飛距離ってやっぱり大事! ジップベイツの“磁力”を利用した重心移動システム「マグドライブ」の進化系「マグドライブフォース」ってどんなもの?



ジップベイツの「マグドライブ」は、ルアーに内蔵されたウエイトとマグネットを一体化することで、スイミング時の安定した遊泳能力とキャスト時の遠投性能を実現した重心移動システムだ。2002年に登場してから、すでに20年ほどが経過しているが、2021年にはその派生となる「マグドライブフォース」がサクラマス用のプラグ「リッジD-FORCE 95MDF」に搭載された。今なお活躍するオリジナルの性能、そして進化した“フォース”の機能に迫る。

サクラマス用ミノー「リッジ90F/S」。2002年にデビューすると同時にマグドライブが搭載され話題に。今もなお多くのサクラマスアングラーに愛される定番ミノーである。

「マグドライブ」とは?

バスデイの初代社長である、故・伊藤喜吉氏が開発した重心移動システム。

重心移動システムといえば、内蔵されたウエイトがルアーのボディ内部を移動する機構だ。こと「マグドライブ」に関して特筆すべきは“磁力”が使われているところだろう。スイミング時にはウエイトが前方で磁着ホールドされ、キャスト時にはそのウエイトが後方へ移動する。これを導入することで、遊泳性能と飛行性能を両立が可能となるのだ。

スイミング時

キャスティング時

さらに細かく見ていくと、磁石はネオジウムプラスチックマグネットを使用すること、さらにプラスチックの磁調ワッシャー部品を使用することで磁力が調整されている。これによりキャスト時のフィーリングやアクション時のイレギュラーアクションの調整が可能に。

各ルアーに採用されるウエイトはメインのタングステン素材に始まり、スチールや真鍮素材と多岐にわたる。そしてその円柱形状の直径や長さ(重量)もさまざま。ルアーには、望むべき大きさ、形状、重量、アクション、深度、飛距離とさまざまな要素が存在するが、その重要部分の一端を担うのがマグドライブとなる。

ボートシーバスなどに適した「マグドライブアロー」

「マグドライブフォース」が生まれる以前に、「マグドライブアロー」という派生型も誕生している。こちらはたとえばボートシーバスなどでよく見られる“ストラクチャーを撃っていく”スタイルの釣りに適しており、モデルで言えば「ZBLシャッド カイラ80SP」に採用されている。

通常の「マグドライブ」はメインウエイトとマグネット部を接着し前方部で磁着することでウエイトを固定するシステムだが、「マグドライブアロー」はメインウエイト自体に磁性を持たせているところが特徴だ。

前方上部に配置したマグネットにウエイトが前方で磁着する際、厳密に言うとウエイトとマグネットの間には若干の隙間ができるのだが、この“隙間”を利用して磁力を調整している。

メインウエイトにはタングステンを使用。その場合磁力が弱くなり比較的磁着からの解放が容易となる。この“キャスト時のウエイト移動が通常のマグドライブよりも外れやすくなる”ことで、ボートシーバスにおけるピンスポット攻略や穴撃ち、アキュラシーを要する小さなテイクバックでのキャスト、ピッチングなどに最適な仕様となっているのである。

ZBLシャッド カイラ80SP



そしてその性能は「マグドライブフォース」へと受け継がれる

フィッシングプレッシャーの高まる昨今のサクラマスフィールドを攻略するための95㎜のミッドダイバー。ジップベイツの開発スタッフである内藤康人さんが、九頭竜川のエキスパート・森下映治さんの意見を取り入れながら開発した。

森下さんは、「リッジMD86SS」をメインルアーとしてサクラマスを狙っていたが、より戦略の幅を広げたいということで、新ルアーの開発がスタートした。コンセプトとして掲げたのが「より遠くに飛ばす」「より深くもぐらせる」「より強くアピールする」という3つのテーマだ。

