チヌはフカセ釣りで何故釣れる?【チヌ(黒鯛)フカセ釣りなるほど攻略7つのカギ】



フカセ釣りでチヌを釣るといっても、活動範囲の広いチヌ相手にどう“フカセ”ていけばよいのか? この回では詳細な仕掛けを解説する前に、まずは遊動式のウキを駆使してエサを水中に漂わせながらチヌを誘う“フカセ釣り”の仕組みを解説する。同じウキを使う釣法でも、狙い方と釣るための考え方はさまざま。まずはそこから認識しよう!

「タナ決め」「底中心」「全層狙い」チヌのフカセ釣り3つのスタイル

フカセ釣りでチヌを狙う場合、そのバリエーションはとても多彩。それは、チヌが神出鬼没な魚だからだ。池のような湾奥から急潮の海域まで活動範囲の幅が広く、また、釣り場の形態も磯、堤防、渚など変化に富んでいることにも起因する。

同じフカセ釣りで人気魚種のグレ(メジナ)と比較してみても明らか。グレの場合、底を意識することはごく少ないが、チヌは底釣りも重要な戦略であることが大きい。

地域や釣り場の特性、釣り人のスタイルや考え方によってさまざまだが、大きく分けて釣り方は「タナ決め」・「底中心」・「全層狙い」の3つに大別できる。それぞれの釣り方がまったく別物というわけでもないし、クロスオーバーする部分も少なくない。ただ、異なる釣りから刺激を受けることは決してマイナスにはならないはずだ。まずは、その違いを理解した上で、春夏秋冬にマッチした、釣るためのコツを習得していこう。

変化に富んだ磯場は、春の産卵シーズンなど良型狙いにチョイスされることが多い。
渚は高活性の気温が高いサマーシーズンがベストだが、厳寒期にあえて狙うマニアも。
年中釣れる場として外しは少ない堤防周辺。「まず1尾」を成立させやすい定番スポット。

タナを決めて探る

まず1つめは、タナを決めて探る釣り。もっともオーソドックスなフカセ釣りのスタイルであり、基本中の基本といえるだろう。特に中通しウキを使用した釣りは、徳島の伝統ある”阿波釣法(あわちょうほう)”がベースでもあり、グレ釣りも得意とする名手にこのスタイルがよく見られる。

マキエ(撒き餌)で魚をコントロールして釣るという考え方が基本だが、チヌの場合は海底変化の周辺を狙い撃ちするケースもある。確実にタナ(ウキ下)を把握するためには、ウキ止めを付けた方が分かりやすい。

一度ヒットパターンをつかんでしまえばそれを再現しやすく、連続ヒットに持ち込みやすいのが最大の特徴。深いタナになればなるほどマキエとサシエ(挿し餌)の同調は難しくなるが、きっちりタナを把握できていることは、同調させるための大きなヒントになる。

底を中心に探る

2つめは、底中心の釣り。重いマキエを底に溜め、ウキ下も底付近を中心に合わせる。拡散しやすい軽いマキエで狙う他の釣りよりも、狙いがピンポイントなのが特徴。千葉県の房総半島をホームに活躍していた遠矢国利さん(現在は鹿児島県在住)のスタイルが特に有名で、理論的にも完成されている。遠矢さん曰く、「海底にチヌ牧場を作る」のがこの釣り最大のコンセプト。マキエで魚に“動いてもらう”よりも、回遊してきた魚をしっかり足止めさせることが狙い。

また、このスタイルに関しては“立ちウキ”と呼ばれる細長い環付き棒ウキが多用される。高感度で反応も良く、理に適ったスタイルといえる。チヌが浮かないことを前提にしていることもあり、水深が浅いスポットでは特に有効。関東で厚い支持を得ているスタイルだが、各地で威力を発揮することはすでに実証されている。



ウキを沈めて探る

3つめは、マキエと共にウキごと仕掛けを沈めて探る釣り。特に大型の中通しウキで遠投するスタイルは瀬戸内(広島)の代名詞。そのルーツは名手の大知昭さん。沈下するサシエをマキエに近付けて自然かつ自由に演出できるのが特徴。タナが深くなればなるほど同調させるイメージがつかみづらい面もあるが、マスターすれば爆発的な威力を発揮する。

沈ませることが前提のため、ゼロ系統の浮力の中通しウキをウキ止めなしの全遊動で使うことが多い。ゼロ系統とはいえウキには浮力があるため、仕掛けが沈む過程でラインがウキのパイプを抜けてなじんでいく。狙える層も制限はないため、全層釣法ともいえる。

最終的には底に仕掛けを着けて「ハワセ」状態にすることも可能。こうなると完全にウキは見えないのでラインの動きや竿先でアタリを取ることになるが、全遊動仕掛けであることは、チヌがサシエをくわえたときに違和感を少なくする効果が期待できる。

どのスタイルが適正なのかは場所や季節に左右される部分が大きいのだが、オーソドックスなのは、やはりウキ止めを付けてタナを決めるスタイル。特に深ダナを釣る場合はイメージ力が問われる。

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