バス釣り界の“傾奇者”三原直之の「勝負で欠かせない!」マネーベイトBEST10



三原直之さんはただ強いだけではない。当たり前のルアーを当たり前に使うことはほとんどない。あっと驚くルアーの使い方、バスの騙し方がスゴイのだ。そんな三原さんにプロアングラーとして欠かせない10個のルアーを選んでもらった。本気の試合ではこんなルアーを、こういう思いでキャストしているのだ。 (Text & Photo : 柳生豊志)

【Profile】

三原直之(みはら・なおゆき)

2015JBスーパーバスクラシック池原ダム優勝、2019年トップ50七色ダム戦優勝ほか、トップカテゴリで表彰台多数、ローカル戦での優勝多数の若手プロ筆頭。バスの習性を熟知したフィーディングサイトを得意とし、リアクションに頼らない食わせの美学を追求している。鳥取県境港市出身、兵庫県三田市在住の伸び盛りな30歳。

2019JBトップ50シリーズ七色ダム戦ウイニングルアー 

ギルロイドジュニア(イマカツ)

「手っ取り早く50アップクラスを仕留める勝利直結ルアー」

三原「トーナメントをガチで戦ううえで簡単なことは、50アップを釣ればOKなんです。手っ取り早く50アップを仕留めやすいルアーとして、ギルロジュニアはどこに行っても欠かせない。カラーはギルか鮒で、トップ50七色ダムでは鮒、河口湖のクラシックはギルで勝ちました。ビッグベイトが効く時期は春とか秋でハイシーズンじゃないほうが多い。少し水温が低い時期なので、出番としては鮒が多いですね。 

基本的にはクリアウォーターの50アップを狙い、春ならプリ、秋ならシャローに残ってるデカいやつがターゲットですね。アクションはほぼ止めて使います。止めておいて、寄ってきたらトゥイッチとかが基本的な使い方です。キモは最初に投げる場所。いかに自然に気づかせ振り向かせるかがポイントになります。一番大切なのは『岸→ルアー→バスの順番』。この並びを守ることですね」

三原「フックは前がピアストレブル#3、後ろがピアストレブル#2(ともにリューギ)。ボディの真ん中を食ってくるので基本的にリアフックが下顎の外側に掛かります。なので力が伝わりやすいフック形状を選んでいます」

【タックル】

●ロッド:RRRバトルクライ(イマカツ)
●リール:グラビアス8.1右ハンドル(ジーニアスプロジェクト)
●ライン:BawoエクスレッドNS20lb(東レ) 

SHU-7(エンジン) ノーシンカーリグ

ギルロイドと同感覚で使うI字系

三原「トップ50七色戦優勝の立役者。使い方はギルロイドみたいな感じです。これはあまり言ってこなかったけど、もういいかなと。ギルロイドはゆっくり巻いて、泳がせてどこかに置いて食わせる。置く理由はデカいから。もし置かずに食うなら、中層で食われるなら、どこに投げてもいいはずですよね。『岸→ルアー→バスの順番』という方程式を崩してもいいことになります。本来は方程式ができていないと寄ってくるだけ…それでも食わせられる釣りこそがI字系なんです。SHU-7はI字引きをしているだけでそのまま食われることが多い。理由は小さいから。ギルロイドとの違いは、置くか置かないかだけです。 

SHU-7は頭の先端に若干面がある。ここで水を受けてくれるので、ブレーキの効いた引き方になるんです。ギルロイドのおでこと同じですね。そしてボディが扁平なので沈みにくく、ジョイントがあるので水をつかみやすく、さらに沈みにくい。トゥイッチでも跳ねてくれ、そしてよく飛ぶ。ゆっくり引いてもぶれないところもギルロイドと似ていますね」※フックはフォグショット#5(リューギ)を使用。

【タックル】

●ロッド:RRRアンセム(イマカツ)
●リール:ステラ2000S(シマノ)
●メインライン:スーパーライトPE0.4号+リーダー:エクスレッド3.5lb(東レ) 

主要ローカル戦勝利ルアー 

メタルクロ−スピン(イマカツ) 

