ハイドアップが輩出する人気バスロッド・MACCA(読み:マッカ)の魅力を紐解く当企画。第3回目からは、同社プロアングラーが開発を担当する『レッドシグネイチャー』、通称『赤マッカ』にフィーチャー。まずは武田栄喜さんが『HUMRS-63MLST/RS』の優れたポテンシャルを解説。
【Profile】
武田栄喜(たけだ・はるき)
琵琶湖をホームとするプロガイドとして活躍の傍ら、国内最高峰トーナメント・JBトップ50に参戦。今季は開幕戦・遠賀川で初優勝を飾るや、弊社主宰の琵琶湖艇王では準優勝など、常勝気流に突入!
赤マッカシグネイチャー・武田モデル 「ソリッドティップが絶対」である理由
武田「僕の釣りに“ソリッドティップ”は欠かせない」
こう語るのは、武田栄喜さん。国内最高峰トップ50コンペティターにして、琵琶湖の人気プロガイドとしても知られる存在だ。
ハイドアップ・MACCAのプロコンセプトモデル『レッドシグネイチャー』では、これまでにベイト『HUMRC-65MHST/RS』と今回紹介するスピニング『HUMRS-63MLST/RS』の2モデルを開発してきた。
番手末尾の『RS』とはレッドシグネイチャーの略字で、スラッシュ(/)を挟んだ前に見える『ST』の文字がソリッドティップを意味。両モデルに共通していることがわかるだろう。
なぜ武田さんはソリッドを求めたのか。そこが気になる。
武田「僕の場合、攻める前に食わせる場所は頭の中で決まっている」
『魚探の武田』の異名をとる、国内屈指の魚探使い。ハイテクエレクトロニクスの数々を駆使して、自身の濃密な経験値との融合で魚の居場所を特定する。
武田「ルアーが“そこ”に入った時、何かに引っ掛けて止めたり、ゆっくりと外したりのハングオフは不可欠なテクニック。目をつぶっていても、手先の感覚でそれが水中の何であるのかが明確にわかり、思い通りに操作できることが大切なんです」
中空のチューブラーとは異なり、芯が詰まっているのがソリッド構造。反発力を抑えたティップは、狙ったストラクチャーを舐めるようなトレースを可能にする。そして、「硬め」という高弾性のソリッド素材が手元へと伝える感度を高めるのだ。
武田「魚探だけでは判断できないリアルなヒントをロッドから得ることができる。そこが僕にとって最も重要なことなんです」
デジタルのデータを、アナログで完成度を高める。それが、武田さんの『赤マッカ・シグネイチャー』なのだ。
最高峰の現場からフィードバック! 陸&艇で全国対応の結実ロッド
武田「僕のプロガイドの現場である琵琶湖で釣りをする上では、オリジナルの『青マッカ』だけでも存分に釣りになります」
研ぎ澄まされた8本の聖剣があらゆるコンディションに順応する。ところが、ひとたびホームを離れ、日本全国をツアートレイルとなればロッドに求められる性能はさらに突き詰められていくものだ。
武田「50人の精鋭が3日間を叩き続ける現場では、“その先”を読んだ展開が常に求められていくものです」
誘いに関しては、前段で語ったソリッドティップがルアーのウェイトをしっかりと感じて繊細な操作性を可能に。また優れた感度によってバイトを即座に把握できる。さらには視認性を高めるホワイトティップに仕上げたことで、手感度のみならず、眼感度も大幅に向上。手と眼のダブルでバイトの察知が可能な仕組みだ。
次なる課題は、誘いの後。どう掛けて、どう獲るのかだ。
武田「ベリー〜バットは『ML』パワーに設定。食わせただけでは意味がない。フッキングでは魚の上顎を貫き、ファイトでは主導権を与えない」
カバーに対するアプローチを視野に入れたロッド設計は、大型の個体を難なく引き剥がすパワーを持ち合わせた。
武田「40や50はもちろん、ロクマルにも負けない圧倒的なパワー! 結果的に、琵琶湖のPEフィネスでも活躍するモデルに仕上がりましたね」
日本を一周回ってホームに戻る。全国フィールド対応ロッドへと帰結した武田モデル『HUMRS-63MLT/RS』。
ボートのみならず、陸っぱりでも無論、威力を発揮してくれることは言うまでもないだろう。
ロングレングス化に警鐘!? ショートロッドの優位性
今回、武田さんが解説してくれたスピニングモデル『HUMRS-63MLST/RS』はその数字が示す通り、6ft3in。もうひとつの赤マッカ・シグネイチャー/武田モデルであるベイト『HUMRC-65MHST/RS』は6ft5in。
現代バスロッドの主流とされるレングスに比べ、いずれも若干ショートであることがわかるだろう。
武田「自分が求めたテーパー、パワーにアクション、そして長さ。自らの腕の延長として使いこなせることも非常に大切です」
STモデルはチューブラーに比べて自重を稼ぐ先端を持つため、手にした時のトータルバランスを考慮した設計も必要となる。
武田「チューブラーだったら長くても軽く仕上げることができる。しかし、ソリッドの特性を生かしながら軽快な操作性も向上するには、一般的なロッドと比べやや短めがベスト」
バスロッドは長さだけが第一義ではない。ロングレングス化が一人歩きする現代バスロッド界に警鐘を鳴らす形だ。
武田さんは「ひとことで言えば、僕のワガママロッド」と語るが、目線を変えればこう言い換えることもできそうだ。
「全国のフィールドで、どんなフィールドコンディションでも対応できるロッド」。
本当のバスロッドがそこにある。
各種ライトリグ全般に対応! カバーの釣りで圧倒的威力!
武田さんがこの『HUMRS-63MLST/RS』で使用するリグは以下の通り。
●スタッガースティック3.3in+ダウンショットリグ
●スタッガースティック5in+ノーシンカーリグ
●コイケシュリンプ/ミニ+ノーシンカー、ジグヘッド、ダウンショット
●旧コイケ+ジグヘッド、ダウンショット
ロッドのスペック表記を見れば、ルアーウェイトは1/16〜1/4oz。
ここではほんの一例を挙げていただいたが、総じてライトリグはほぼ全てに対応すると考えていいだろう。
最後に武田さんからサプライズな報告がひとつ。
武田「ご覧になっていただいた通り、僕の釣りにはソリッドティップは欠かせません。赤マッカシグネイチャーの次回作として、現在は『HUMRC-65MHST』のレングス&パワーアップ版をテスト中です。来年くらいには…御期待ください!」
何と、思いがけずスクープ! 今後の武田さんの動向から目が離せない!
なお、当企画次回の最終回は、永野総一朗さんが登場予定だ。
武田さんのタックルセッティング
●ロッド:マッカレッドシグネイチャーHUMRS-63MLST/RS(ハイドアップ)
●リール:ヴァンキッシュ2500S(シマノ)
●ライン:エクスレッド5lb(東レ)