バス釣り職業見学させてください!【イマカツ チーフデザイナー 長井健太】



バス釣り業界の筆頭職業といえばプロアングラーかもしれないが、忘れてはいけないのがルアーを作る人。それではメーカーに務める人は一体どのような業務を行っているのか? 長年ルアー制作に携わるイマカツの長井健太さんにお話を聞いてみた。

「トライ&エラーを経てルアーが完成していくのがオモシロイ!」

【Profile】

長井健太(ながい・けんた)

1971年生まれ。父の影響で初めて以来、どっぷりと釣りにのめり込む。小学生時代からエアブラシを使いこなしハンドメイドルアーを制作していた。デザイン学校を卒業後、スポーツザウルスに入社し、業界入りを果たす。

アベンタクローラー

トーナメンターにも愛用者の多いビッグクローラーベイト。その独自の形状は、スムーズなひっくり返りからの復元と、車の「アベンタ」の曲線美が融合して生まれたという。ちなみにイマカツ製プラグのデザインはすべて長井さんが行っている。

Q.この仕事についた経緯は?

A.「ハンドメイドルアーの実演を目の当たりにしたのがキッカケです」

小学生の頃、フィッシングショーの会場でHMKLの泉和摩さんがルアー制作の実演をしているのを見て衝撃を受けました。もともとモノづくりも好きだったので、すぐにルアーを作るようになりましたね。小6でエアブラシも持っていたと思います(笑)。その流れもあって、大人になってからは雑誌のタックルボックスで求人を出していたスポーツザウルスに入社しました。そこではバルサ50やアクアザウルスのルアー制作に携わっていましたが、もともとトーナメント志向が強かったこともあり、90年代後半にできた「ヴァイパーデザイン」ブランドに異動しました。その後、2003年にザウルスが倒産してしまったのですが、吉田秀雄さんとの繋がりで知り合った今江さんに誘われて、2004年にイマカツに入ったんです。

Q.仕事内容や1日の流れを教えてください

A.「定時後の『閃きの時間』が大切です」

ルアーデザイナーの仕事としては、今江さんの要望、自分自身のアイデアなんかを3D CADを通して試作して、テストして修正してテストして…のひたすら繰り返しになりますね。その他には、量産するルアーの組み立て工程や色塗りの指示、OEM元との打ち合わせなんかもやっています。だいたいここまでで定時になるのですが、それ以降を「閃きの時間」としてアイデア出しの時間として大切にしています。



ワドルバッツ

チドるクランクベイトとして一斉を風靡したワドルバッツ。チドリアクションのために不安定な重心の必要性を考え、長井さんは様々な方法を模索。内部ではなく外部につける何かで重心を安定させないことを思いつき、ブレードを取り付けることとなった。

Q.どんな人に向いている仕事ですか?

A.「トライ&エラーにめげない根気強い人ですかね」

手先はそこそこ器用であれば大丈夫ですね。3Dキャドさえ使えれば誰にでもルアーは作れますし。ただ、根気強さは必要だと思います。ルアーって様々なパーツ(要素)の集まりなんです。だからそれらがちょっと違うだけで全く別物になってしまう。失敗を恐れずに、とにかく根気強く、トライ&エラーできる人に向いていると思います。あとはやっぱり釣り好きにこしたことはありませんね。

Q.仕事のやりがいは何ですか?

A.「ルアーが完成していく過程が面白いんです! 」

成功するにせよ失敗するにせよ、自分の考えたものが少しずつ形になっていく「過程」が面白いです。もちろん、失敗しないほうがいいのですが、ダメならダメで原因を突き止め、新しい発見ができるのがまた面白いんです。それから今の時代はSNSなんかで釣果報告を見るのも励みになりますね。トーナメントのウィニングルアーともなれば、喜びもひとしおです。

Q.収入について教えてください

A.「月収だと」

とあるビッグベイト100個分くらいですかね。

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!