お魚たちの食事タイム? 「とある時間」にメジナの群れが活発に 水中写真で見るサカナの生態:メジナ(グレ)編



海の中はどうなっていて、どんな魚がいるのだろうか。魚たちが暮らす場での、そのリアルな生活を垣間見たい。そんな思いで水中に潜り、撮りためた写真を集大成しました。メジナは磯釣りで人気のターゲット。口太グレと呼ばれる数が多くて身近な「メジナ」の他に、よりパワフルな尾長グレと呼ばれる「クロメジナ」、それに南方系の「オキナメジナ」が存在します。潮が流れ出すタイミングで活発に動くメジナを「浮きメジナ(グレ)」と呼び、時には水面を埋め尽くすほどになることもあるとか。

(※本原稿は『水中釣魚ワールド』からの抜粋です。)

水中写真で見るサカナの生態:メジナ編

【Target Profile】

メジナ(グレ)

日本には3種類のメジナがいる。尾長グレと呼ばれるクロメジナ、口太グレと呼ばれるメジナ、もう1つがオキナメジナ。メジナは北海道以南から九州、クロメジナ、オキナメジナは本州中部以南に分布。写真はクロメジナ。

潮が動くと始まるメジナ・パラダイス!

メジナは磯に潜るとよく目にする魚のひとつ。潮が緩いときに彼らと出会うと所在なげに泳いでいたりすることが多い。また、何尾かが集まっているのだけれど、それぞれバラバラに動いてまとまりがない感じだ。

ところが、潮が動きだすと、メジナたちの動きが急にきびきびしてくるから不思議だ。群れにまとまりというか一体感がでてくる。

メジナ(口太グレ)が水面下でオキアミを捕食し、急反転。

とある磯に潜ったときのことだ。水深は15mくらいで、海底には10m四方ほどの大きな根が横たわっていた。そっと岩の割れ目の中をのぞくと、そこには、びっしりと30〜40cmのメジナが入っていた。

潮が緩んで流れないな…というときは岩の割れ目などに隠れている。。

それらを撮影していったん浮上。2時間ほどの休憩をはさんで、再び同じポイントに潜った。今度は潮がかなり速く流れている。やがて海底の根に到着すると状況が一変していた。

 宇治群島の海中シーン。メジナの大きな群れが海面下から水深15mくらいまで群れていた。

根の周りにメジナの大群が遊びまわるという、狙う釣り人から見ればパラダイスのような光景が眼前に広がっていたのだ。メジナたちが活気づいて岩の割れから出てきた原因が、潮の流れなのは明らかだ。

まさに潮の流れはカンフル剤だ。写真は元気いっぱいで回遊するメジナの群れ。

その後、同様な体験をすることがたびたびあり「潮はメジナに元気を与える活性剤」だといっそう強く認識するようになったのだ。



潮次第でメジナの動きが活発化する

高知県のある磯では、まとまりのないメジナの群れが、潮が速く流れだしたのをきっかけに、整然とした集団へ豹変。オキアミを携えていたのでちょっとした実験をすることができた。

潮が止まっているときと、流れているとき、どっちがよく食うか。潮が流れているときの方が断然オキアミを食う回数が多い。また、潮が流れているときには、メジナの警戒心が薄くなり、オキアミへのアタックも大胆だ。さらに、人が近づいても逃げない。

潮が流れだすと、割れ目に隠れていたグレたちが活発化。

潮が流れていないとき、警戒心の強いメジナたちに接近するのは案外むずかしいものだが、潮の流れはメジナの警戒心を取り除く役目も果たすのである。

これらのことからメジナ釣りにおいて、“流れがある”ということがいかに重要なのかが分かるだろう。

クロメジナ(尾長グレ)は普通のメジナ(口太グレ)よりもスピードとパワーが上回る。海中で見ていても動きが違う。
岩陰などをすみかにするオキナメジナ。数は少ないが、奄美諸島などではよく見かけるメジナだ。

(※本原稿は『水中釣魚ワールド』からの抜粋です。)

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