開発にかけた時間は約3年。ネーミングも「リッジD-FORCE 95MDF」に決定した。このルアーの最も大きなトピックスと言えば、新たに「マグドライブフォース」という重心移動システムを採用したことだろう。11.8gのフローティングミノーという仕様でありながら、トップクラスの飛距離を実現している。

サクラマス用ミノー「リッジD-FORCE 95MDF」

九頭竜川のエキスパートとして知られる森下映治さん。リッジ Dフォースにも採用されている「EM /シャイニーライム」は彼が開発したカラーで、今なお多くのアングラーから支持を得ている人気のカラーラインナップだ。
こちらが“釣れる”とうわさの「EM/シャイニーライム」カラー。「リッジMD86SS」に初めて採用された際には、入手困難になるほどだった。

「マグドライブフォース」の特徴

磁着部を前方から後方に移動させ、ボディ前方に重心を集中させた

オリジナルの「マグドライブ」との違いを簡単にいえば、磁着部を前方から後方に移動させ、ボディ前方に重心を集中させているということ。これにより従来あった磁力調整のマグネット、スチールプレートを排除してパーツの簡素化を実現している。飛距離の向上のみならずピンスポットが狙いやすくなるなど、キャスト精度も格段に向上している。ウエイトが後方に移動しやすい磁力に設定されているため、例えば後ろにボサなどがありテイクバックが取りにくい場所でもストレスを感じることなくキャストできる。

開発秘話はジップベイツのHP内の動画でも紹介されている。そこでは「開発までに100を超えるサンプルをテストした」とされているが、開発スタッフの内藤さんによれば、森下さんの手に渡ることなくボツになったアイテムを含めてよくよく数えてみると製作数は200を超えていた」とのことである。そんな彼に「マグドライブ」「マグドライブアロー」「マグドライブフォース」それぞれの違いを聞いてみたところ、以下のような答えが返ってきた。

  • 【磁着力の強さ】①マグドライブ、②マグドライブフォース、③マグドライブアロー
  • 【投げやすさ】①マグドライブアロー、②マグドライブフォース、③マグドライブ
  • 【アクションの質】①マグドライブ、②マグドライブフォース、③マグドライブアロー
  • 【コストパフォーマンス】①マグドライブアロー、②マグドライブフォース、③マグドライブ

内藤「投げてみればわかると思いますが、軽快なキャストフィールを感じられるはずです。軽いテイクバックで簡単にウエイトが後方に移動しますので、リリース時の姿勢が安定。飛行中のウエイトの戻りがかなり抑えられるので、結果的に飛距離とキャスト精度が向上することができました」

内藤「また、貫通シャフトを使用した重心移動の場合、メインウエイトをシャフト前方の支持リムに近づけてホールドした方が綺麗なアクションになりやすいので、その部分でいえばマグドライブフォースの構造は、理想的かと思います。リトリーブ時は、通常の磁着力とメインウエイトの慣性を失わせる構造で、必要十分なウエイト保持力を持たせました。前述した3つのマグドライブの違いに関してはあくまでも主観ですが、マグドライブフォースに関しては3種の中で最もトータルバランスに優れている機構だと思います」

初代社長である故・伊藤喜吉氏から受け継がれた画期的な重心移動システム「マグドライブ」は、釣種に合わせて、シーンに合わせて常に進化を続けてきた。「マグドライブ」「マグドライブアロー」「マグドライブフォース」と3タイプの使い分けで今後のルアー開発にも拍車がかかるだろうし、システム自体のさらなる進化にも期待したいところだ。ジップベイツのルアー開発から目が離せない。


リップはつけ根の部分が幅広で、先端が厚めになった独自の形状になる。一般的には、リップの根元は細い方がきれいな泳ぎを出しやすい。しかし、あらゆる流れに対して、泳ぎが破綻しないことを追求した結果、このような形状にたどり着いたという。また、ボディのヘッド部形状が偏平となっているが、この部分がリップの延長としての役割を果たす設計になっているそうだ。
ボディ後方の急に曲がるテーパーデザイン。重心移動システムも相まってこの部分が飛距離や飛行姿勢に貢献している。
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