【ベイトリール編】オフシーズンの『チョイ足し』リールメンテ



バス釣りにオフシーズンなし! とはいえ天候のため釣行を断念することも…。そんなときこそリールメンテ! べアリング交換などの「チョイ足し」を含めて、おうち時間を活用しましょう。アドバイザーはメンテ専門店の鈴木康哲さんです。今回はベイトリール編!

【Profile】

鈴木康哲(すずき・やすのり)

リールメンテナンス専門ショップ「セルフィッシュ」代表。かつてJBトーナメントに参戦し、入賞経験も複数あるバス好きでもある。「今はフィールド近くのショップさんに、メンテコーナーを作ってもらうべくクラウドファンディングを予定しています。釣り中にリールが不調になっても、すぐに直る環境が欲しいんです」

セルフィッシュ

西武新宿線・上井草駅より徒歩6分に実店舗を持つセルフィッシュ。基本はウェブから申し込み、宅配でやりとりできるので全国から発注可能!「発売から10年経ったリールはサービス対象外なので、専門店でオーバーホールしてみましょう」

スプール周りのベアリング交換

交換の目安

鈴木「クラッチを切って、指でスプールを直接弾いて回転音をチェック。『シャーッ』という音がしたらベアリング交換ですね。価格はウチで扱うものでも600円くらい。消耗品と割り切りましょう」

ベアリングは普通2つ!

鈴木 「上のように、シャフトとサイドプレートにベアリングがついている場合と、アブのように両側のサイドプレートにベアリングが装着しているパターンもあります。ベアリングのサイズを調べて、両方交換しましょう」

サイドプレート側のベアリング交換

五角形の針金状になっているベアリング止めを外す。このときピンセットで外さないと、バネが効いて飛んでしまう。

針金か綿棒でベアリングを外す。

ベアリング交換したら、逆順で装着する。

スプール側のベアリング交換

専用工具

鈴木 「ピニオンギヤとスプールを連結するためピンが刺さっているので、それを外すための専用工具を使います」

ベアリングリムーバーなどの名称で、色々なメーカーから発売されている。

ピンを外す

鈴木 「リムーバーの説明書を見ながら、シャフトに装着されたピンを抜いていきます。リムーバーは装着時も使います」

ベアリング換装

ピンは小さいのでなくさないように注意。またメーカーやモデルによってはゴムリングなども装着しているので順番を間違えないよう組み上げる。

スプールシャフト注油

注射器で注油

細かい場所にも注油しやすいように、注射器のようなシリンジ&ノズルを使う。

鈴木 「たっぷりと、まんべんなく塗ってください」

油落とし

鈴木 「不要な油分は、ペーパーウエスに押し当てて自然と落ちるのを待ちます。ちなみにスプールを外した状態でハンドルを回すとギアが傷つくものがあるので注意」

レベルワインダー清掃

綿棒で掃除

鈴木 「根こそぎ掃除するにはバラさないといけないが、非常に難しいので、ここでは根気よく掃除するパターンを紹介します。まずはレベルワインダーのウォームシャフトを少しずつ回しながら綿棒で汚れを拭き取っていきます」

歯ブラシで掃除

ギアの溝は、歯ブラシで少しずつ掻きだして汚れを落とす。モデルや歯ブラシの大きさによっては、やりづらいので無理をせず!

グリスアップ

汚れがある程度取れたら、筆でグリスを塗っていく。塗ったら回転させ、また塗って…を繰り返す。

鈴木 「あふれたグリスはそのままでもいいです。ここにサビが出ると故障の原因になり、ハンドルの回転が重くなったりします」



クラッチ掃除

掃除

クラッチを押し下げたとき現れるフレーム部分。ここも異物が入ると故障の原因に。歯ブラシで掃除。

細かい場所は綿棒で汚れを拭き取る。

グリスアップ

グリスをしっかり塗って、異物が入りづらくしておく。

鈴木 「クラッチを切って、ゆっくりハンドルを回したとき戻りが途中で止まることがある。その場合、汚れが戻りを邪魔しているんです」

ドラグ性能チェック

指で押さえて回転

鈴木 「スピニングも含めバス用リールのドラグは、だいたいマックス4kgくらい。ドラグを強く締め込んで指でスプールを強く押さえ、ハンドルを回してもスプールがギリギリ動けばOK。ドラグの限界まで締めすぎるとネジ切れて壊れるので、ほどほどにしましょう」

ドラグが効かないようなら、修理に出そう。

ハンドルノブ交換

キャップを外す

ハンドルノブキャップは差し込んであるだけのものが多い。その場合は針金状のものやドライバーなどで傷をつけないよう外す。

100均工具はNG!

鈴木 「ノブはドライバー必須ですね。ノブのネジは硬いし、基本的に100均の工具はダメです。色んな場面で使えるので、ちゃんとしたものを用意しましょう」

ドライバーのおすすめサイズは1番(No1)だ。

ネジ回しのコツは…押し7:回転3

鈴木 「工具に親しんでいる人にとって常識かもしれませんが、ネジ外しは押す力が7、回す力が3の割合でやります。固いネジほど強く押しながら回します」

固いときは…一度締め込む!

鈴木 「ネジが外れないよう、ネジ止め剤が塗ってあることも。DAIWAさんは特にしっかり塗ってあるので、固いです。こういう場合は、逆に締め込む向きに回してあげましょう。そうすると止め剤が割れて、外れやすくなります」

パーツチェック

鈴木 「ひどい状態だと、ノブを回転するとシャーッと異音がします。またベアリングの代わりに樹脂製のカラーが入っていることがあって、それをベアリングに換装すると上位機種と同じ仕様になります。ノブのがたつきは、シムの増減で調整できます。ここもパーツの装着順と向きを間違えないように」

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!