S字形ビッグベイトの生みの親・平岩孝典が語る!ジョイントルアーの魅力とさらなる展望。



元祖・S字系ビッグベイト『ジョインテッド・クロー』の生みの親にして、ジャパニーズビッグベイトを世界に広げたガンクラフト代表・平岩孝典さん。ジョインテッドクローがリリースされ、17年。今後のジョイント系ビッグベイトの可能性を語って頂いた。

【Profile】

平岩孝典(ひらいわ・たかのり)

ガンクラフト代表にして、アイテムコンセプトからパッケージに至るまで一手に引き受けるタックルデザイナー。鮎邪ジョインテッドクロー178で「S字系」というジャンルを興す。

ジョイントをコントロールする時代になる

釣り具屋でのバイト時代に、シーバスで使ったラパラCDJが最初に衝撃を受けたジョイントルアーですね。その次はというと…菊元(俊文)さんの、ティンバーフラッシュです。ビッグベイトのジョイントルアー。ACミノーとかは和歌山では入手しづらかったので。

ティンバーフラッシュ(エバーグリーン)

とにかく、こんなデカいルアーを、あんなデカいバスが食うのか!と固定観念が吹っ飛ばされました。菊元さんに渡されたティンバーフラッシュを、合川ダムのバックウォーターで初めて投げたときのことは鮮明に覚えていますね。正直ワームじゃないと釣れないという気持ちで投げたのに、でかバスがとんでもない食い方でバイトしてきて…。ほどなくしてノイジーダックスが発売されて、個人的に好きで使ってましたね。

ジョイントって、まず前と後ろが違う動きをして、水への干渉も逆になる。そして、ボディや金属リグから独特の音がする。その2つは、それまでなかった要素でしたね。ものすごいアピールだった

ジョイクロは、全く別モノですね。ゆっくり見せて食わせる。しかも、横への動きなのに、バスにとって進んでいく方向が読めない。右へ蛇行すると、バスは右に回り込んで両目でジョイクロを見ようとする。左に行けば左。両目で見たいのに視界から逃げるルアーに対して、スレていても我慢できずにアタックしてしまう。近い動きでいえばジャークベイトですね。

ジョインテッドクロー178(ガンクラフト)

すべての始まり。初めてビッグベイトで釣ったのはジョイクロという人も多いのではないだろうか。元祖S字系ビッグベイト。

ジョイクロをリリースすると、徐々にはですが、すんなり受け入れてもらいました。ボトムや水面使いなど、それこそ色んなシチュエーションを想定して作り込みましたから、その全てで釣ってもらえました。雨後のマッディでもばっちりテストできていたので、霞ヶ浦などのマッディシャローでも通用しましたね。

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S字はナチュラルじゃないけど、スピードがナチュラル。だから巻くだけが一番釣れる。変にアクションをつけてしまうと後が続かないので、動きをつけるなら巻き続けて最後の最後にアクションさせてください。

ロッドでアクションをつけると、ラインが水を切る音でバスが嫌がることがある。なので、リーリングでアクションをつける。それを目指したのが、『ジョインテッドクローシフト』ですね。シフトは、ジョイントの力をコントロールしてやろうというのがコンセプト。エイト管同士でのジョイントは戻ろうとしませんが、ロムダンパー部は曲がったら戻ろうという力が働く。

ジョインテッドクローシフト183(ガンクラフト)

一見ジョイクロ。ボディ後部に設定された第2のジョイント「ロムダンパー」はエラストマー製。183の「3」はセンター、ロムダンパー、テールの3分割を意味している。

ロムダンパーは、曲がり幅や、曲げるための力をコントロールできる。ゆっくり巻くと曲がらないので、ジョイクロのようなS字。速く巻いて負荷が掛かると曲がり始めて水を逃がし、安定したハイスピードスイムになる。そうやって、ジョイントをコントロールする時代になる。

シフトの開発時は、磁石やバネ、ワイヤーなど色々試しました。そして、ロムダンパーというシンプルかつ手間も掛からないものになった。ダンパーの長さや硬さを変えることで、動きも変わる。これから、様々なタイプのダンパーを開発していく予定です。ちなみに、使い始めは硬めで、使い込むうちに1割程度柔らかくなります。それが正常な状態。慣らし運転の楽しみもある、育てるダンパーなんですね。曲がりだけでなく、負荷によって一瞬伸びる側面
もある。それも、今までのジョイントになかった要素ですね。

ちなみに、金属リグによるジョイントはエイト管同士でないと、というこだわりがあります。エイト管とシャフトでジョイントさせると、接触面が大きく、泳がせたときに違和感のある曲がりになってしまう。抵抗値が高いというか…。エイト管同士だと、軽い力で動くので、左右へと動きやすくなるし、アクションの最後は前後のボディが真っ直ぐになる。それが良いと考えています。

しかし今回のロムダンパーでは、ジョイントルアーの可能性が広がりましたね。ジョイクロシフトでいえば、253のプロトを進めています。別売りのロムダンパーも、とりあえずショートバージョンをリリースしようかなと。短くすると、ロールが強くなっておだやかなアクションになる。ジョイクロに近い感じですね。トップウォータールアーやジャークベイトなど、違うジャンルのルアーへ組み込んだ取り組みも考えています。

ジョイクロシフトは、新たな試みとして異業種コラボやキャンペーン「Meet&Spark」を展開しています。コラボは、アパレルブランドや多肉植物専門店のオリジナルカラーです。

F-LAGSTUF-Fコラボカラー

F-LAGSTUF-F(フラグスタフ)は、東京屈指のヴィンテージショップBerBerJinの元バイヤー村山氏が「Anuncategorizablegenre」(何にもとらわれないボーダレスな物づくり)をコンセプトに2014年にスタート。SNS
中心に注目が集まり、口コミで東京ストリートシーンに浸透。

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鶴仙園コラボカラー

鶴仙園は、創業90年を超え、都内に店舗を構えるサボテン・多肉植物専門店。取り扱う品種の数、審美眼が光るセレクトで業界からの信頼も厚い。三代目となる鶴岡秀明氏(通称ヒデさん)から植物のみならず用品、陶器鉢にも力を入れ、業界に化学反応を起こした。著書も多数出版し、テレビにも出演。講演やイベントを行うなど勢力的に活動している。

さらにキャンペーンは、「鮎の一生」カラーをウェブと店頭販売用で全5色を用意。

「鮎の一生」氷魚
「鮎の一生」稚鮎

全て買った人には、シークレットカラーをプレゼントするもの。一般販売のめども立ちそうなので、もう少しお待ち下さい。



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