バス釣りにおける秋は「巻きモノ」の秋とよく言われるが、その一角を占めているのが「チャターベイト」というジャンルのルアー。赤羽修弥さんによるSTEEZルアー解説の2回目は名が体を表す名作「STEEZカバーチャター」について。その開発経緯から使い方までを訊いたら、前回のSTEEZシャッドとのセット縛りで、次回は若手アングラーによる実釣ライブ配信が行われる。誰がどんなお題に挑むのか、そして罰ゲームは…最後まで要チェック。
【Profile】
赤羽修弥(あかばね・しゅうや)
霞ヶ浦を拠点とするWBSトーナメントでおよそ30年に渡り最前線で活躍中。オールスタークラシックでは前人未到の3連覇(08・09・10年)を果たした唯一のツワモノ、人呼んで“霞ヶ浦の鬼”。釣りアンティーク蒐集家としても知られている。東京都出身。
赤羽さんによる「STEEZシャッド」の解説はこちら
STEEZカバーチャターは独自のカバー回避性能!
チャター系ジグを使う「意味」を追求
赤羽修弥さんが手掛けたブレーデッドスイムジグ、通称チャター系というカテゴリーの秀作「STEEZカバーチャター」が登場したのは2016年春のことだった。
チャターと言えば、国内では幾度も一過性のブームが訪れたもののなぜか定着しなかったカテゴリー。特に東日本においてはそのフィールド事情のためか、『他で事足りる』と考えられてきたのも事実だった。
赤羽「カバーで使えるか否か。そこが重要。霞ヶ浦水系って、岸際のカバー周りはもちろん、ボトムに沈んだ様々なストラクチャーを狙うことがほとんど。当然、それらをタイトに狙っていくことがキーとなる」
ブレイクにクイ、ハードボトムの沈船、レイダウンにブッシュ、アシ際…。チャターで攻めるべきポイントを数え上げたらキリがない。
赤羽「左右に揺れながら進むブレードがガード代わりになるけど、障害物を抜けた後が問題。ヘッドが当たりながらすり抜ける際に横倒れして、フックが障害物を拾ってしまう…」
障害物に擦り付けるようにトレースして、バイトチャンスを確実にモノにしたい。タフになるほどタイトな攻略が効果的であることは命題だ。
赤羽「カバーの奥の奥は、それまでワームやジグでしか攻めることができなかったゾーン。コレならスキップさせて奥に入れ込み、横の動きで見せることができる」
STEEZ カバーチャター (DAIWA)
赤羽さんが完成させたSTEEZカバーチャターには、カバーを舐めるようにすり抜けるヘッド形状、そしてハリ先を最大限に守るブラシガードを搭載。
赤羽「巻きの釣りで最も大切なのはリズム。無用なスタックを避け、ストレスなく巻き続けることができれば、チャンスは増える」
前回解説の「STEEZシャッドにも言えること」と言うのが、巻きの核心。東日本でチャター系復権を導いた旗手のひとつとなったことは言うまでもない。
【赤羽修弥・STEEZカバーチャター使用タックル】
●ロッド:リベリオン661MHFB-G
●リール:ZILLION SVTW1000
●ライン:STEEZフロロtype-モンスター14〜16lb
赤羽「追い食いも少なくないし、食って反転した時の竿の入りを期待してロッドはグラスコンポジット。カーボンを使うなら、バイトがあったら一瞬曲がったのを確認してからフッキングがベター」
カバーチャターは3/8 or 1/2ozが基準ウェイト
2016年のデビュー時は3/8ozと1/2ozといったオーソドックスなウェイトラインナップ。赤羽さん自身がホームの霞ヶ浦水系を攻略するために求めた自重だった。
赤羽「たとえ琵琶湖など大型の個体がいるフィールドでもこれ以上のウェイトはあまり必要がない。結果的に全国のメジャーフィールドで出番のあるチャター系になった」
比較的シャローレンジのカバー周りでの使用が軸となるチャター系の習性上、過剰なウェイトはスタックを招きかねない。むしろ、軽いウェイトが求められていったのは、日本という特殊なフィールド事情が背景にある。