冬季試合でもっとも効率よし

三原「各地で冬季トーナメントがあると思いますが、ぜひそのときに使ってもらいたいルアーです。若干秋の気配が残っている 12月とか1月開催が多いので、メタルジグやメタルバイブにデカいのが出にくい時期。そんな隙間の季節に強烈に効きます。 

使い方はショートリフト&フォールで、フットボールジグと要領は同じです。金属なので置いておいたら金属片。着底の時間をなるべく短く、回数多くボトムバンプさせるのがコツですね。場所はベイマウスが理想。越冬に入る場所の入り口になる岬や張り出しです。 

ショートにトントントンとダウンヒルに落としていきます。ここまでバスいるでしょ、というレンジまで落としていく感じ。同じ釣り方で20センチも釣れるし50cmも釣れる。冬ってデカいのが狙って獲り辛い。数も釣れない。でも、数釣れば勝てるし、デカいの1発でも勝てるのが冬。そう考えれば効率のいいルアーです」※フロントフックをピアスW#10(リューギ)に換装。 

【Profile】

●ロッド:RRRプロト66M(イマカツ)
●リール:グラビアス7.3 左ハンドル(ジーニアスプロジェクト)
●ライン:Bawoエクスレッド8lb(東レ)

 

ビッグスパイダーマイクロ(ガンクラフト)ノーシンカーリグ 

秋のカマキリパターンで大活躍

三原「秋のローカルトーナメント(東条湖)ですごく勝ちたい試合があった。そのときこのルアーで勝てました。秋のカマキリパターン(笑)。10月のほぼ枯れてるバックウォーターに差してくるバスを狙ったんですが、秋のバスは頭がいい。そして差しているバスは意外と虫を食ってる。ちょうどハリガネムシが水に飛び込む時期で、オオカマキリが水面にいっぱい浮かんでいるタイミングでした。秋のチャートカラー(カマキリ色)表層パターンはあるのはわかってたんですが、ちょうどいいルアーがなかった。そしたらビッグスパイダーマイクロにこのカラーが出たので即買いです。みんなが釣れないと言ってたバックウォーターのバスだったけど、こいつで一発。岸際の草に引っ掛けたらすぐに食いました。 

2015年旧吉戦で板東谷川でフライングダウンショットで釣ったのもこれで、単日3位のウエイトだったかな。空中に浮かせると水面をペチペチ叩けるのでいい音が出るんです」※フックはフォグショット#6(リューギ)

【タックル】

●ロッド:RRRアンセム(イマカツ)
●リール:16セルテート2506(DAIWA)
●ライン:Bawoエクスレッド3lb(東レ)   

三原直之の「勝負」必勝アイテム!

R-TANKフックストッカーXL/リューギ 

ボート上でフック交換ができる素晴らしさ

三原「試合の朝の暇なときに、『今日投げそうだな』というルアーをチェックする、というか、時間があれば全部フックを替えます。このフックストッカーがあるおかげで、船の上で思い立ったらすぐに交換できる。試合中にも替えられるのが大きいですね。急に使いたいルアーを思いついたとき、試合用に針を替えていない可能性が高い。そういうときにすぐ替えられるのはすごく助かります。針先を後ろから撫でてざらっとしてたら即交換ですね」

2017JBトップ50弥栄ダム戦準優勝ルアー

イールクローラー10in『ウナジュウ』(イマカツ)

50アップを釣れば勝てるんです

三原「これはソフトベイトのビッグベイトですね。何度も言いますが、50アップを釣れば勝てる確率は高まるんです。このルアーも50アップを獲るための最短距離。使うシチュエーションとしては、どうしてもビッグベイトが置けないところ、下に木が溜まってるところや投げる隙間がない場所、冠水植物の上とかそういうところでギルロイドは置けないけれど、同じニュアンスで使えるのがウナジュウです。 

両方使える状況ならタックルが強い、トリプルフックという理由でギルロイドを使う確率が高い。でも6、7、8月はウナジュウが強いので、夏ならウナジュウかな。アフターからアフター回復期は吸い込みが弱いので、トリプルフックはバレ率も高い。そういうときには確実に飲んで持っていってくれるウナジュウに軍配が上がります。 

