釣れすぎて困惑したアジングワーム公開。ルアマガ×andの隠し球『ペティ』



ごめんなさい。ちょっと釣れすぎるアジングワームつくっちゃいました…。めちゃくちゃ釣れるとか、爆釣間違いなしとかその手の煽り方って、ルアマガは専門メディアということもあり、大袈裟すぎてあまり使わないんですが、えーと、煽りじゃなくて、釣れるワームできちゃいました…。ホント、やばい反応見せるんです。今回はそちらの紹介です。

極小で極大! こいつはDNAに刺激する系。開発コード『ペティ』。そして謎の釣具開発工房「and(アンド)」

開発元はandっていう、釣具開発工房。おそらくみなさま、聞いたことないと思います。ちょいと詳しくは言えませんが、中の開発スタッフは釣具開発のエキスパートです。なんでもござれなのですが、特にライトゲーム系の商品開発には定評がある素性の方々が控えている工房です。

andという釣具開発ラボ的なメーカーを立ち上げるにあたり、特にライトゲーム系のコンテンツに注力していたルアマガの商品開発チームに相談がありました。「ロッドやルアー&ワームを、一緒に開発してみませんか?」とのお話。

ご存じのようにルアマガはルアマガプラスや雑誌媒体を運営していますので、PR力が高いのが特徴。そのPR力と、ライトゲームに関する知見を生かしてみませんかというご提案でした。

andさんは、技術力は一流ですが新進気鋭のブランドということで、その存在すら一部の人しか知りません。ただ、開発者の皆さんは、業界で既に仕事をされているスタッフで固められています。確かにおもしろアイテムができるかもしれないと考えました。

and「とりあえず、めちゃくちゃ反応のよいアジングワームがひとつありまして。そちら、サンプルにお送りしますから、使ってみてください。で、よかったら、ルアマガブランドのワームとして販売してくださってもかまいません」

そんなこんなで送られてきたのが、『ペティ』という開発コードで既にテストが終わっている小さなアジングワームでした。ルアマガスタッフも、アジングジャンキーがおりますので、早速、そのワームを実戦投入。

大きさは31mmくらいなので約1.2in。豆アジ用かというくらいのサイズです。独特な形状なのはわかりますが、「これ釣れるの?」的な感じではあります。幅広系で横の動きを誘発しやすい形状です。早速ですが、取材先などで投入。

はい!? なんかアタリの出方が違うんですけど??

ご存じ、ワームやルアーの類なんて適材適所で、その時々に爆発的に釣れたからって、だいたいはタマタマだったり状況にあってただけだったりするんです。自分にとっては初回テストですし、それにぶちあたっただけだろう。と、普通なら思ってしまうのですが、時々巡り合う「あ、やばいルアーみっけたかも」という感覚を与えてくれる、魚の反応の仕方とアタリの出方なんです。

爆釣、激釣れ煽りは信じるな

昔、雑誌の連載企画で日本全国をバス釣り旅をしていたころ、O.S.Pというメーカーからドライブクローといいうザリガニ型のワームが発売されました。それを使ってみたところ、異常な釣れ方と独特なバイトの仕方で、単に新しいから、新製品だから反応がいいという理屈じゃない感覚の釣れ方をして驚いたことがあります。このワームは当時のような威力ではありませんが、今でも釣れる定番のワームとなっています。

取材中に釣具屋に入っては相方と一緒にそのワームの袋を奪い合うほど買い求めた…みたいなことがあったのですが、なんかそのときの感覚に近いのですよ…。これ、釣具屋で買い占めるやつ…。魚の本能に訴えかける系のルアー。ときどき、そんなルアーに出会うのですが、まさにそれ系なんです。



なんやよーわからんけど釣れるとか、説得性に欠けるので考察。

まず、サイズ感は1.2inですので最小クラス。ペティナイフのような形状ということもあり「ペティ」と名付けられています。いわゆる幅広薄型タイプ。テールがアッパー気味になっていてストレートとは違う動き方をします。

薄型で横の動きを意識しています。記憶では宵姫のノレソレ(がまかつ)というワームもボディが薄く広い形状をしており、縦と横の動きがフックセットの方向でチェンジできるワームです(アジング王・藤原真一郎さん監修)。

