ハシタクこと橋本卓哉さんによるSTEEZルアー解説は、今回でいよいよ2回目を迎える。前回はSTEEZスピナーベイト、そして派生モデルのSTEEZアスロックに関して使い方から出しどころまで幅広くご伝授いただいた。今回は引き続き、もうひとつのSTEEZルアーについてご解説いただくことになった。そして、ベテラン橋本さんによる2回の解説を受け、現場で実釣する若手DAIWAプロアングラーとは、はたして誰なのか。最後までゆっくりとご堪能いただきたい。
【Profile】
橋本卓哉(はしもと・たくや)
霞ヶ浦を拠点とするトーナメント団体・W.B.S.で3度(08&09&18)のA.O.Y.を獲得したほか、2007年にはオールスタークラシック初出場にして初優勝の快挙。かつてバイクレースで鍛え上げた強靭なメンタルとパフォーマンスは、バスプロ転向後の快進撃を支える。福岡県出身、東京都在住。
今こそ欠かせないSTEEZルアーとは?
前回のラストでハシタクさんが語っていた「梅雨〜初夏に欠かせないSTEEZルアー」の「アレ」とは、はたして何か。
ハシタク「STEEZポッパーですよ! 初夏なら朝夕、シトシト雨の梅雨なら1日中出番があるトップウォーターです!」
スティーズ ポッパー(DAIWA)
【スペック】
<50F/60F/70F>
●全長:50mm/60mm/70mm
●重量:4.2g/7.6g/12.4g
●タイプ:フローティング
●フック:♯10/♯6/♯4 *全てサクサス加工トレブル
●カラー:全10色/全16色/全12色
●価格:1705円/1760円/1760円(税込)
●発売:2019年4月/2016年5月/2019年4月
STEEZポッパーは2016年にリリースされ、早くも名作の定番として世に認知された感のあるモデル。
既に数十年前にポッパーというカテゴリーは完成されたかと思いきや、橋本さんが開発に携わったこのモデルは後発ながらワンアンドオンリーな存在として異彩を放っている。
スティーズポッパーは他のルアーと何が違うのか?
ハシタク「元々はバス釣りを本格的に始めた頃に、ひとつだけよく釣れるポッパーがあったんですよ。それがキンクロだったので、最初はそのカラーが釣れるのかと思っていたんです。ところが違った」
同じポッパーの別カラーを使っても、また各社の様々なポッパーを使い込み、キンクロを選んでも思ったように釣れない。ある日、使い込んだキンクロポッパーがフックのローリングマークによって、ボディの塗装が剥げかけた時、ハシタクさんは気付いてしまった。
ハシタク「コレだけボディが乳白色のボーン素材だったんですよ、透明のABS樹脂素材ではなく」
ボーン素材のアドバンテージとは何か。
ハシタク「比重が低いから『着水音がソフト』でバスに警戒心を与えない。で、軽いからこそ『アクションが機敏』だし、『バスの口の中へ吸い込みやすい』。メリットだらけだったんです」
ただし、そのキンクロポッパーはテクノロジーが進化した現代とは異なり「当たり外れが多い」時代のモデル。当たりは数個に1個だったという。
ハシタク「浮き姿勢にバラつきがあったんですよ。だから、しっかりウェイト調整して、安定したアクションも出しやすいモデルがどうしても欲しかったんです」
そして度重なるトライ&トライを繰り返して完成したのが、STEEZポッパー60Fだった。以降、小型の50F、大型の70Fも追加されていった。
スティーズ ポッパーの要「水平浮き」
ハシタク「STEEZポッパー60Fは『水平浮き』です。垂直浮きだと後方重心なので、着水時に深く入ってバスを警戒させやすいんですけど、水平なら落ちてくる虫と一緒でナチュラル。垂直浮きのアクションが欲しいなら、テールフックやリングを1サイズ上げればほぼ同様になりますよ」
使い勝手の面まで考え抜かれているとは驚きだ。ポッパーでよく問われるのがカップ部分だが、そこに関してハシタクさんはこう語る。
ハシタク「カップが深いとか、上アゴが出てるとか、いろいろ語られていますけど、ソレってポッパーが垂直浮きだったからこその発想なんです。水平浮きだと、常に水面を掴むので思った通りのポップ&スプラッシュが出せますし、動かしやすいですよ」
何と、驚きの事実! バスフィッシングで長らく語られてきた従来の常識を覆す、画期的な理論がそこに息づく。STEEZポッパーは時代を変えた作品と言えそうだ。
スティーズ ポッパーならではの低比重を活かす!