使い方はノーシンカーで一旦岸に乗せるのがほとんど。そして岸ポチャ。普通に見せたらバスが怖がるので、何かトラブルで陸の上から落ちてきたと思わせるドラマ性が必要です。そしたらバスがナメてかかってくれる」※フックはタリズマン#3/0(リューギ)

【タックル】

●ロッド:RRRプロト66M(イマカツ)
●リール:グラビアス7.3 左ハンドル(ジーニアスプロジェクト)
●ライン:Bawoエクスレッド10lb(東レ)  



試合で外せないルアー 

ドノーシャッド(イマカツ) 

とにかく魚を触りたいときに最高シャッド

三原「試合で外すことは絶対ないルアーです。クリアウォーターではサイトでサイズ選びができるが、マッディではそもそも5尾釣るのが難しい。巻き物もできるだけ弱く魚を選ばず拾いたい、となるとシャッドメインになるのは必然。日本のフィールドは狭いし、クランクで魚を引っ張るのも秋以外は難しい。その中で一番テンポよくベイトで投げられ、潜行深度もマッチしているのがドノーシャッド。 

正直ブレードはあまり気にしてなくて、投げやすさが一番です。向かい風でもきれいに投げられる。ほかのシャッドもかなり使いましたが、基本的にスピニング前提なんですよね。巻き物が効く風が吹いているときほど投げにくくなるんです。 

使い方はクイとか石積みの角等に狙いを定めて、そこに1回当たるかなという距離感で投げて巻くだけ。そういう場所を点で釣るんです。線で釣る場合はスピナーベイトやチャター、クランクになります。

シャッドラップもいいけれど、ちょと深い、風に弱い。ドノーシャッドは結構扁平で、まさにシャッドの形。しかも霞ヶ浦とか遠賀川とか、水深がマッチしている。風に強いというのは相当な武器。巻き物が釣れるのは風が吹いてるときなんで」

【タックル】

●ロッド:トムアディクト66L(イマカツ)
●リール:グラビアス6.7か7.3の左巻き(ジーニアスプロジェクト)
●ライン:Bawoエクスレッド8lb(東レ) 

ハドルフライ 2.5in(イマカツ)

小魚系リアルでこのロールは規格外

三原「小魚系のリアルワームでこんなにロールするルアーはありません。一番ロールしやすい小魚ワーム。まあ、みんな使うよねって感じです。春はロールの明滅が効きます。特に3月4月で、稚鮎やモロコ食ってるとき。基本的にダウンショットで使い、一点シェイクもいいですね。ロールには浮力が必要で、テールも邪魔していないのが素晴らしい。これは出来上がったルアーなので、超有名アングラーもかなり使ってます」※フックはフォグショット#6(リューギ)。

【タックル】

●ロッド:RRRアンセム(イマカツ)
●リール:16セルテート2506(DAIWA)
●ライン:Bawoエクスレッド3lb(東レ)

陸王初勝利ルアー 

バスエネミー(エバーグリーン) ノーシンカーリグ 

テールが邪魔せず仕事するスティックベイト

三原「陸王本戦で初めて勝ったときのルアーです。五三川でキムケンさんにギルロイドで勝った試合ですが、軸になったのはこのワームのノーシンカー。対岸のアシに投げ込んで着水音でエビボイルを演出、音で寄せてワントゥイッチで食わせるという手法でした。バスエネミーは後ろに薄いテールが付いているからトゥイッチでブレーキが効くんです。つまり移動距離が少ない。スティックベイトだけどテールが邪魔しない。試合が多い5、6、7月にこういう高比重系ノーシンカーは必要ですね」※フックはダブルエッジ#2/0(リューギ)。

【タックル】

●ロッド:RRRプロト66M(イマカツ)
●リール:グラビアス7.3 左ハンドル(ジーニアスプロジェクト)
●ライン:Bawoエクスレッド10lb(東レ)

