アジングシーンを牽引するサーティフォー・家邊克己さんは過去に50cmを超えるアジを陸っぱりからしとめたこともあり、でかアジ攻略に対しても確固たるノウハウがあるアングラーだ。その家邊さんが掲げる「2つ」のでかアジ攻略のための近道を伝授してもらおう。今回は「マヅメ狙い」の重要性を解説していただきます!
【Profile】
家邊克己(やべ・かつみ)
アジングメーカー「34(サーティフォー)」代表兼製品開発責任者。現在主流となりつつあるアジングのプランクトンパターンをいち早く提唱し、釣り方を広めるパイオニア。徹底的な現場主義による独自の理論から生み出された釣り方とタックル&ルアーは入門者からエキスパートまで幅広い層に厚い支持を得ている。
壱岐島のでかアジ攻略は全国で通用する!?
でかアジを狙うために外せないマヅメという
ルアーマガジンソルト2月の取材時に訪れたのは、長崎県壱岐島。アジの聖地としても知られる離島だ。近年は近海のアジ乱獲などで個体数は減ったもののの、いまだに聖地として大型のアジが釣れるフィールドとして知られる。
家邊さんはこの島がアジ釣りの聖地として知られる以前から、各ポイントを自らの足で開拓し、尺はもちろん、40cmを超えるようなアジを数多く仕留めてきた。そして、この島のでかアジ攻略のノウハウは、そのまま全国でもある程度フィードバックできることから、ロケ地として選んだ経緯がある。
家邊「大型のアジは、とりあえず2点を意識して狙ってみることをお勧めします。1つは『マヅメ時を狙うこと』。もうひとつは『群れでいるアジの狙うレンジを変えること』です。
特にマヅメの釣りは、1度、大型のアジが釣れる場所を見つければ、高い確度で再現性のあるポイントになるので、以後、大型を狙いやすくなりますよ。2つ目の狙うレンジを変えていくというノウハウは、狙っているポイントの最大サイズを狙うセオリー的ノウハウになります。今回のロケは風が酷いですね(笑)。ポイントで狙っていくマヅメの釣り場はだいぶ絞られてしまうのですが、とりあえずやれるところまでやってみましょう!」
壱岐島は風が吹いても風裏が必ずあるフィールドだが、ロケ時は低気圧の通過に伴い渡航する船が一部欠航するような悪条件。
1つめのでかアジ攻略の要点「マヅメを狙う」は、実はポイントのポテンシャルによるところが大きい。一抹の不安を覚えるスタートだが壱岐島のポテンシャルと、家邊さんの長年培ってきたノウハウに期待しましょう!
でかアジの狩場を探しマヅメをモノにする!!
家邊「でかいアジを狙いたいなら、マヅメに港などのポイントに入ってくるアジを狙ってみてください。朝マヅメ、夕マヅメともチャンスはあります。基本的に、プランクトンを主食としているアジですが、マヅメ時には小魚を岸際に追い込んでくる習性があります。そういったときはリアクションの釣りが強くなるのですが、ベイトを狙いに入ってくるアジはサイズが大きいものが多いので、必然的に釣りをしている水域のMAXサイズを狙いやすくなりますよ」
――どういった条件の場所がいいのでしょうか?
家邊「具体的にどんな条件が重なっていると、大型のアジのマヅメ時の回遊に遭遇するかについては、後ほど説明しますが、時間帯については割とどこでも共通です。
夕マヅメは、日没前1時間前後くらいからそういったサイズの魚がベイトフィッシュを求めてポイントに入ってきます。そこから日没後1時間前後でしょうか。時合の長さはズバリ、アジの量によりますので、10分程度の一瞬で終わることもありますし、1時間以上だらだらと続くこともあります。
なので、基本は、日没前にはポイントに入ってルアーを投げ続けることですね。その時合のタイミングで、ルアーがポイントに入っていないと空振りに終わります」
――いわゆるイブニングの試合、夕マヅメの釣りは多くのアングラーが楽しみにしている時間帯ではあると思うのですが、朝マヅメというのもあるんですね。
夕マヅメ【日没前(1時間前)~日没後(1時間後)】
日没前にしっかりとポイントに入り、魚がベイトフィッシュを追い込んでポイントに入ってきたタイミングを見逃さないために、ルアーを投げ続けるということが大事。時合は短い場合も多いので見逃さないこと。
朝マヅメ【夜明け前(2時間前)~日没後(1時間後)】
朝マヅメは、日の出と同時にフィーディングタイムが終わることが多いとは家邊さんのお話。日の出2時間前くらいから釣れることがあるため、早めにポイントには入っておきたい。
家邊「アジの場合は、夜明け前のは2時間くらい前から良いサイズがバタバタと釣れることがあります。あと、なぜか、朝マヅメは明るくなると終了です。どこもその傾向が強いですね」
――ちょっと、朝は起きるのは大変ですが、狙う時合いとしては、かなり有望なんですね。出勤前にひと釣りなんて狙い方もいいかもしれませんね。朝マヅメもやはりベイトを意識した釣りになるのでしょうか?
