正しいクランクベイトの使い方を知っていますか? 実はとっても「面倒くさい」!?



霞ヶ浦水系を舞台に活躍しているユーチューバー、馬場拓也さんにお願いしたのは巻き物の代名詞ともいうべきクランクベイトのハウツー。岸釣りでの使用を前提としているので、ここではいわゆるシャロークランクとミドルダイバーに絞って解説してもらった。

【Profile】

馬場拓也(ばば・たくや)

霞ヶ浦水系をベースにフレッシュな情報を発信している大人気YouTuber。圧倒的な現場経験値と人柄の良さがにじみ出ている動画は必見。元プロショップスタッフならではのていねいな解説に学ぶべし! チャンネル名は『BABA Tube』だ。

ババタク流クランクベイトの「実際」

クランクベイトは投げて巻くだけのオートマチックなルアー…と捉えられがちだが、考えること、そして実作業はけっして少なくない。

ババタク「たとえば僕の場合、これからの季節は水深のある“川エリア”を釣ることが多くなるんですが、そこではMRから投げていきます。でも、特に秋の始まりは魚が浮いていることがあって、水深が3mなのに1mダイバーが効くこともふつうにあるんです。

なので、場所に合わせた潜行深度のモデルを選ぶのも大事なんですが、それで反応がなかったときにレンジを刻むことも重要。細かく言えば波動の違いやスピードも変えていきたいんですが…最低、1種類のクランクでもSRとMRの両方のタイプを試すべきです」

クランクベイトの潜行深度はロッドティップで変えられる!

ババタク「潜行深度はロッドティップの位置でも変えられます。ティップを上に向ければ浅くなるし、下げれば深くなる。SRとMRの2タイプしかなくても、0.5~1.5mまで、トレースレンジを刻んで巻くことができるんです」

もちろん、巻く速度やキャストした距離によっても深度は変わる。

ババタク「最近はプレッシャーで中層を巻いたほうが食うと言われますが、個人的にはボトムやストラクチャーを叩いたほうが釣れる、と思う日が多いですね」

巻く向きが変わるだけで釣れる魚がいる!?

ババタク「基本的にはまず護岸沿いから巻いてみて、反応がなければ、斜めに角度をつけて深いレンジを探ったりしますが、重要なのはルアーの進行方向。右から左へ向かうトレースでは食わなかったのに、左から右へ巻いたら食ったというケースがけっこうあるんです。魚がどっちを向いているかが日によって違うというか…違和感がある方向というのがあると思うんです」

護岸沿いを歩きながらチェックして、復路で食うことも多いという。

ババタク「足場の限られるオカッパリで釣りこぼしたくない、絞り出したいというのもあって、ここぞというストレッチは何往復もすることがあります。効率の良いサーチベイトと謳っておきながら、クランクは、実はとっても面倒くさいルアーでもあるんですよね(笑)」

クランクベイト活躍の場とは?

ババタク「霞水系に関して言えば、ゴロタやハードボトムのフラット、リップラップ、消波ブロックなど硬いものに当てて、巻いて探っていくときに多用することが多いです」

硬いものにコンタクトさせていくのが基本ではあるが、状況によっては砂泥底でも可能性はある。ただしその場合は、ボトムに当てないトレースを心掛けたいところ。

ババタク「ただ、気温の下がるこれからの季節は水深のある“川エリア” (常陸利根川、鰐川、北利根川)に行くんですよ。水温が下がって魚が散ると、浅くて広いところは当たる確率が少なくなってしまう。なので、魚が抜けにくい“川エリア”の消波ブロックに絞って食うまで当てる、という感じです」

「チョコレート護岸」と呼ばれる、斜め護岸でキャッチした1尾。この手のストレッチでは、沖側のコンクリートの切れ目がどのあたりにあるかを意識しながら巻いていきたい。

常備しておくべきクランクベイトのカラー3系統

色でバスの反応が変わることも多々あるという。

ババタク「基本的には好みのカラーで構わないんですが、シルバーやキンクロなどの光りモノ、クリアやゴースト系、ブルーバックチャートやホットタイガーなどの膨張色といった、色調の異なる三系統を揃えておくとハマる色があるはずです」



イマドキのクランクベイト事情

バスルアーのいちジャンルとして考えたとき、この釣りの多様性の象徴ともいえるのがクランクベイトだろう。

サイズや潜行深度別に無数の選択肢が存在し、“巻きモノ代表”と言い切っても異論を唱えるアングラーはいないはず。

にもかかわらず近年、話題にのぼることが少なくなってしまったのは寂しい限り、だけど。

ババタク「たしかに、アピール力に長けた強いウォブリングを特長としている従来のクランクベイトでは、結果を出しにくくなっているし、敬遠されがちかもしれません。でも、波動やカラーなどを抑えれば、本来のサーチ力を失うことなく機能してくれます。魚が散っているタイミングとか、横方向の動きが有効なタイミングでは絶対に欠かせませんね」

霞ヶ浦をホームレイクとし、日々現場に足を運んでいる馬場拓也さんは、こう断言する。

そしてだからこそ馬場さんは岸釣りに照準を絞ったクランクベイト『ブロックリッパー』をプロデュースしたのだ。

つまりそれは、現代のフィールド状況にマッチさせたひとつの解答。

最もババタクが多用するクランク・ブロックリッパー

ババタク「自分で作ったというのもあり、けっこうコレばっかり投げてしまうんですが…(笑)。岸からのアプローチで通すレンジは0.5~1.8mで、SRとMRがあればカバーできます」

ブロックリッパー48MR(左)、ブロックリッパー48SR(右)。いずれもジャッカル。

ババタク「巻くスピードはキホン、早すぎず遅すぎずのミディアムリトリーブ。タイトなウォブンロールなので、あまり抵抗は感じずにサラサラと巻けるはずですよ。レンジだけでなく、動きの強さやモノに対するコンタクトの強さもかわるので、SRとMRの両方を試すのが理想です」

ラトルサウンドにもこだわりアリ!!

MRの内部構造。背中側の空気室に透明な球体が入っているのがわかる。

ババタク「当初はサイレントモデルにしようと思ったんですが、かなり弱い波動に仕上げたのでラトルを入れました。ただし静かめな音にしたかったので、プラスチックの球をひとつだけです」

バスのコンディション&スポットに合わせて繰り出す2モデル

強さを抑えたミノー・クランク【チャブル】

ババタク「シェイプをナチュラルに振っていながら波動はクランクベイト。表現の仕方が違うけれど、アピールを抑えている点でブロックリッパーと共通しています。なので、その日の反応しだいでローテーションしています」

チャブル(ジャッカル)

頼れる回避能力でカバー攻略【マッシュボブ】

ババタク「キレのあるハイピッチなアクション。何より、ものに当てたときに回避能力がすごいんですよ。自信をもってカバーを直撃できるので、特に春先、プリスポーンのメスが付いているだろうレイダウンとかは迷わずコレです」

マッシュボブ(ジャッカル)