2015JBスーパーバスクラシック池原ダムウイニングルアー 

三原虫(イマカツ)ノーシンカーリグ 

ほっとけば動く究極エビルアー

三原「池原クラシック優勝、トップ50弥栄ダム準優勝などで活躍してくれましたが、それ以前に生野銀山湖や東条湖のチャプター戦で一番勝ってたのが三原虫のプロトです。三原虫の原型ができたのは22歳ぐらいのとき(8年ほど前)。アンクルゴビィにシリコンラバーを刺して自作していました。製品になってからは4〜5年経過しているので、3年間ぐらい密かに温めていました。その期間はめちゃくちゃ勝ちましたね」

三原「基本はサイト。勝つことを意識すると、ノーシンカーを投げてどんな魚が来るかわからない釣りをするよりも、50アップを5本釣ったら確実に勝てるので、高確率でデカいバスを仕留められる釣り方としてサイトフィッシングは有効です。トーナメントはどうしても6月7月に集中することが多いので、エビの産卵と絡むし、虫の時期とも絡む。エビ&虫シルエットは優勝に絡みやすいんです。 

三原虫のいいところは何もしなくても動くこと。プレッシャーの強くかかったトーナメントの状況では、糸鳴りやシェイク音が気になる。そういう意味では三原虫は投げて落とすだけで動くというのは大きい。これだけスローフォールで動くルアーはほかにはないですから」

プロトタイプ(フローティング)

三原「上の画像の派手な足の三原虫はプロトタイプで、これでもよく勝ちました。こちらは浮く三原虫。アンクルゴビー2.5inのボディにザップの中空スカートを刺しています。2inより幅広で抵抗を受けやすく、表面張力を使いやすい。ラバーは浮きますが

ボディ自体は沈む。バスが吸い込んだときには沈むから口の中に入りやすい。喉の奥に掛かるのでミスが少ないですね。 

プロト段階ではこの浮く虫を三原虫と呼んでいたんです。で、これは見せていた。ほかの選手は浮く虫で勝っていると思っていたので、沈む三原虫がバレなかった。浮く虫で沈む虫をカモフラージュしていたんです」※フックはフォグショットTC#8(リューギ)

【スペック】

●ロッド:RRRアンセム(イマカツ)
●リール:16セルテート2506(DAIWA)
●ライン:Bawoエクスレッド3ポンド(東レ)

アベンタクローラーシェルラミネート&RS(イマカツ )

アベンタクローラーシェルラミネート(イマカツ )
アベンタクローラーRS(イマカツ )

羽根モノが試合で活躍する、という新局面の衝撃

三原「羽根モノがトーナメントで活躍するなんて思ってもなかったですね。アベンタが出てすぐは釣れないものだと思っていましたけど、人が東条湖で釣ってるのを見てから自分も投げ始めたら釣れるようになりました。池原クラシックでデカいバスがバイトしまくった経験で釣れるルアーへと変化しましたね。そこからRSが出てきてスローに虫っぽく使えるので、フィネスでプレッシャーを与えづらく試合ではさらに使いやすくなりました。 

オリジナルとRSの使い分けは、雨の最中やバスの位置が深かったら前者。どちらも普通に巻くだけですが、RSはデッドスピードが多いです。 5〜8月は虫の季節なのでRSが優勢で、8月以降はオリジナルがいい。ターンで水が悪くなるとシャローから消えてしまう…秋のほうがバスは深いんです。しかし水が悪いからノイジーが効く、というタイミングでボディが大きいオリジナルを投入します。 

フックの仕様は、シェルラミネート=前後ピアストレブルブルータル#1/0(リューギ)※フロントにスプリットリング#4追加。

RS=前後ピアストレブル#3(リューギ)※フロントにスプリットリング#4追加 

【タックル】

●ロッド:RRRプロトグラスロッド(イマカツ)
●リール:グラビアス7.3 右ハンドル(ジーニアスプロジェクト)
●ライン:ルアーPE4号(東レ) ※オーバースペックな4号を使うのはバックラッシュしにくいから。 

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

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