方を推奨。これは、フックのフトコロが横っ腹に露出していて、反対側の脇腹にはバランスをとるためのネイルシンカーを打つ方法。これによってギルフラットは横倒しにならず、いい姿勢で漂うのだ。赤松さんの演出法は明確だ。
赤松「ズルズル引いて、沖の岩にコリッとシンカーが当たったら、そこでロングシェイクです。なかなかみんなやってくれませんが、これが効くんです」
レギュラーサイズのギルフラットでも食って来るが、ヘビキャロで飛ばす際に飛距離を伸ばすのが難しいのだ。