ハシタクさんなら、STEEZポッパーでどんな場所をどう狙いますか?
ハシタク「狙う場所は、前回言ったSTEEZスピナーベイトで狙う場所と一緒。ポッパーは水面で止めることもできるので、どちらかというとSTEEZアスロックで狙うようなピンスポットを狙いやすいと思います」
スピナーベイトは水中でのトレースがメインですが、ポッパーは水面がステージ。
ハシタク「より食い気のある魚、やる気のある魚だけが水面を割ってバイトしてきます。季節柄、より大きな魚が食ってくると思いますよ」
水面は、魚にとって外敵から狙われる危険なステージ。そこにリスク承知で果敢に挑む個体といえば、より大型という答えを導きやすいのだ。
ハシタク「キャストして着水したら、まず2〜3秒のステイ。反応がなかったら、1アクションからのステイ、小刻みに連続トゥイッチでドッグウォークなどで思い通りにアピールを。水面で止めることができるトップなので、アクション後は必ず追い付いて食わせる間を与えることが大切です」
アクションの付け方は「難しくない」のだと、ハシタクさんは語る。
ハシタク「なぜなら低比重だから、簡単に水面を滑って動いてくれるんですよ。ただし、アクションさせやすいようにキャスト後のルアー飛行中になるべくラインが一直線になるようにしてくださいね」
着水した後のラインメンディングでは、ポッパーも滑って動いてしまうため、ステイを活かしにくいのでご注意を。
ハシタク「要は、ポッパーはエビ。場所によっては虫。そんなイメージを頭に描くといいかもしれません」
エビの居場所はどこか、虫が落ちてくるのはどこか。謎解きをしながら挑むのも楽しいだろう。
おすすめのカラーは?
ハシタク「タマムシ一択!」
どんな理由が?
ハシタク「キレイだから(笑)。STEEZポッパーはボーン素材だから、ゴースト系カラーが存在しないんですよ。お好みのカラーでいいと思います」
カラー選択は最終段階。大切なことはもっと他にある。
ハシタク「ハードルアーとは何のために存在するのか。それは魚を探し出すための武器ということなんです。食わせることができれば最高ですが、ダメでもそこに魚がいるのは確かなのでカラーやサイズ、アクションのローテーションで答えが見つかることもある。まずは居場所探し。そこが大切です」
ハードルアー賢人、かく語りき。
さて、ベテランのハシタクさんが各ルアーの解説を終えたところで、現場検証する若手DAIWAプロアングラーの発表へと進んでいこう。
【STEEZポッパーおすすめタックル】
●ロッド:ブラックレーベルBLX LG661L+RB
●リール:STEEZ CT SV TW700HL
●ライン:STEEZ フロロ type-フィネス10lb
*すべてDAIWA
以上のベテラン解説を元に、若手が実釣生配信!
ウメキョー「エエッ!? マジですか! …がっ、頑張ります!」
記念すべき第1回目の当連載で、現場で実釣するDAIWA若手プロアングラーは、選考過程を省いていきなりの発表となるが“ウメキョー”こと梅田京介さんに決定した。冒頭は、選ばれた旨を本人に告げた際の第一声だ。
【Profile】
梅田京介(うめだ・きょうすけ)
福岡・遠賀川を拠点に活動する西のリベリオン戦士。ホームグラウンドならではの地の利を活かして、わずかな隙間時間あれば足繁くフィールドへ通う猛者。旬の釣りを追って磨き上げた新たなるメソッドをSNS等で発信中。福岡県出身。
ここまで解説してもらったハシタクさんによる解説を、ウメキョーさんが見るのは読者の皆さんと同じタイミング。どう消化して、現場検証に挑むのか実に興味深い。
その模様は、6月28日(月曜日)、福岡・遠賀川水系を舞台に当サイトで生配信を予定している。
ハシタク「どうせやるならお題を。STEEZスピナーベイトにSTEEZアスロック、それにSTEEZポッパー、3つすべてのルアーで40アップを各1尾。余裕でしょ、ロコなんだし」
ですね。50アップは難しいですけど、40アップならさほど…ですかね。ちょっと優しすぎじゃないですか? もっとドSなお題が出るかと思ってました。
ハシタク「ただし!」
条件付き、キター!
ハシタク「お題のハードルを低くしたので、達成できなかったら罰ゲーム。DAIWAプロアングラー、誰でもいいから3人のモノマネをして動画でアップ…フフフ(ニヤリ)」
ヒーッ! 罰ゲームがドSだったー!
それでは、ウメキョーさんによる現場生配信をお楽しみに!