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石垣島を覆い尽くす海洋漂着プラスチックごみの現実〜大量消費社会を考える〜

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大場諒

2021.07.26



私たちは日頃、便利さと引きかえに信じられないほどの大量のごみを生み出している。そのごみが街から溢れ出し、河川を流れ、世界各地の海辺に漂着ごみとして大量に流れ着いていることをご存知だろうか。沖縄県石垣島で定期的に行われているビーチクリーンの様子を取材した。

石垣島に流れ着く大量のプラスチックごみ

石垣島の最北端に位置する平野海岸。美しい浜辺が広がっている様に見えるが……。
そこには目を疑う量の海洋ごみが漂着していた。

今朝もはち切れんばかりのごみ袋を持って家を出た。アパートの外のごみ置場にそれを押し込んで、通勤電車へと向かう。月曜日と木曜日の私の日課だ。

妻と2人だけの暮らしなのによくもまあ毎日こんなにごみが出るものだと、我ながら呆れることが多い。ペットボトルにコンビニの弁当ガラ、ティッシュペーパーやお菓子の包装紙、ネットショッピングをする毎に積み重なっていくダンボール……。

私はルアマガという会社で働き、釣りメディアに関わる仕事をしている。その関係で、海辺の清掃、いわゆる「ビーチクリーン」の活動を行なっているボランティア団体『海Loveネットワーク』の存在を知り、一度参加してみようと思い立ったのは、日頃からそんなモヤモヤとした感覚を持っていたからかもしれない。

ビーチクリーン当日は、南ぬ島石垣空港からレンタカーで1時間ほどかけて一気に島の最北端まで走り、ビーチクリーンの開催場所である平野海岸を平久保崎灯台から臨んだ。

そしてそのビーチの現状を目の当たりにして言葉を失った。

私たちが豊かさと便利さを求めて突き進んできた経済活動の「シワ寄せ」がそこにあった。

私たちが日頃、知らぬフリ、見て見ぬフリをしてきたものだ。

約200人が参加し、これだけの漂着ごみが集められた。数ヶ月前に同じ場所でビーチクリーンが行われたにも関わらず、である。

ビーチクリーンで海辺を守る人々

ボランティア団体『海Loveネットワーク』代表の中川久美子さん(右)と事務局の佐藤紀子さん(左)。ごみを大量に生み出す現在の社会システムとライフスタイルに疑問を投げかける。

前述のボランティア団体『海Loveネットワーク』の中川久美子さん佐藤紀子さんに、石垣島ビーチクリーン活動の発端とその思いを伺った。

佐藤「元々、サーフィンをやっていて、海辺のごみが気になっていました。それで人を募ってごみ拾いをしていたのですが、あまりにも漂着ごみが多くて人手が足りなくなったんです」

中川「はじめは海が好きな人が集まる『海Loveフェスタ』というイベントとして、来てくれる人に喜んでもらうためにビーチクリーンだけではなく、音楽ライブや食事の提供などもしていました。徐々に皆さんがビーチクリーンに興味をもってくれて、8年目を迎えた2017年に、本気で自分たちのライフスタイルを変える「きっかけ作り」をしていこうという思いから、『海Loveネットワーク』という団体名でビーチクリーン主体の活動に切り替えました」

佐藤「特にペットボトルごみが多い。軽いのであっという間に海を渡って世界中に漂着してしまうんです。それ以外のありとあらゆるプラスチックごみも大量にやって来ます」

中川「私たちはビーチクリーンをしなくてすむ世界が来ることを望んでいます。便利さだけを求めてプラスチックを使い続けたらこの海はごみ箱になってしまう。世界中で、今すぐ、みんなでごみを出さない社会の仕組みづくりをすべき限界点が来ています」

今回私が参加した平野海岸ビーチクリーンの様子とプラスチックごみ問題に対するお2人の思いについては、ぜひ動画もご覧頂きたい。

近隣諸国のせいにはできない地球規模の悪循環

漂着ごみには外国語の文字が。しかし日本のごみもまたハワイなどの外国へ漂着しているのだ。

佐藤さんと中川さんがビーチクリーンを始めた頃は、「海辺で拾うごみはほとんど外国から流れてきたごみばかり。なぜ自分達がこんなことをしなければならないのか」といった不満を持つ人もいた。

しかし、私たち日本人が出したごみもまた、海を渡って海外に流出している。海Loveネットワークのメンバーは、その事実を自分達の目で直接確かめるために、3年前にハワイでビーチクリーンを行った。

そこでは確かに日本語が書かれたペットボトルごみが散乱し、ビーチは取り尽くせないほどのマイクロプラスチックで汚染されていた。

2018年に海Loveネットワークのメンバー6名がハワイのビーチクリーン活動に参加し、日本からの漂着ごみを確認した。
ハワイのビーチの至るところに日本語が書かれた漂着ごみが。日本語表記のペットボトルキャップも多数確認された。
ハワイのビーチに散乱していたマイクロプラスチック。


海洋ごみの発生源はポイ捨て?