家邊「はい、マヅメ時は基本、ベイトフィッシュを意識したリアクションを意識した釣りになります。ですので、常夜灯が絡むポイントである必要はありません。アジはエサのいるところに集まったり回遊するだけなので」
――ドリフトやフォールを意識した釣りはあまりないんでしょうか?
家邊「そんなこともありません。潮の流れやベイトの種類によって、動かさない釣りである場合もあります。ただ、メインは動きのある小魚系がメインになるので、常夜灯絡みで楽しむプランクトンの釣りのようにフォールで動かさない現代アジングからはやや趣が変わる傾向が強いですね。使うルアーとしては、今はパフネークのようなワームをパイロットとして使うことが多いですね」
家邊さんの言う、でかアジを狙う上で外せないマヅメの時間帯については理解できました。では、次はどんな条件が揃ったポイントに、家邊さんが言うようなベイトを追いかけて入ってくるアジがいるのかを詳しく聞いていこう。
家邊「壱岐島にも、でかいアジが回遊でマヅメの時間帯に入ってくるポイントは限られていて、比較的共通項があります。そこがわかれば、他の海域でも応用は効くと思いますよ!」
水通し、浅場、シモリ。マヅメの狩場を見つけ出せ
マヅメの回遊が見込める地形要因を見極めよう
簡単に、マヅメのチャンスを掴みましょう。と言われてもどのポイントに入るべきなのかと問われると戸惑う人も多いだろう。もっと具体的にどんなポイントをマヅメのでかアジが入りやすいと考えることができるだろうか。
家邊「まず、これはアジに限らないとは思いますが潮などが入りやすく水通しのいい場所を見つけることです。防波堤や港などはアジを狙うのに1級のポイントなのですが、外洋からの潮が入りやすい場所であるかどうかというのは大事です。また、ベイトフィッシュを追い込みやすい地形変化、例えばブレイクがルアーのキャストできる範囲にあったり、わかりやすい浅場があれば良いですね。キャスト範囲内に『シモリ』などが存在しているとそういったベイトフィッシュを追い込みやすくなるので、回遊型の大きなアジが入ってきやすいポイントになります」
家邊「先にも説明しましたが、常夜灯などがそこにある必要はありません。常夜灯などにはそこに集まるプランクトンを追ってベイトとなり得る小魚や、プランクトンを捕食することを目的としたアジが常態的に居ることはあるのですが、今回のテーマのように、狙っている水域の大型のアジを狙い打つという場合には、そういった光源に集まる魚よりも、地形に目を配った方が良いと思います」
対ベイトを意識した場合に使用するワーム
パフスネーク
パフネークなどは、視覚効果なども高く、トゥイッチなどでベイトフィッシュ的な動きを演出しやすいワームなので、マヅメのでかアジ狙いにはパイロット的に使うことができる。
キメラベイト2トーンカラー
存在力の高いキメラベイトもお勧めのワームのひとつ。最近、上下の2トーンカラーのキメラベイトも発売され、ワーム自体の色の変化もアピール力向上に繋がっていて使いやすい。
尺アジ、ギガアジ、それどころかテラアジすら狙えるという壱岐島でもそういった要素を抱えている陸地からのポイントはそう多くない。暴風吹き荒れるロケで、なかなか本命のポイントに入れなかったものの、風の治まった最終日の朝マヅメにその、でかアジメソッドを証明するに足りる尺アジを釣り上げた家邊さん。流石です…。
『ルアーマガジン・ソルト』2023年5月号 発売情報
『ルアーマガジン・ソルト 2023年5月号』
今号の特集企画は盛りだくさん!「春イカ」「アジング」「ロックフィッシュ&ロックショア」「シーバス」の4つのテーマを徹底詳細!
このほか、小沼正弥さんの代名詞でもあるレバーブレーキ理論をまとめた企画や、村田基さんが登場する「インショア」企画、さらに春は旅の季節ということで特別企画「極上の釣り旅」も紹介してきます。
『ルアーマガジン・ソルト2023年3月号』は全国の釣具店・書店・Web通販サイトでお求めいただけます。
- 発売日:2023年3月21日
- 定価:1,500円(税込)
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