水平スイムと水平フォールでシーバスを誘う! マルジン新コンセプトシンペン『QPEN118S』の釣果力



嶋田仁正さんのルアーブランド、マルジンから新たしいコンセプトのシンペンが登場します。その名もQPEN118S。こルアーの構想自体は古くからあり、数年に渡ってテストをしてたとい言います。これまでにないコンセプトで、他のシンペンを出し抜く釣果も得られるとのことで、その秘密をご本人に直接取材しました!

【Profile】

嶋田仁正(しまだ・じんせい)

豊富な経験値でランカーを量産するシーバスエキスパート。「その日その場のベストを目指す」を理念に、2018年に株式会社マルジンを設立。釣れるアクションを形にする才能を発揮し、人気ルアーをリリースしてきている。

QPENの「Q」はクイックアクションの「Q」。水平をキープしたフォール姿勢がキモ!

マルジンから新しくリリースされるQPEN118Sですが、これはどのようなコンセプトのルアーになっているんでしょうか?

嶋田「アクションはスティックベイトとシンペンの間のイメージですね。一般的なシンペンのようなS字のスラロームではなく、クイックに鋭角にスラロームしていく動きになっています。名前のQはクイックという意味。ちなみに、QPENという名前はマルジンで初めて商標登録を取りました」

QPEN118S

ボディ再度が複雑にくびれたデザインとなっているのがわかります。この形状により、QPEN独自のアクションを発生するんです。

ヘッド部分のデザインは、シーバスのベイトでもあるサヨリっぽい雰囲気がありますね。

嶋田「ヘッドの先端を伸ばしたデザインだから、そう見えるのかも。この部分は、最初はもっと長かったんですが、テスト中に破損するということがあったので、使用上問題のないこの長さに落ち着きました。下顎が伸びているからリップの役割をすると思う人もいるかもしれませんが、実はリップの役割をするのは顎の下からお腹にかけてです。シンペンは、頭をやや上げた状態で泳いで、腹部で水を受けながらアクションをするルアーです。QPENは腹部をフラットにすることで、ここで水を受けてくれる。こうすることでアクションがクイックに、滑るように動いてくれるんです」

マルジンテスターの山内さん取材時、QPENのプロトモデルで次々と釣果を出すシーンが印象的でした。

シンペンはリップがないので、ルアーのお腹部分で水を受けることでアクションが生まれる。その面積を広げるためにヘッドが尖っていて、さらにフラットになっているんですね。

嶋田「同時に、お腹が平らなのでフォールの時に抵抗が生まれて、スローフォールをします。すべてのシンペンは、水平にフォールするのは最初の数秒間だけ。水面からだいたい30cmくらいでしょうね。あとは頭下がりになったり頭上がりになっフォールする。ずっと水平に落ちるわけではないんです。水深が下がると水圧の影響で水平姿勢が保てなくなってくるんです。ただし、強い流れがある場所は別ですけどね。QPENのお腹がフラットなデザインになっているのは、少しでも長い時間水平姿勢でフォールさせるためなんですよ」

写真のように、QPENのベリー部分はフラットで水圧を受けやすい形状となっている。※写真はプロトモデルです

ベイトの動きに近い、頭上がりにならない水平スイム姿勢

ボディは縦に扁平な、フラットサイドデザインが採用されています。これには、どんな理由があるんでしょうか?

嶋田「フラット的になっていますが、微妙なくびれを持たせています。飛行艇のフロート的なデザインと言いますか。この形状のおかげで、くびれの膨らんだ内部にエアが入ることになって、お尻を振る動きが出る。S字ではなくボディを振る動きが出るんですよね。QPENは後部にかけて膨らんでいるようなデザインで、こういったルアーはあまりないと思います」

QPENを腹側から見た図です。膨らんでいる部分がよくわかりますね。

あえて浮き上がりやすくなるように設計されているんですね。よく見ると、ボディサイドが非常に複雑にくびれているのがわかります。

嶋田「明暗部でのドリフトや流れのある場所などで、より早く浮き上がらせたい。その要求にしっかりと応えられるようなボディ形状です。例えば、河川の明暗部で釣りをする場合、QPENのボディ形状により、横に水流を受けながら明暗の境界に対して並行に流し込んでいけます。また、その明暗部の表層でロッド操作を加えることで、QPENをリフト&フォールさせてシーバスのバイトを誘うような釣りも展開できます」

明暗部攻略はQPENが得意とするシチェーションの1つ。

明暗部だけでも、釣り方の幅がすごく広がりますね!

