荒井謙太が選ぶ! 春トップデカバス実績BEST10ルアー



全長25cmの10連結ジョイントテッドルアー。こうした強気のトップウォータールアーがリアルに効くのが春先の特徴。トップのハイシーズンである夏とはまるで違う、春先特有の激釣トップルアーを荒井謙太さんが厳選!

春先は年間を通して、最もエキサイティングなトップウォーターシーズン!

【Profile】

荒井謙太(あらい・けんた)

洗練されたデザインと完璧な機能性を兼ね備えた、タックル&ルアーを開発する日本屈指のトップウォーターブランド『フロッグプロダクツ』の代表にして、全アイテムのデザイン&開発を担当。開発したルアー&タックルの実釣テストのために、ほぼ連日フィールドへ出かけている。そのためトップウォーターゲームの実釣データが膨大。

初春のトップウォータールアーはかなり特殊だ!

荒井謙太さんは春のトップウォーターシーズンを2シーズンに分けて把握している。春の第1シーズンの始まりは3月上旬頃(昨年は3月9日)。そして春の第1シーズン終焉の目安が、4月の2回目の大潮のタイミング(だいたい2週目頃)。それ以降が春の第2シーズン。

荒井「春の第1シーズンは、バスが最深部から徐々にシャローに指し始めます。この時期のバスはまだ、どシャローには入りきらないため、トップで狙うには、どシャローよりも一段深いレンジから水面に誘い出す必要があります」

そのため春の第1シーズンに効くトップウォータープラグのキモは、巨大なシルエットと強めのアピール力だという。ただし春の第一シーズンは、寒さを引きずっている季節でもある。バスの活性も十分ではない。

荒井「なので次に大切なのが、大きいルアーをじっくり見せること。かつ繊細にアクションさせることです。あと、着水音はかなり重要です。着水音が大きすぎると興味を示すどころか、警戒心を与えて逃げてしまうことが多いです。春の実績ルアーの中には、テールまで入れると全長25cmのマッドラッドオリジナルも含まれますが、このルアーは10連結ジョイント構造です。繊細なジョイント構造のルアーの方が、着水音を含めた衝撃がナチュラルです。ハイアピールだけどナチュラル。この要素が春の第一シーズンには重要なキーワードになります」

巨大ルアーを可能な限りナチュラルに着水させる。着水後ポーズ。そしてブラックバスがルアーに興味を示して浮上する。浮上したバスが迷い始める。

キタァァァ~~! マッドラッドオリジナル驚異の10連結ボディ♪

3月上旬から4月中旬くらいまでの春前半は、マッドラッドオリジナルのような、ビッグプラグの本領が発揮されるドリムシーズン。ターゲットだってドリームサイズ。

荒井「そのタイミングでチョンとワンアクションを入れます。その瞬間にリアクションで口を使うケースがかなり多いです。このパターンが春の第1シーズンの王道です」

さらに季節が進み、もう少し温かくなるとノイジーやウォーカーアクションでも十分に食ってくれるが、寒さが残る春の第1シーズンは『線』よりも『点』の釣りの方が、圧倒的に実績が高いという。

荒井「春の第1シーズンは正直、数が釣れる印象はありません。ですが水温が低い中、シャロー付近まで動けて、エサを食べられるバスなので、なにしろ大きいです。この状況は4月の2回目の大潮の頃になると、ガラリと変わります。急に小バスしかトップに反応しなくなります。その違いは結構露骨です。特にここ2~3年はそうした傾向がかなり強いです。ですがバスも生き物なのなので、もちろん例外もありますが……」

荒井「小バスが釣れる時期(春後半)の実績トップウォータールアーは、今回紹介する春の第1シーズンのルアーとはかなり違います。春後半から夏にかけた、いわゆるトップウォーターハイシーズンのベストルアーは、今回紹介するルアーよりも、細身で小さいです。ハイシーズンには恐ろしく釣れるルアーも、春の第一シーズンには、あまり効きません。ハイシーズンの実績ルアーと、春の第1シーズンの実績ルアーはかなり違いますね」



荒井謙太厳選!『春先に実績あり』トップウォータールアーベスト10

3月上旬~4月上旬のトップウォーターの釣りは、春特有のデカバス・パターンになることが多い。全長10cmオーバーのフルサイズプラグに夢のデガバスがバイト! トップウォーターのハイシーズンである夏の実績ルアーと、春先の実績ルアーの個性は真逆と言っていいほど違う!

マッドラッドオリジナル(フロッグプロダクツ)

時間差の残存ターンが春バスに強烈アピール!

●全長:21cm(本体10cm) 
●重量:43g

荒井「テールまで入れると全長21cmの10連結ジョインテッド構造です。大きなシルエットを活かして、しつこくルアーを見せます。食わせのタイミグはターン。ゆっくりターンをさせることが大切ですが、完全に止めると見切りの要因になります。10連結ボディをヘッドから順番にじっくりターンさせて、ボディの動きが止まってもテールはまだ動いている状態が理想。自分はこの時間差の動きを残像ターンと呼んでいます。残存ターンは見切られにくく、迷って……迷って……最後はリアクションで食うという印象があります」

ホワイトファルコン120(フロッグプロダクツ)

ロングポーズ後のワンアクションで仕留める!

