バスフィッシングは、通年楽しめる釣り。季節ごとの必釣パターンを知っておけば、より釣果が得やすいのはいわずもがな。そこで琵琶湖の頼れるプロガイド、“いそっち”こと礒村雅俊さんにバス釣りシーズナルを解説してもらおう。今回は9月編!
【Profile】
礒村雅俊(いそむら・まさとし)
2011年より琵琶湖でプロガイドをスタート。琵琶湖のロコトーナメント『BAIT』で2013、2015、2017年にA.O.Y.に選出されるなど、アングラーとしても輝かしい実績を残す。ライトリグからビッグベイトまで幅広い釣りに対応。『楽しめる釣り』をモットーとする。
季節の移行期だけにどんな釣りにも備えよう
9月上旬から中旬にかけては季節の移行期に当たるため、夏の釣りが依然有効になることもしばしばだ。暦が切り替わったからといって、気持ちだけ先走って秋の釣りのみで勝負するのはリスクが高い。夏の釣り、秋の釣りのどちらにも対応することで、それだけバイトを拾いやすくなる。
たとえば、ワカサギが残っているときは、夏シーズンに活躍したi字系やミドストに好反応を示すことはよくあるのだ。礒村さんいわく、「秋に重要なのは、このルアーが効くと決めつけるのではなく、目の前の魚が何に反応するかをしっかり見極めること」が大切だという。
磯村「また、9月用のルアーを挙げますが、一部を除き、秋の琵琶湖において9月と10月にそれほど明確なルアーの使い分けはありません。9月用に紹介したルアーが10月に活躍する場面はたくさんあります。魚の反応を見ながらいろいろ試してください」。
シーズナル必釣ルアー【ボート編】
ノーシンカージャーク
魚を探しながら食わせられる
磯村「シーズンを通して活躍するリグ。秋は魚が散る傾向があるため、バスを探しながらノーシンカージャークで広範囲をチェックする。初夏から夏の終わりにかけては、サカマタシャッド6inも使いましたが、秋以降はベイトがバスのフライ(稚魚)中心になるため、ワンサイズ小さなドライブスティック4.5inのみでも対応できる。操作法は夏と同じドラッギング。リグを沈めるため、ラインをしっかり出すのがコツ(船が遅めなら竿4~5本分、速めなら6~7本分)。3回ジャーク+ポーズで食わせます」
磯村「カラーはブルーバックシナモンがお気に入り。水温が落ちる9~10月は、釣り場の水が濁りやすいので、濃いめの色でシルエットを強調したい。また、季節が進むとバスのフライが日焼けして、体色が黒っぽくなる。そんなときにもベイトの色にマッチさせられます」
磯村「ドラッギングの釣りは、魚との距離が離れがち。そんなときでも、ナローギャップのフックはワームを潰しながらフッキングに持ち込めるため、より小さい力でハリ先を露出できます」
磯村「リグの先端に、ダブルクレンスイベル#10+スプリットリング#2をセット」
磯村「糸ヨレ防止になるだけでなく、前傾姿勢で沈むので沈降速度が上がる。さらにジャーク時にダート幅が狭くなるため、ストライクゾーンから外れず連続アクションさせられるという利点がある。必ず付けましょう」
i字系+ミドスト
夏の釣りを引きずるときはコレ
磯村「季節はいきなり切り替わるのではありません。9月に入ってからも、夏の釣りを引きずることはよくある。特に9月前半は、夏の延長でワカサギパターンが有効になったりする。具体的にはワカサギが水面に浮いていたり、朝夕などにボイルが起きているならi字系。中層で捕食しているようならミドストが有効。琵琶湖南湖の場合、浚渫を攻めるときは水深8m前後まで探ります」
こちらは全長65mm、自重3gのスリム系。テールにフライフィッシングにも使われるティンセルを使用。余計な揺らぎを抑制するほか、ニュートラル状態のバスにも口を使わせる力がある。
全長65mm、自重4.2g(フローティング)のi字系。腹部にスタビライザーを装備し、直進性とボディの安定性を高めてある。バスが水面のワカサギを捕食している状況で効き目バツグンだ。
「ジグヘッドは1.3gが中心。通常は重くても1.8gまで。ただし攻める水深によってはもっと軽い/重いものが必要になる場面はあるので、一応0.9~2.6gまで用意しておきたい」。
スピナーベイト
スローロールで食わせる
磯村「ウィードが立っているところでクランクベイトを引くと根がかりが多発する。そんな場所は、スピナーベイトで探るのがおすすめ。操作法は簡単で、ブレードが回るギリギリの速度でゆっくり巻くだけ。ウエイトは、速めに引きたいなら重めを、遅めに引きたいなら軽めを選びましょう」
磯村「通常はノーマルのままで使います。水に絡ませたいときは、シャッドテールワームを付けるのもあり。メインフックではなく、トレーラーフックに中通しすると水により絡みやすくなります」
ディープクランク
ハードルアーは濁ったときに強い
磯村「水が濁ったときに有効なのが、強波動のディープクランクです。先に紹介した高比重スティックベイトのノーシンカージャークに反応がないときに、ディープクランクを投げると途端に食ったりします。ワームのナチュラルなアクションがいいのか、ハードルアーのように水を掻き回す動きがいいのか。魚の反応を見ながらいろいろ試しましょう。使用法は、7~8月編でも紹介したウィードに当てる釣り。ただ巻きで潜らせて、ウィードに当たったら根がかりをほぐして食わせます」。
余計な肉をそぎ落とし、水の抵抗をギリギリまで軽減したリップが特徴。引き抵抗が軽いのに、ルアーのアクションが手元にしっかり伝わる仕様だ。揺らぐウィードに当たる感覚も明確にわかる。
赤松拓磨のオカッパリ道場~9月にショアで釣るならこのルアー~
ここではラグゼ・ルアーデザイナーにしてオカッパリの名手である赤松拓磨さんに、ショアから釣果を出す方法を教えてもらおう!!
ノーシンカー
エビが湧いたらコイツの出番
赤松「まだ暑さの残る9月前半は、前回8月編でも紹介したバイブレーション(アベンジバイブ58)が有効だったりする。これが後半になり朝夕が涼しくなると、魚が次第に表層を意識しはじめる。僕が通っているため池では、ちょうどエビが湧きはじめる時期で、『表層+小さな甲殻類』をイメージさせる釣りが有効になります。おすすめは、ほぼザリ3inノーシンカー。エビが湧いているのを見つけたら表層トゥイッチで誘いたい。虫も模せるので、オーバーハングを狙うのもあり」。
赤松「小さなザリガニをリアルに模したワーム。オフセットフックとワームストッパー付きでそのまま使えます。ワーム単体で5gちょい。スピニング、もしくはベイトフィネスがおすすめです。
赤松「表層トゥイッチで誘うのが基本です。ツメや手足を震わせ、まるで甲殻類や虫が暴れているような動きが出るほか、小さくダートしたりもする。ネイルシンカー0.5gを、テールの切り込みあたりに刺すとスローシンキングになるので、沈ませながらのトゥイッチで誘ってもOKです」
『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報
ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!