これまでハゼクランクで使用しやすいロッドとリール、ラインのセッティングをご紹介してきました。
今回はルアーの選び方とフックのセッティング方法、基本的なカラーローテーションや、釣り場の状況に合わせたチューン方法を解説します!
吉田光輝さんプロフィール
【Profile】
吉田光輝(よしだ・こうき)
ロブルアーでハゼクランク用のクランクベイトのテスターを務める。年間を通して主に東京湾奥でシーバスを狙いつつ、大型魚から小型魚まで様々な釣りに精通。夏から秋はハゼクランクに入れ込み、ハゼクラの数少ない公式釣り大会「Hz-1グランプリ」では、和やかな雰囲気の中で黙々と大型ハゼを狙い撃ちして大人気なく優勝をもぎ取っていく釣技の持ち主。YouTubeチャンネル【reLight調査隊】ボス。
ハゼのルアー釣りはなぜ「クランクベイト」が有効なのか
まずルアーの選択なのですが、前提としてクランクベイトが主力ということになります。
では何故? クランクベイトなのでしょうか。他のルアーではダメなのか、気になる方も多いのではないかと思います。これはルアー選択の基準にも繋がることですので、まず、なぜクランクベイトが有効なのかを解説していきます。
クランクベイト以外は使えないの?
よくシーバスゲームでボトムを狙っているときに、ハゼがスレ掛かりでヒットしてきた経験があるシーバスマンも多いのではないでしょうか。あの現象は、プラグを攻撃している可能性が高いものと考えられます。トリプルフックを使うためにスレ掛かりしてしまうのですね。
また、ハゼは必ずしも攻撃行動だけではなく、瞬間的に捕食行動に切り替えてルアーにアタックしてくることがあります。詳しくは次回ルアーの操作で解説します!
さて、ここから考えると、活性の高いハゼがいる生息域に最も通しやすく、攻撃しやすいシルエットのルアーを選択するのが正解、ということになります。
ハゼは基本的にボトム付近に張り付いている小型魚で、活性の高い夏~秋は浅場に群れています。
ここを攻めるのであれば、まさに小型のクランクベイトが適合するというわけです。
素早くボトムノックの砂煙と音でアピールしながら海底を攻められる小型クランクベイトで、かつ障害物回避性能も高いフローティング(浮くタイプ)タイプが汎用性も高く有効です。
サイズ的には、エリアトラウトで使われている1g~3gほどのもの。さらに状況に応じて使い分けできるようハゼが好むカラーをいくつか揃えておくと良いでしょう。
スプーンでハゼは釣れる?
ちなみにスプーンのリフト&フォールでも効果はありますが、クランクベイトよりも難易度が高く、慣れが必要な釣りになります。
ワームでハゼは釣れる?
もちろん釣れます! 特に、においが強いワームを小さくカットして使うと釣れます。
しかし、ハードベイトを用いたスピード感のあるエキサイティングなゲーム性のある釣りとは違う釣りになります。
クランクベイトのリップ形状で変わる種類
それでは、ハゼクランクに有効なクランクベイトについて解説していきます。
まずクランクベイトの前方に付いているベロのような水受け板、リップ。
リップの角度や長さ、形状で、泳ぎ方や潜る深さが変わってきます。
リップの角度による違い
リップの角度が真下へ直角にいくほど潜らなくなります。
動きはボディをひねるように回転させるローリングが強くなり、バタバタと激しく動くようになります。
逆に角度が上に行くほど深く潜るようになります。
動きはルアーが左右に首を振るようなウォブリングが強くなり、ウネるように動きます。
リップの長さによる違い
リップが短いとより動きが細かくなり、潜らなくなります。
リップが長いと大きく動き、潜るようになります。
同じクランクベイトでもリップの形状で様々な動き方をします。
ハゼクラは、波打ち際~水深1.5mほどを狙うことが多いため、斜め45度くらいのリップ角度が標準的です。
吉田光輝さん普段遣いのオススメのクランクベイト
筆者が普段使っている個人的なオススメのクランクベイトをご紹介します。
アルトワークスF 25mm 1.4g【ロブルアー】
小粒で扱いやすくハゼクラ初級者にオススメなクランクベイトです!
波打ち際~水深30cmほどの浅場を狙うのに最適。
細かな波動を出しながら不規則にボトムを蛇行しハゼにアピールします。
バービーR 32mm 2.2g【ロブルアー】
水深30cm~1mほどを狙うのに最適なクランクベイトです。
大型ハゼハンター御用達な一品ですね!
海底が坂になっているカケアガリに潜む大型ハゼを浅場に誘い出してヒットさせるのが得意です。
筆者が最も多用するルアーでもあります。
アルトボアF 32mm 2.8g【ロブルアー】
微妙な個体差をチューンナップで改善することでよく潜り、劇的に釣れるようになるルアーです!
ストラクチャー回避能力も高く、ハマってしまうと無双状態になることも。
チューン方法は動画で解説しています。
モーストバービーF 35mm 3.4g【ロブルアー】
ロングリップで水深1m~1.5mを狙うのに効果的です!
波打ち際がなく、足元から少し水深があるポイントで必須になるルアー。
茨城県の涸沼などでは必要になるポイントが多々あります。
モーストバービーハーフF 36mm 3.4g【ロブルアー】
モーストバービーのロングリップが半分になって飛距離がアップしたバージョン。
水深1m前後を幅広く探るのに効果的!
