同一メーカー、同一用途のタックルを3つの価格帯から抽出し、その差を明らかにするのがこの企画、3Gインプレッション。今回は熱い視線を浴びているDAIWAの新型ベイトリールを検証! DAIWA編の第2弾は2021大注目のトップグレードタフネスモデル「ジリオン」。SVブーストとハイパードライブという新技術を導入し、5年ぶりのフルモデルチェンジを果たした本機の実力はいかに?
【Profile】
3Gテスター テッペイ
バス歴42年、ライター歴25年を誇る、プロフェッショナルアングラー。3Gインプレッション開始時からテスターを務め、インプレは職人芸の域だ。メーカー契約ゼロなので、歯に衣着せぬ舌鋒で、新製品を一刀両断!
2大テクノロジー注入でジリオンが超進化!【ジリオン SV TW 1000XH】
モデルチェンジで二物を手にしたタフガイ!
タフガイ「ジリオン」が、生まれ変わった。性能の永続性を高めた「ハイパードライブデザイン」によって、耐久力と巻き性能を格段にアップ。キャスト面では、インダクトローターが2段階にシフトする「SVブースト」を搭載し、キャスト後半のひと伸びをアシスト。元来のタフさに加え、軽快な「巻き」と「飛び」を身に付けた。
【スペック】
●ギヤ比:8.5
●最大ドラグ力(kg):5
●自重(g):175
●スプール径:34mm
●ナイロン/フロロカーボン糸巻量(lb/m):14lb/45~90m
●最大巻上長(cm/ハンドル1回転):90
●ハンドル長(mm):90
●ベアリング数(BB/ローラー):8/1
●価格:47,080円(税込)
POINT.1 ジリオン SV TW 1000XH 外観デザイン
シャープ、そしてクールな印象の新デザイン
ジリオンと言えば、かつて船釣り用両軸リールの雰囲気をどことなく漂わせるデザインだったが、2016年と今回のリニューアルを経て、完全にそのイメージを払拭。スティーズ並みのコンパクトボディとなり、タフなだけではなくシャープな印象も受ける。ガンメタに黒を組み合わせたカラーリングもクールだ。
ジリオン SV TW 1000XH 各部カット(クリックで拡大)
POINT.2 回転・巻き心地
回転は卓越しているが、ほんの少しごつい?
T.D.ハイパークランクTiをぐりぐりと巻いても無理は感じない。8.5という高いギヤ比を考慮すると、この安定した巻き上げ力は出色と言える。
ただ、SKTマグナムを巻き上げている際には、ハンドル回転は軽いものの、リールを安定して握るのにかなりの力を要した。ボディに若干のごつい感触を覚えた。
POINT.3 キャストフィール
キャスティング
SKTマグナムをフルキャストして、約50m沖の橋脚近くまで飛ばすことができた。もっとパワーのあるロッドならさらに飛ぶはず。
スプール幅が広いので、重量級のルアーであっても投げやすい。スプールを押さえる親指に力を入れやすいから思い切り振れるし、リリースのタイミングも狂わないからだ。
ピッチング
フラットバックジグの1/2ozでピッチングしてみた。微風状態で試したところ、ブレーキ設定4でトラブルなく、理想的な弾道で15m以上は飛んだ。8設定でも試したが4のほうがよく飛んだ。3/8oz以上のリグならば、ピッチングも問題なし。回収もめっちゃ速く、手返しのいい釣りができる。
ピッチング時にはDAIWAのお家芸TWS(Tウイングシステム)が大活躍。キャスト時は広い口径となり、ライン放出の摩擦抵抗を低減。巻き取り時は上方向に跳ね上がり、狭い穴でラインをバランスよく巻く。
POINT.4 ブレーキ
概ねダイヤル4で大丈夫。後はブースト任せ
パーミングカップ側にはマグネットブレーキのユニットがあり、この溝にスプールのインダクトローターが入って、磁力制動がかかる。前半から回転ピーク時に強めのブレーキをかけ、終盤に弱くなり、ひと伸びさせる。
おかげで、遠投時の後半に露骨な失速が発生する感はない。現場ではTWSの効果だと思ったが、SVブーストとの相乗効果なのだろう。バックラッシュはほとんどなし。普通サイズ以上のルアーは遠投でもピッチングでも、ダイヤル4が良かった。9cmクラスのミノーは、追い風なら4、逆風では8が適正だった。
キャスト時にはこのインダクトローターが大きく飛び出して強くブレーキを掛け、回転が弱まる終盤に少し引っ込んでブレーキを弱める。
POINT.5 ドラグ
文句の付け所がない完璧なドラグ性能!
他の2台と同じUTDなのだが、このジリオンだけはドラグが滑る際に、クリック音が発生する。音で相手の引きを把握できるのはアドバンテージだし、音を出す負荷によるドラグ力の強弱は感じなかった。
ドラグの滑り出しもスムースだし、不満はゼロ。ドラグノブが大きいのでファイト中の操作も楽なはず。
POINT.6 総合的使用感
特に180mmクラスのビッグベイトに合うね
ジリオンは使えるルアーの幅を広げたと思う。ただ、大きなルアーを投げるのは得意なのに、そのルアーの巻き抵抗が強烈だと、巻きにくさを感じた。
だから大きくて巻き抵抗の少ないルアー…つまりビッグベイトがいいのでは? そう思ってタイニークラッシュやジョイクロ178を試したら、最高に良かった!
POINT.7 価格
スティーズを買うか、ジリオンを買うか?
ネット通販の最安値で3万円前後。新製品としては値引き率も悪くないし、リーズナブルだといってよいだろう。現実的な話をするなら、スティーズを買う予算がない場合、この価格でジリオンを買うのは、クレバーな選択だと思う。特に180mmサイズのビッグベイト用リールを探している人にはオススメだ。
第1弾:アルファスSV TW 800XHのインプレはこちら
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