赤羽「霞ヶ浦水系の佐々木勝也はもっと軽いのが欲しいと。ボートよりさらに浅いエリアやレンジを攻め込める岸釣りでは、軽いウェイトが武器になる」
1/4oz、3/16oz、1/8ozと軽量モデルが追加され、現在では全5ウェイトを揃える。
赤羽「水面に近いレンジは軽く、深いなら重く。これがセレクトの基本。また同じレンジを速く巻きたいなら重く、ゆっくりなら軽く。その場その場で臨機応変に」
レンジとスピードの合わせ技。リップのないワイヤーベイトは絶妙なさじ加減が必要となる。
赤羽「何より、STEEZカバーチャターの強みは障害物回避能力の高さ。まずは他のチャター系では引けない場所を攻め込む。プアカバーならどんなルアーでも引けるので、それはカバーを攻めた後でも遅くない」
臆せず撃て、そして巻け。他では獲ることのできない魚がそこに必ずいる。
スキッピングでカバー奥へ送り込むトレーラー選択
一部例外もあるが、チャター系はラバージグと同様にトレーラーとしてのワームをセットすることで機能する。本体のみではスキッピングしづらく、カバー奥へ送り込む一助を担うのがトレーラーという存在でもある。
赤羽さんのトレーラー選択の基準を改めて問う。
赤羽「スキッピングしやすいことはもちろん大切だね。ある程度のボリュームがあると水面と接触する面が大きくなるし、水が多少濁った場所でもアピール力が高い」
高比重素材なら飛距離アップや深めのレンジ攻略に貢献。一方の低比重なら浮かせ気味で切れ味の鋭いテールアクションも期待できる。
赤羽「スプリットテールにフィッシュテール、ピンテールにシャッドテール、時にはクロー系も使う。どんな時にどれがいいかは一概には言えない。答えはバスに訊いてみないと」
小魚がいなくてもベイトフィッシュ形状、エビがいなくてもクロー系。そんな時も少なくないのだという。
赤羽「答えはすべてフィールドが教えてくれる」
一貫した現場主義がそこにある。STEEZカバーチャターの安定した実釣性能を軸に、思い思いのセッティングで試してみたい。
実釣ライブ配信は期待の琵琶湖ガイド!
STEEZシャッドとSTEEZカバーチャター。赤羽さんによる解説を終えたところで、いよいよこのSTEEZルアー達を手に現場で実釣ライブ配信を行うDAIWA若手アングラーの発表だ!
その名は、島後英幸さん!
【Profile】
島後英幸(しまご・ひでゆき)
琵琶湖プロガイドとして活躍の傍ら、霞ヶ浦を舞台とするWBSに参戦中。西と東、国内のバス重要拠点を知り尽くし、日本を所狭しと活動する期待の若手だ。1986年生まれ(35歳)、愛知県出身。
島後「頑張ります! 秋は巻きのシーズンなので、僕の持ち味を存分に活かせる季節です!」
スケジュール調整の関係で実釣ライブ配信日の1ヶ月前に日程を打診した際、島後さんからやる気十分なコメントをいただいた。
今から発表される赤羽さんからのお題は当記事が配信した時点で、島後さんは知ることになる。はたして…。
赤羽「シマゴン(*島後さんの愛称)はシャッドもチャターも使いこなしてるし、おそらく西日本で一番使ってるアングラーだと思うので、簡単にパターンにハメてくると思う。楽しみだね」
気になるお題は?
赤羽「ロクマル! …て言いたいところだけど、この企画はこれまで3回で誰も達成者がいないんでしょ? ちょっと優しめにして『ゴンパチ』(=58cm)でどうかな」
4人目にして達成はなるのか。仮に達成できなかった場合の罰ゲームは?
赤羽「んー、そこは当日まで考えさせてもらっていいかな。長命寺の階段(808段!)を往復ってのも考えたけど、ちょっとキツすぎるし(笑)」
普段は温和なことで知られる赤羽さんだが、罰ゲームはまさに“霞ヶ浦の鬼”となりそうな予感…。9月27@琵琶湖、島後さんの活躍にぜひ応援を!