同一メーカー、同一用途のタックルを3つの価格帯から選んでその差をつまびらかにするのがこの企画の主旨。しかし今回のシマノベイトリールは、用途に違いのある3台という、異色の組み合わせでインプレを強行する!第3弾は5年ぶりのフルモデルチェンジとなった、ベイトリールの頂点に君臨する・一等星『アンタレスDC』。シマノ最先端技術がフルに組み込まれた美しきリールはどのような進化を経たのか!? 釣り業界におけるライター・一等星(!?)が厳しくチェックしてきました。
【Profile】
3Gテスター・テッペイ
3Gインプレッションの初回からテスターを勤めるベテランライター。契約メーカーゼロという逆境を逆手にとって、メーカー忖度なしのインプレ記事を寄稿。所有するタックルもミドルグレード中心で、読者目線に近い。
安全かつ確実に超絶なる遠投を決めるバス用ベイトリール界の新皇帝『アンタレスDC』載冠
誰でも安全に遠投できるベイトリールの極み
最高峰アンタレスに、シマノだけが持つ究極のブレーキシステムDCを組み合わせた、トップオブトップのベイトリール。今期のリニューアルでは、より緻密な制御を可能にした4×8 DCブレーキと、薄肉&ナロー幅で低慣性化に成功したMGLスプールⅢを搭載。トラブルレスな遠投能力に磨きがかかっている。インプレには左巻きを使用。
【スペック】
●ギア比:7.8
●最大ドラグ力(kg):5.0
●自重(g):225
●スプール寸法(径mm・幅mm):37・19
●フロロカーボン糸巻量(lb-m):14-110
●最大巻上長(cm/ハンドル1回転):91
●ハンドル長(mm):45
●ベアリング数(BB/ローラー):11/1
●価格:84,700円(税込)
※XGはエキストラハイギア仕様
POINT.1 アンタレスDC 外観デザイン
連綿と伝統を受け継ぐデザインと安心感
初代アンタレスから受け継がれている、ロボコップ風なフォルムと、手鏡代わりにも使えそうな鏡面仕上げは、
最新のアンタレスDCでも健在。以前よりもコンパクト化されているのだが、「ごつい」という印象を受ける。こ
れは釣り人の心理に「頑丈だ」と思わせるのか、頼りがいのあるリールに思える。
POINT.2 回転・巻き心地
巻き続けても飽きることのない巻き心地
カルカッタコンクエストのような、抵抗ゼロの回転ではないが、ぬるぬるとしたクリーミーなリトリーブ感には一切雑味がなく、これはこれで巻き心地がいい。慣れない左ハンドルにもかかわらず、強い抵抗を伴うディープクランクを使っても、問答無用で巻くことができた。巻いていて、飽きないリールだ。
POINT.3 キャストフィール
キャスティング
最初の一投がカバースキャットだった。どこを狙うわけでもなくキャストすると、想定していた距離の1.5倍くらい飛んで、到底届きそうにない対岸の岸際にズボッと落ちた。ショットオーバー5もめちゃくちゃ飛んで、プロダクティブゾーンが格段に長くなった。大きな期待を持ってディープクランクを巻ける。
ピッチング
個人的にアンタレスDCでピッチングするシチュエーションは1/2ozのラバージグなど、重めのリグをカバーに入れ込むイメージ。ただ、俺は気張って遠くに飛ばそうとしても、あまりうまくいかない。むしろ逆に肩の力を抜き、軽く振り込むだけの方が、かなりの距離飛んでくれる。そんなコツがわかった。
POINT.4 ブレーキ
ビッグベイトだけはナイロンモードが好適。
DCの内部設定が4段階、外部ダイヤルが8段階で、合計32通りの設定が可能な4×8 DCだが、内部はフロロ設定に固定して、基本外部ダイヤルで調節した。さまざまなルアーをキャストしてみて、だいたい外部ダイヤルは中間設定が良く、逆風下や軽いルアーはMAXがいい。ビッグベイトだけは内部をナイロン設定にしたほうが気持ちよく投げられた。
パーミングカップを開くと、内部ダイヤルがある。F:フロロ、N:ナイロン、P:PE、X:エクストリームロングキャスト(空気抵抗の少ないルアーの遠投)の4種の設定が可能。外側ダイヤルは8段階で、その微調整ができる。
POINT.5 ドラグ
サイレントに大仕事をやってのけるドラグ
アンタレスDCはサウンドなしのサイレントドラグ。滑り出しもスムースで均一感がある。このリールであまり細いラインは使わないとは思うけど、かなり繊細な設定が可能。締めるとほぼフルロックするので、カバー内での強引なファイトにも勝てると思う。ラインに合わせた強め設定で大丈夫だと思う。
POINT.6 総合的使用感
つまりはビッグバスを獲るための1台なのだ
他の2台のリールとは同じ尺度では測れない全くの別物だと思う。様々なルアーを投げてみたが、カバースキャット、ラバージグ、ショットオーバー5、ジョイクロ178、ドライブビーバーマグナムのゼロダン1/2ozなどが相性良かった。つまり、結局はビッグバス狙いの大きめのルアーに合う気がした。
POINT.7 価格
頂点を極めるモデルなので、価格も頂点級
定価でもアンタレスMD DCを追い抜いて、バス用ベイトの最高額となる21アンタレスDC。この原稿を書いている時点でネット通販を検索すると、DC XGの左ハンドルはまだ市場に出ていないらしく、予約商品として63,000円台だった。自分の財力では買えないが、頂点モデルなのでこの価格には納得。
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