嶋田「まだありますよ。あえてリールを巻かずに、ロッドを立てて倒してを繰り返すことで、移動距離を抑えながらリフト&フォールさせるという技もできるんです。これが他のシンペンとは違う、QPENならではの使い方だと思いますよ」



QPENが釣れる4つの理由

理論だけではなく、QPENは実際によく釣れるルアーだということで嶋田さんはもちろん、マルジンが抱えるテスター陣も数々の釣果をQPENで上げてきています。では、マルジンが新たに世に送り出すQPENは、釣れるのか? 重大な3つの特徴をチェックしていきましょう。

特徴:レンジキープしやすく、浮き上がらせやすい

スリムヘッド採用でレンジキープ力が向上。速い流れの中でも浮き上がりを抑制し、アクションを保持します。また、ルアー自体がダウン角度で流れを受けると、ルアー後部の「フロート構造」で表層へ素早くルアーが浮上するような設計となっているのです。

特徴:ただ巻きでクイックアクションを発生

スティック系ルアーのようなクイックアクションを発生するQPEN。河川での使用時に、横から流れを受けるような状況でもルアーのアクションが破綻しにくくなっています。ロッドティップによる繊細な操作に対してもレスポンスも良いので、表層早引きパニックアクションも得意としています。

特徴:フラットな腹部でスローな水平シミーフォールを実現

ボディのボリュームとウエイトをセンター寄りに配置する事により、フォール姿勢は限りなく水平を実現しています。さらに、ベリー部をフラットなデザインにすることで、よりスローにシミーフォール(左右に揺れながら落ちていく)を演出可能です。フォールでの攻略が有効な状況下で、より長い時間バイトを誘うことが可能となっています。

特徴:QPENにしかできない一点でのショートピッチのリフト&フォール

QPENならではのアクションとして、移動距離を抑えたショートピッチのリフト&フォールがあります。表層付近のQPENを、ラインテンションを掛けながらロッドを倒して20cm程フォール。そのままロッドを起こしてルアーをまた表層へ。これを送り込んだ明暗で繰り返す事で、移動距離が少ない「点」の誘いが可能となります。

クロダイなど、シーバス以外にも威力を発揮するQPEN。アングラーは、長崎在住のマルジンスタッフ大石さん。

水平姿勢に近い泳ぎをし、かつ水平フォールで水面直下30cmまでをリフト&フォールしながら明暗を攻められるQPEN。普通のシンペンのシンペンでは反応しない場合のローテーションに加えれば獲れる魚も増えるはずだ。

いろいろな状況で活躍するQPEN。実はサイズ違いも準備中

では、使い方としてはどのようなシチュエーションで活躍するでしょうか?

嶋田「河川でも干潟のようなオープンエリアでも、シンキングペンシルが活躍するようなシチュエーションならどこでも使うことができます。使い方はゆっくり巻くだけでOKです。流れに合わせてスピードやレンジをコントロールして巻いてください。あとは、先ほども言った一点でのリフト&フォール。明暗部に流し込んだら、その場でゆっくりと沈めて上げてを繰り返すと、焦れたシーバスが思わず口を使ってしまうと。あとは、表層を素早く引いてパニックアクションをさせることも可能ですよ」

テストでもいろんなシチュエーションで魚が釣れていたみたいですね。

嶋田「実際よく釣れるシンペンになっていて、他のシンペンで釣れないのにこれで連発したということもたくさんありましたよ。青物がいるときには、デイゲームで青物も良く釣れたりもしてましたね」

開発には時間がかかったんでんですか?

嶋田「実はこのルアー、自分の中で構想としてはかなり古くからあったんです。いつか形にしたいなぁと思ってて、それでマルジンを立ち上げたときにいよいよやってみようと思ったんです。それで、ずっとテストしてきたんですよね。他にもやりたいものがたくさんあったんで、後回しにはなりましたが、いよいよ完成したという感じですね。サンプルを作っては、釣って壊れて、というのを繰り返していました。90%は完成したのを、去年あたりから一気に進めていった感じです」

この後の展開って、何か予定はありますか?

嶋田「QPENは他のサイズ展開も控えています。最初は一番使い勝手のいいサイズから出そうということで118mmサイズ。あと、130mmクラスも実はほぼ完成していて、これもものすごく釣れますよ。あと、95mmモデルもだいたい完成してます。こちらも準備していますので、発売を楽しみにしていてください!」

シーバス以外にもいろいろなターゲットが釣れてしまうQPEN。デイゲームでは青物も好反応!

正直、シンキングペンシルのようなシンプルなルアーに、まだ新しい機能や釣り方を定義できるなんて、思ってもみませんでした! 嶋田さんはアングラーとしての技術もトップクラスなんですが、と同時にルアーをプロデュース&開発する斬新なアイデアも豊富で、その実現力にいつも驚かされます。

操作方法はただ巻きでOK。これは、マルジンルアーに共通するコンセプトの1つ

アングラーとして優れているからと言って、新しいルアーをプロデュースできるわけではありません。この2つの能力を高次元で両立させている嶋田さんはかなり稀有な存在です。多くのメーカーとも契約していて、そのメーカーに対してもアイデア出しをしていて、それでもまだ、自身のブランドで次々と作品を展開できるって、尋常じゃないですよね。マルジンの今後に、目が離せません!

マルジンの最新情報は、嶋田さんのブログをチェック!