ノレソレとは形状もサイズ感、狙っている動きも違いますので別物ですが、ペティは特に横にピリピリ動く独特の形状になっています。このワーム、縦の動きを出そうとフック向きを変えると、左右非対称なのですがフォールがスローになり、また違った反応の仕方をします。

ストレート系やファッティ系は数多く発売されているのですが薄型かつ縦型のワームは、そう市場にも多くありません。動きの骨格となるテール部はストレートになっておらず、ほどよいアールを持つナイフ型になっていることから、動きにメリハリが生まれます。

フィンにR(アール)がついているので、単純に折り曲がるようにならず、セットしたフックにテールがひっかかるようなこともなく、薄いフィンの動きは存分に機能する仕掛けになっています。アジングワームは単純な形状が多く、それはそれで十二分に機能するのですが、このペティはこのサイズなのに形に妥協せず煮詰めているコダワリすら感じます。

ボートフィッシングでは1.2inなのに、40mレンジの大型のアジをかっさらってきたり、70cmクラスのオオニベがヒットしたりと、小粒でどうしてそんなに簡単にコイツを見つけるの? というぐらい反応がいいのです。繰り返し行った釣行でも、少々頭抜けた反応を見せたのが印象的でした。

プランクトンがアジの主食になりつつある状況で、プランクトンの形に似せる、サイズに似せるというマッチザベイト理論を踏襲しつつも、視覚的アピールの重要性を意識し動く形状で魚に気づかせている造形であることは間違いありません。そしてもうひとつ、ルアマガチームはルアーに求めているものがあります。

『違和感のない違和感』。多量に漂うプランクトンの中に、ワームをドリフトさせて、なぜ偽物なのにアジが口を使ってくれるのか。それは、ルアーに違和感があるからです。

イワシの群れを水族館で見たことがある方も多いかと思います。時々、群れの塊から漏れて飛び出した1尾や、病気なのか傷を追ってるのかその群れの中でも変な動きやスピードのイワシがいたりしますが、フィッシュイーターはそういった魚を優先して捕食する傾向があります。

アジングの主軸になっているプランクトンにも当てはめると、ルアーは違和感を持ったフォール、色、形をしているからアジたちに注目されるとも考えることができます。その違和感は、自然であるべきで突飛すぎると『ただの異物』と処理されますが(活性の高い状態だと気にせず食ってくることも多々ありますが)、実際に捕食されているプランクトンやベイトフィッシュから大きく逸脱しない範囲の違和感を表現することで、アピール力が上がり、注目され、逆によく捕食される良いルアーになると考えています。

今回紹介したペティはもちろん、後ほど紹介するワームは、絶妙の『ぽさ』とアピール力を融合させたデザインになっています。そこが、こだわりでもあります。

1種類では、訴求力にかけるのでandさんの知見とルアマガの知見を融合してさらに2つのワームを開発

このプレゼンされたペティの完成度を考えるとやはり販売したいところ。でもさすがに、ワームなどの販売実績のないルアマガです。andさんの開発力の背景はまだ明かせませんとなると、いくら釣れると力説したところで訴求力に欠けます。となると、あと2種類は同時に発売できて釣れる機能性のあるアジングワームを用意したいというところで、完成したペティの他に開発が進行しているワームがあります。

残り2つのワームに関してもちょっとコダワリがありまくりの、なかなか素敵なワームに仕上がりつつありますので、近いうちに解説させていただこうと思っています。大きなうねるような動きでアピールするトライスリーと、横のアピールを意識したサヤエンドウ。

ペティと同等もしくは以上の力を持たせることに成功したなら、販売しようと考えております。こちらもいくつかのサンプルを経てたどり着いた形状ではありますが、またの機会のその機能と特徴について解説しつつおひろめできればと考えています。

と、なんだかんだで発売にはいくつもの難関があるわけですが、最近はストーリーもちゃんとお伝えするのがいいだろうということで、ご紹介させていただきました。

左が今回紹介したペティ。その右2本が、横の動きを意識したサヤエンドウ。右の2本が細くて長く、ちぎっても使えるトライスリー。ただいま絶賛開発中の3種類です。