もぐたそS 39mm 4.2g【ロブルアー】
どうしても遠投したい場合に使用できるボトムトレーサーです。
ボトムをタダ巻きで這わせやすいルアーですが、シンキングタイプのため、根掛かりしにくい砂地で使用するのがおすすめです。
ハゼクランクのフックのセッティング方法
フックはトラウト用シングルフックで、サイズは#6~#10を使用するのが一般的です。
細ければ刺さりが良くなり、太ければ丈夫になります。
なお、トラウト用で海水対応ではないため錆びやすく、お得用50本入りがオススメです。
ダブルフックシステム
ルアーのリアアイにに2本のシングルフックをサイズ違いで装着するダブルフックシステムが効果的です。
ハゼが水面で回転してバレるのを防いでくれます。
【秘蔵システム公開!】アカムシ風アシストフックシステム
小さいハゼには、リアに赤袖針4号をPEラインで繋いだアシストフックシステムが有効です。
これはあまり公開していなかった個人的な必殺システムなのですが、クランクベイトを攻撃しにきたハゼが「うわアカムシ!?」と瞬間的に食らいつくというシーンをイメージしたもので、攻撃から捕食に転じさせるゲーム性も面白く、高い効果があります。
作り方は動画にしてありますので、ぜひご覧になってみてください。
ハゼクランクのカラーローテーション
ハゼは、目でルアーをよく見ているようです。
高反応だったカラーがピタッ! とまったく追ってこなくなる瞬間が多々あります。スレた! というやつです。そんなときに重要なのがカラーローテーションです。
カラーを変えた途端に釣れだすことも多く、何パターンかのカラーを持っておくといいでしょう。
基本的カラーローテーションの考え方
クランクベイトのカラーローテーションですが、基本的にはスレ難いハゼに近いカラーやボトムの色に近いクリアブラウンなどナチュラル系からスタート。反応が弱ければ強めの色に切り替えていきます。
ハゼが好みやすい暖色系でスレにくいクリアカラー、濁っていてもアピールできる強めのカラー、暖色系の派手な膨張色へとローテーションします。
- クリアブラウン系
- クリアオレンジ・クリアイエロー系
- クリアレッド・レッド系
- グリーン・ゴールド・ブラック系
- ホワイト・ピンク系
ただし、天候や潮色によってローテーションは変わってきます。
その日、その場所、その時間のヒットパターンを探すところにもゲーム性がある釣りです。
簡単なクランクチューン方法
一般的にハゼクランクはフローティングタイプのクランクベイトを使用します。
これは、寸止めでわずかに浮かせてリアクションバイトをとったり、障害物を回避するためです。
しかし、釣り場の深かったり足場が高かったり、流れが速い場合など、フローティングでは通用しないシーンもあります。
こんなときに効果的なチューン方法が、板状オモリのウェイトシールをルアーのベリー(お腹側)に貼り付ける方法です。これにより、深く潜らせることができるようになり、流れが速くても泳ぎが安定します。
貼り付ける部分はフロントフックの後ろのベリーです。
状況に合わせて大きさを使い分けましょう。
あらかじめ様々な大きさのウェイトシールをタックルボックスに常備しておくと、その都度変えられるので便利です。ウェイトシールには板状で好きな大きさにカットできるモノや、円形のタイプもあります。お好みで使ってください。
注意するべきなのは、オモリを貼ることによりシンキング(沈むタイプ)になるため、根掛かりリスクが増すことです。ストラクチャーが多い場所では注意して使ってください。
2m以上の深場を狙う場合のセッティング
ボートハゼクラのように水深が2m以上を狙うような場合は、ボトムを取るために中オモリを使用します。
その場合は、1.7号リーダーを少し長めに80cmほどとり、スナップを付けている先端から25cmほど上に中オモリを入れます。
アジングで使うゴム管で挟むタイプの中オモリ1.4g~1.8gでOKです。
気をつけるポイントは、ゴム管の色です!
これは透明なゴム管がオススメになります。
黒やオレンジなど色が付いていると、ゴム管にハゼがアタックしてしまうためです。
ルアー側にアタックさせる確率を上げるためには透明ゴム管を使ってください。
中オモリを入れることによりルアーを沈めることができるようになりますが、ルアーの25cm上にオモリをつけるところがポイントです。
フローティングタイプのクランクベイトを使用していれば、ストップ&ゴーをした際に、リーダーの25cm分だけクランクが浮きます。これで喰わせの間を作ることができるうえに、先にオモリが障害物にあたるため、根掛かり回避率が上がります!
次回は具体的な釣り方、狙い方のテクニック編
今回は最も重要なルアーの選び方からフックセッティングまで解説しました。
簡単な釣りに見えるハゼクランクですが、様々な状況に合わせてより多くキャッチするための方法があり、かなりゲーム性に富んだ釣りです。
ハゼは、その日の天候や潮などのコンディションによって当たりルアーが変わってきます。
沢山釣るためには、ルアーローテーションやカラーローテーションが大事! 自分なりの作戦を立てることで、よりゲーム性が増します。
次回は、ハゼクラの釣り方や狙い方のテクニックを解説します!