自分はごみのポイ捨てはしていない。日常生活で出たごみもきちんと分別して捨てている。そういった主張もあるかもしれない。

しかし佐藤さんによると、海洋漂着ごみのほとんどはポイ捨てによるものではなく、様々な理由により適切に収集・処理されずに街から漏れ出したものだという。その具体的な流出ルートはまだ十分な調査が行われていないのが現状だ。街から河川へ、河川から海へ。大量消費社会から溢れたごみがブラックボックスを経て最後に行き着く場所が世界各地の海岸なのだ。

そもそも、全てのごみが適切に処理されたとしても、日本の一般廃棄物最終処分場の残余年数は約20年と言われており、また、約8割という国内のプラスチックごみリサイクル率についても、国内で材料として再利用されているのは1割未満で、その多くは焼却されているのが現状だ(発電や熱利用を含む)。

ペットボトル消費量が年々増加の一途を辿っていることを考えると、そこには「分別回収しているから大丈夫」、「リサイクルされるから大丈夫」というまやかしの免罪符が私たちの心の中にあったのではないだろうか。

ごみそのものを生み出さないための新しいライフスタイルと社会の仕組みを作ることが急務なのだ。

今回のビーチクリーンで回収したごみの内訳。ペットボトル109袋(約5450本)、燃やさないごみ158袋、発泡スチロール104袋、漁具55袋、びん51袋、ブイ427個、ロープ25袋、燃やすごみ13袋、電球・蛍光灯9袋、割れ物7袋、缶6袋、危険物2袋。

ごみを出さないライフスタイルに挑戦してみよう!

マイボトルやマイカトラリーを持参しよう

ビーチクリーンを終えて東京に戻った私は、ペットボトルやプラスチック容器に対して強い嫌悪感を持つようになった。

今では、できる限りマイボトルにコーヒーを入れて出社するようにしている。家庭でも、ペットボトルのミネラルウォーターなどを買うのをやめた。スーパーによっては、一度購入した専用の保存容器を使い回して、蒸留水を無料で提供しているところもある。また、今後は職場用のマイ箸やスプーン・フォークなどのマイカトラリーの購入も考えている。

必要に迫られてペットボトル飲料を買うことはまだゼロではないが、以前に比べるとその頻度はかなり減った。ごみ出しの回数も減って一石二鳥。

コンビニのコーヒーマシンは、衛生上の問題もあり、マイボトルに直接飲み物を入れることは禁止されている場合が多い。しかし、通常の容器に入れてもらった飲み物をマイボトルに移し替えたのでは、ごみが発生してしまうので何の意味もない。これから暑い時期になればアイスコーヒーを買いたくなることも多くなるが、冷凍庫の氷入りのプラスチック容器をレジに持っていくシステムであれば、ごみの発生は避けられない。消費者だけではなく、企業側の環境配慮への努力も必要だ。

ちなみに、今回のビーチクリーンで回収されたプラスチックごみの一部は、日本環境設計株式会社の協力のもと、ライフスタイル提案商社の豊島株式会社が環境負荷に配慮し、長く大切に使うことができる繊維製品に再利用する予定だ。

釣りメディアを扱っているルアマガも、今後、環境保護への活動を広げていきたいと考えている。私たち釣り人にとって、「水辺」はかけがえのない「遊び場」だ。釣りという趣味は、私たちに大きな喜びと生きがいを与えてくれるものである一方で、自然環境を破壊しうるものであることを忘れないようにしたい。

ルアマガはこれまでにも「ラインポリス」というスローガンの元、釣り糸をはじめとした釣り場のごみ拾いの必要性を釣り人に訴えてきた。

釣り場で自分が出したごみは必ず持ち帰る。できるだけ釣り場に落ちているごみを拾う。そしてこれからは、釣り場以外でもごみ自体を生み出さないためのライフスタイルを皆さんとともに模索していきたい。

普段、水辺の恩恵を受けている釣り人だからこそ環境意識を高く持ちたい。
そんな思いから、現在ルアマガでは釣り場でも街でも使えるダストポーチを製作中。日本環境設計(株)と豊島(株)の協力の元、ビーチクリーンで回収したペットボトルごみを再利用した生地で作られている。

環境視点で日常の「選択」をする

私たちの生活は日々、「選択」の連続。何気なしにそのどちらかを選び行動している。

例えば昼食。コンビニやファストフード店で買えば、それだけで多くのごみが出る。近所の外食店で食べればそれよりはごみの発生を抑えられる。お弁当を持参できればベストだが私にはちょっと敷居が高い。

企業が変わらなければ世の中の仕組みが変わらないのはその通りだが、多くの消費者が環境視点でモノやサービスを買うようになれば、企業もそれに従わざるを得ない。環境に配慮したモノやサービスが増えれば、消費者もそれを利用せざるを得ない。そんな好循環が生まれればいいと思う。

水辺の清掃活動に参加してみよう

200人の参加者がいればごみ収集自体は1時間程度で終わる。しかし、その後の分別作業は倍の2時間は要する。
分別・袋詰めが終わったら数百メートル離れた坂の上の集積所まで全員が並びバケツリレー方式で運搬する。この作業は実に3時間近くかかった。みんなでやるので楽しいが作業自体は非常に過酷だ。

今回のビーチクリーンの体験で、一度生み出してしまったごみの後始末の大変さを身に染みて実感した。

「後始末」と書いたが、現実はこの大量の漂着ごみが平野海岸のビーチから一度姿を消しただけで、他の場所に移動したに過ぎない。人間が作り出したごみが地球の循環システムの中に戻るには、途方もない年月がかかる。

百聞は一見に如かず。百見は一体験に如かず。皆さんもぜひ、機会を作って参加されてみてはいかがだろうか。

海Loveネットワークフェイスブックページはこちら

動画はこちらから

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