渓流ミノーイングのベーシックミノーとは? ベテランアングラーの渓流釣り理論



ジップベイツのリッジシリーズは、プラグにこだわり、フローティング、シンキング、ヘビーシンキング、ディープダイバーなど、幅広いトラウトミノーを網羅している。「まずは基本のフローティングとシンキングを使いこなしましょう」とは、長年シリーズを愛用し続けている河井修一さん。タイプの中で基幹モデルとなる、56mm(F・S)モデル、70mm(F・S)について。

渓流ミノーイングのスペシャリストに教えを乞う!

【Profile】

河井修一(かわい・しゅういち)

ジップベイツなどのフィールドテスターを務めるエキスパートで、源流、渓流、本流ヤマメ、サクラマスなど幅広いトラウトの釣りに精通。ホームグラウンドは東京都・多摩川水系や山梨県・桂川水系だが、北陸地方にも頻繁に足を運んでいる。

河井さんが求めるトラウトミノーの性能

源流から本流まで、幅広い守備範囲をもつ河井修一さんはプラッギングにおいて“トレースライン”を重要視している。

「少しレーンがズレただけで食わないこともしばしば。付き場や流れのどこに潜んでいるのか、まずはそこから探っていきますね」

下の写真のように、流れの中のどの部分にルアーを通すか、ということだ。これが少しでもズレただけで、魚が食うか食わないかが決まってくるという。

本流など川幅が広くなれば、攻略するべきレーンは必然的に増えてくるが、考え方は渓流も本流も基本的には同様だ。

「レーンを意識した上で、表層なのか、中層なのか、ボトムなのか、と攻略レンジを探っていくのが基本ですが、個人的には表層から1mくらいまでの範囲で勝負することが多いですね。ディープダイバーやヘビーシンキングでボトムの魚に口を使わせる釣り方もありますが、ひとつのポイントに対してあまり時間をかけず、せいぜい3投くらいで次のポイントに向かうくらいが、効率的です。高活性の魚をどんどん釣っていくイメージですね」



まずはフローティングとシンキングの釣りを覚えるべし!

魚の付き場を意識したレーン・レンジの攻略を重要視する河井さん。では、各ポイントをどんなルアーで攻略しているのだろうか?

「近年はヘビーシンキングの人気が高いですよね。もはや、主流と言っても過言ではありません。当然、僕も好きで使っていますが、渓流ミノーの基本はフローティング。渓流ルアー黎明期はこれが主流でした。動きのレスポンスが高いので、実際使ってみると良さがわかると思います。ヘビーシンキング一辺倒という方も多いかと思いますが、フローティングはもちろん、シンキングやサスペンドといった他のシンクレートも取り入れることで、獲れない魚が獲れるようになるはずですよ!」

ヘビーシンキングミノーを使いこなすためにも、フローティングミノーを使って得たノウハウが生きてくる、と河井さん。

「渓流ミノーの選び方として、まず大切なのはレスポンスがよいこと。なるべく水から飛び出しにくく、泳ぎが破綻しにくいものが好ましいですね。流れが強く複雑なポイントほど、“飛び出しにくい”という性能がミノーイングの釣りを快適にしてくれます」

ティップがしっかり入るアクションのロッドを使うことで、水面からのルアーの飛び出しを避けることもできるようだが、そのあたりはミノーの性能に頼りたいものだ。

河井さんが渓流ミノーイングを極めたハイレスポンスミノー

リッジ56(フローティング&シンキング)モデル

リッジ70(フローティング&シンキング)モデル

こちらは河井さん一押しのミノー。リッジ56&70いずれもフローティングとシンキングが存在し、0.5~1mのレンジ攻略を得意としている。

「源流や渓流域の釣りにおいて、近年は40~50mmモデルが多いですが、こちらは56mmモデル。アクションはもちろん、僕はこのサイズ感ならではのアピール要素にも魅力を感じています。フラッシングの強さも相まって、アピール性能に優れトラウトのスイッチを入れやすいんです。とくにリッジのフローティングモデルは水面から飛び出しにくく、表層付近を意識した、テクニカルな誘いが演出できます」

フローティングモデルに対してシンキングモデルはやや下のレンジを探りたいときに効果的。流れの押しが強い場所などで使いやすく、ヘビーシンキングより軽やかなアクションで誘えるメリットがある。

「70モデルに関しては本流の遡上系トラウトや、アユを意識したパターンで有効です。ナチュラルなロール主体のウォブリングを発生させながら、流れと同調させながら誘う“ドリフト系のアプローチ”も得意とします」

河井さんは利根川本流の遡上ヤマメ狙いによく使うそうだが、渓流でも“強いアピール”を演出するために、70を取り入れることもあるそうだ。

河井流のネイティブトラウトカラー理論

“ルアーはニセモノゆえに本物とそっくりにする必要はない”といのが、河井さんのルアーカラーに対する考え方だ。

「まず万能選手という位置づけがワカサギなどのベイトフィッシュを模したナチュラル系の“ホロ・テネシーシャッド”。ホログラムが強いフラッシングを発生する“ヤマメ・H(ホロ)”は、ナチュラル寄りのアピール系としてオールシーズン使っています。そして、シーズン終盤を意識した攻略パターンでは、定番カラーの「アカキン」をメインにセレクトしてます」

リッジ56【カラー名:ホロ・テネシーシャッド】

ワカサギなどのベイトフィッシュを模したナチュラルカラー。万能選手という位置づけで、様々なシーズン、様々なシチュエーションで活躍

リッジ56&70【カラー名:ヤマメ・H(ホロ)】

ホログラムが強いフラッシングを発生する“ヤマメ・H(ホロ)”。ナチュラル寄りのアピール系としてこちらもオールシーズン活躍。

リッジ56&70【カラー名:アカキン】

定番カラーのアカキンだが、河井さんはシーズン終盤に使うことが多い。

「もうひとつ、限定的なシチュエーションになりますが、ヒゲナガカワトビケラが集団ハッチするタイミングではブラックカラーのミノーがよく効きます。リッジ70に新たに登場した漆黒ヤマメIIはまだ使用していませんが期待大です。ブラックはシルエットがはっきりするので、意外にも魚に見つけてもらいやすいカラーだったりするんです」

リッジ70【カラー名:漆黒ヤマメⅡ】

「カラーに関しては、好みや実績が影響する部分も大きいので、“自分で自信が持てるカラー”を用意するのがベストだと思います。あくまでも、ここで紹介するカラーは僕の経験と実績の中から導き出したものです。実釣を重ねて見いだした自分の色こそ、アングラーそれぞれのフェイバリットカラーになるのではないでしょうか」

お詫びと訂正

ルアーマガジンリバー2021年6月号の34-37ページにおいて、編集作業中の不備により、表示の不明瞭な箇所(36ページのカラーを紹介した画像4点、37ページのマグドライブのイラスト、37ページの中段ヤマメ画像が反転している)がございました。ルアーカラーの画像に関してはこちらのウェブ記事にて、「マグドライブ」のイラストに関しては改めてルアマガプラスの記事にて紹介してきます。読者並びに関係各位にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。