●全長:25cm(本体13cm)
●重量:48g

荒井「このルアーのキモは”溜め”です。着水後にバスが興味を示したらロングポーズで見せて、見切られる寸前にワンアクション入れます。ウイングがアルミ製なので、ワンアクションでフラッシング+スプラッシュ+サウンドの相乗効果があります。だからこそワンアクションで仕留められます。でもこの釣り方は、春先特有の使い方です。季節が進んで暖かくなると、羽根モノ特有のただ巻きの方が釣りやすくなります」

スーパークレイジーウォブラー(フロッグプロダクツ)

春特有の強風下でもアピールマックス!

●全長:10.5cm
●重量:35g

荒井「春特有の強風下に強いです。強風で水面が波立っているときには、シルエットだけで気づかせるのは難しい。このルアーはジョイント部分の前後に金属パーツが仕込まれています。ターンを入れたときに金属同士の干渉音が鳴ります。同時に強波動も発生するので、マッドラットやホワイトファルコンよりもアピールは強いです。波立っているときにはバスの警戒心が緩むので、巻きの釣りも成立します」

サソリ(フロッグプロダクツ)

初春特有のショートバイトも逃さないキール構造

●全長:14cm
●重量:36g

荒井「発売から15年以上経過するロングセラーです。こちらのルアーもジョイント部分に金属が仕込まれています。さらにフロントに可変ウイング搭載。3分割ボディを活かしたスローターンでバスを誘いつつ、フロントウイングによってフラッシングとスプラッシュを生み出します。ボディ下部がキール構造なので、初春の動きが遅いバス特有のショートバイトも逃しにくいです」

トトブリック(フロッグプロダクツ)

扁平ボディが生み出すスロー×ハイアピールターン

●全長:14cm
●重量:38g

荒井「ポーズ中も均等に近い3分割ボディがナチュラルに揺れることによって、効果的なアピールを生み出し続けます。春先に効くのはやはりターン。フラットボディ構造なので、ターンを入れたときに水を動かす力が強いです。理想のターンは頭から振らせて、第2、第3ボディが追尾するスローターン。タダ巻きで使う場合は、I字系でスローに巻いて、巻き始め1m圏内でのヒットが春先には多いです」

ギルレイカー(フロッグプロダクツ)

斜め下のダイブで捕食音に近い音を演出

●全長:8cm
●重量:20g

荒井「フラットサイドボディを活かした強烈なターンが効きます。ターンさせるときに斜め下にダイブさせるイメージでアクションを決めると、捕食音に近いサウンドが出ます。この音がでかバスに効果的。音で興味を惹かせてから、タダ巻きを行うとユラユラとしたブルーギルのようなアクションで泳ぎます。もうひとつの特徴がセンター部分のバズペラ。ターンのときにペラのフラッシング&スプラッシュでスイッチが入ります」

マグナムスキマー(フロッグプロダクツ)

春先のサーチベイトに最適

●全長:13cm
●重量:29g

荒井「ドッグウォークが得意な優等生ペンシルベイト。広範囲にドッグウォークで探れるルアーです。毎年春先にシャローに隣接しているブレイクを一気に探るときに使っていますが、毎シーズンかなりの実績を叩き出してくれます。今回紹介したルアーの中では最も普通のルアーに近いと思います(笑)」

ガズル100(フロッグプロダクツ)

多彩なアクションがこなせるWスイッシャー

●全長:10cm
●重量:14g

「ジャークやただ巻き、ターンに対応しているWスイッシャーです。最近は棒引きしか対応していないWスイッシャーが流行っていますが、このルアーはさまざまなアクションを多彩にこなせます。風が吹いたときに強いです」

タガメ(フロッグプロダクツ)

フロントペラ搭載なのに、ターンができる貴重なルアー

●全長:9.5cm
●重量:31g

荒井「ボディ内部のエアルームが広い高浮力ルアー。このルアーも春先はターンのワンアクションで食わせます。ボディ内の空気比率が高いので、キャストミスをして水面に叩き付けてしまっても、柔らかい着水音になります。フロントのバズペラを取り囲んでいるアームの浮力により、フロント部分の沈み込みを抑止。その結果ターンが可能になっています。通常フロントペラタイプのルアーは、フロントが沈んでしまい、ターンが難しいことが多いです」

ウッドドール(フロッグプロダクツ)

コミカルデザインだが実はかなりの機能美

●全長:10.5cm
●重量:37g

荒井「4分割ボディで生命感溢れるナチュラルなアピールが可能。ポーズ中もドールの足部分がユラユラと揺れてアピールを継続。ターンさせたときに頭部から足部分が違う動きをするので、春先特有のスローなアクションに向いているルアーです」

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!