個性的かつ釣れるルアーを数多くリリースしているルアーメーカー・ハイドアップ。
社長の吉田秀雄さんは独立後、ルアー開発や事務作業、出荷、営業などは全て1人でこなしてきたという。その裏には今いるスタッフ、仲間達が支えになってきたことが続けられてきたからこそ。
今年4月で11年目となるハイドアップのビジョンについても語ってもらった。
「今年で11年目。新しいことをどんどんやっていきます」
【Profile】
吉田秀雄(よしだ・ひでお)
ハイドアップ代表取締役社長。スタッガーワイドやコイケなど独創的なルアーを次々と生み出してきた。49歳。
Q.この仕事についた経緯は?
A.「僕がハイドアップを続けるかやめるかでした」
ハイドアップは吉田秀雄さんが社長として会社を切り盛りして丸10年が経ったが、それ以前はハイドアップには経営者がいたという。その頃吉田さんはハイドアップのアングラーとしてトーナメントを中心に活動し、ルアー開発も手掛けていた。
吉田「僕がバス釣りに集中する環境を社長は作ってくれましたね。恵まれてましたよ。大変だったと思いますが、大変だったと思うのは逆の立場になって初めて理解した。しかしこのままでいいのかという状況に変わってきて、独立するかしないかの話になってきました。当たり前ですよね。釣りしかしてなかったのですから。そうなるとハイドアップをやめるか僕が引き継いで続けるかの2択しかなかった」
吉田「それと、独立して10年間は定番商品を中心にメーカーとしての土台を作りたいという目標もありました。常に買えるワームをずっと売り続けていくのは難しいけど、いつもお店で買えることがお店にとってもお客さんにとっても一番大事だと思ってます。もっといえばスタッフの永野(総一朗)とか武田(栄喜)とか乃村(弘栄)とか、スタッフ全員がそれぞれの自己力を高めて、今後はそれを武器にしていきましょうという10年間でした」
Q.仕事内容や1日の流れを教えてください
A.「昔は開発から出荷まで、全部1人でやってました」
吉田「ルアー開発はもちろん、パーツの調達、営業、出荷、事務的な仕事、展示会の準備やプロモーション。できることは全部1人でやってみたいという気持ちで、全部やってました。独立して3年めぐらいまでは琵琶湖でガイドもやってました。朝5時に起きて仕事して、7時から17時までガイドをして、晩ご飯食べて会社に戻って夜中2時頃まで仕事して寝て、朝5時に起きて……というのを1年半ぐらい続けてぶっ倒れたこともあります」
吉田「最初は右も左も分からなくて、30分で済むことが3時間かかったりもしましたね。15,000パックぐらい手作業でパッケージを入れ替えたり、シールを貼ったこともありました。昔は暖房も効かないようなボロボロの倉庫で防寒着を着て作業してました。徹夜で出荷作業をして、気がついたら知り合いが横にいるんですよ。『秀雄さんとこ電気ついてたから、釣り行く前に手伝いに来ました』って。そういう人たちが今ではハイドアップスタッフなんです。釣りの上手さとかじゃなくて、まずは人としてを選択するきっかけになりました。今は社員もいてすごく助かっています」
Q.今後はどういうことをやっていきますか?
A.「ルアーづくりはもちろんですが、ハイドアップというブランドをちゃんと見せていきたいです」
吉田「独立して今年の4月1日で11年目になります。最近は毎日歩いてるんですよ。1ヵ月以上歩き続けて、6kg痩せました。これからメーカーを大きくしていくのが目標で、出すものの量もやることもどんどん増えていくと思うので、周囲を変える前にまず自分が変わろうと。今まで裏方的に動いてた10年間でしたが、僕がやりたいことをもっと全面に出していこうと思います。自分1人では限界があるのですが、変えていこうと色々なチャレンジしていくうちに最近は自分の周囲の環境が良くなってきて何か面白いことをやろう、って人が集まり協力していただける方が増えました。すごくありがたいことです」
Q.どんな人を採用したいですか?
A.「純粋で好奇心旺盛な人ですね」
吉田「何もせずにああだこうだ言うんじゃなくて、なんでもやってみたいという人がいいです。あとは自分が身につけたスキルを、他の人に教えられる人間になってほしい」
Q.収入について教えてください
A.「会社のお金は管理していただいていて」
吉田「普段からあんまりお金使わないんで、その都度必要ならお金を引き出すって感じですね。プラグに換算したら10個ぐらいです、と書いといて下さい(笑)」
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