【ホバーショット/ヴェスパシリーズ(リューギ)】ホバストの始祖とミドストマスターの絶対解フック論



ワカサギなどの小魚を模したワームを用いたホバストやミドストは、春だけでなく近年はオールシーズン欠かせないテクニックとなっている。リザーバーはもちろん、琵琶湖でも数多くのビッグフィッシュがキャッチされている。効果的なアクションを生み出すためには、フックやジグヘッドの選択がこの釣りでは重要だ。各社からリリースされるアイテムについて理解を深めれば、釣果はおのずとついてくるはずだ。今回はホバストの始祖とされる堤治朗さんによるホバスト用フック「ホバーショット」シリーズの解説と、トップ50で活躍するミドストマスター・山岡計文さんの「ヴェスパ」シリーズの解説をお届けしよう。

フワフワリグ改めホバストを世に広めた始祖と奇蹟の開発経緯

【Profile】

堤治朗(つつみ・じろう)

フワフワリグ改めホバストの始祖にして、七色&池原ダムのローカル戦で圧倒的強さを誇る強者。2020年NBC和歌山チャプター第1戦優勝での3尾8295gは圧巻!

ヴェスパの潜在能力を見極め、ヘッドを解体

「ヴェスパを見て『コレ、イケるんちゃうかな』と。それがフワフワリグの始まりです」

ジグヘッドの名作・ヴェスパが登場したのが2018年のこと。

七色ダム戦を控えた前日、スーパーフィンテール(ティムコ*廃盤)のマスバリネイルリグで好反応を得た堤治朗さんに神が降臨した。

「ミドストに反応が良いのは明らか。でも、アワセる度にスッポ抜け…。何かエエ方法はないかと。マスバリのサイズを大きくすると口の中に掛かってラインブレイクのリスクは高く、オフセットだと
掛かりにくく…。なら、コレやと」

ニッパーでヘッドを解体。フックのみをワームにセットすると「ズバッと決まった!」という。

「ただ、でかいのが食うと軸が伸びてしまうのが難点。そこで山岡(計文)プロに相談したんです」

ヘッドを削ってホバリング派の山岡さん、フック+ネイルシンカー派の堤さんは意気投合。2019年、山岡さんが『ホバスト』という名でこの釣りを世に広め、2020年春に『ホバーショット』がリリースへ。線径の微かな太軸化による強化と共にホバリング能力を妨げないホバスト専用フックが誕生した。

ホバーショット/ホバーショットFGプロト(リューギ)

【スペック】

  • サイズ:#3、#2、#1
  • 価格:5本入り495円(税込)

※ホバーショットFGプロトは詳細未定。

カバーから引っ張り出すか、直撃して芯を狙うか

「ここ数年、カバー周りで焦らせて中から引っ張り出して外で食わせてきました」

今季は、いよいよV字ガード付きモデル『FG』が登場予定。

「今度はレイダウンのひとつひとつを舐めるように通せる」

使い分けが肝要だ。

【オープン用セッティング例】

  • ワーム:スーパーホバリングフィッシュ3in(ティムコ)クリスタルシャート
  • フックサイズ:ホバーショット#2

  • ワーム:スーパーホバリングフィッシュ2.5in(ティムコ)インレットマジック
  • フック:ホバーショット#3

【カバー用セッティング例】

  • ワーム:スーパーホバリングフィッシュ3in(ティムコ)クリスタルシャート
  • フックサイズ:ホバーショットFG#2(プロト)
  • ワーム:スーパーホバリングフィッシュ2.5in(ティムコ)インレットマジック
  • フック:ホバーショットFG#3(プロト)

【使用タックル】

  • ロッド:<メイン>MS-X MXS-68ML(メジャークラフト)/<サブ>フェンウィック・エイシスACES61SULJタイトシェイキンスペシャル(ティムコ)
  • リール:コンプレックスCI4+ 2500HGS F4(シマノ)
  • ライン:フロロカーボン3~3.5lb

1本の3分割が可能! 条件に合わせ利便性◎『アジャストネイルTG(リューギ)プロト』

ホバストはホバーショット+ネイルシンカーが基本セッティング。

「今までは0.3gをベースに大小差し替えることで、バスのレンジやバンクの角度に対応してきました」

浅ければ軽く、深ければ重くが基本。

「簡単に3分割できるネイルを開発中です」

超便利!

現在、1本あたり0.15g、0.3g、0.6gの3タイプを開発中。



すべての構造に意味があるミドスト専用ジグヘッドの先駆

【Profile】

山岡計文(やまおか・かずふみ)

紀伊半島ディープセントラル・七色ダムの畔で生まれ育ったバス釣りエリート。昨季の国内最高峰JBトップ50七色ダム戦では、次点に5kg差の独走優勝!

太軸化を良しとせず、細軸のメリット追求

ヴェスパがホバーショットの原型であることは上の項で解説済みだが無論、元々の高い潜在能力があるからこそ新モデルが派生したことに疑いの余地はない。開発を手がけたのは七色ダムのゴッドハンド・山岡計文さんだ

山岡「ミドストに“使える”ジグヘッドがない。そんなときに『俺の要望に100%応えてくれるなら』とリューギと契約しました」

山岡さんのミドストノウハウを完全フィードバックする開発が始まったのは2016年頃のことだ。

山岡「まずはワームキーパーをワイヤー化。ハリの外側に設計することで、背中に薄刺しでも支障が出ない。またウェイトの重心がヘッドの高い位置に集中することでロールしやすくなる」

結び目が下がらない横アイもロールの高回転を後押しする。

山岡「フック形状はフッキング性能と強度を両立するリマリックベンドで、ハリ先はやや内向き。バイトがあったらバスの口の中ではなく、口の出口に掛かる仕組みです」

軸は細く、カエシはごく小さい。

山岡「ハリが伸びるのが嫌だから太軸…という考え方ではありません。細い方が貫通力が高いのは明らか。そして、ハリ先が口の出口でフトコロまで貫通する仕組み。そこまで刺さればハリが伸びることはないんです」

スピニングタックルのラインは太くても6lb。負荷の限界を考慮に入れた絶妙な設計。すべての構造に意味が込められている。

山岡「『モノガードヴェスパ』は、実は今年発売なんですよ」

2018年に発売されたヴェスパの実釣能力は既に多くのアングラーに認知され、自作ガードを装着してカバー攻略に使用する者も多い。

そのため既発売かと思いきや、意外にも未発売だった。

山岡「今後はより小型化、逆に大型化もテスト中です」

次なる発表までしばし待とう。

ヴェスパ/モノガードヴェスパプロト(リューギ)

【スペック】

  • フックサイズ:#3、#2
  • 重量/入り数:1/48oz(0.6g)5本、 1/32oz(0.9g)5本、3/64oz(1.3g)4本、1/16oz(1.8g)4本、3/32oz(2.7g)3本
  • 価格:594円(税込)

※モノガード ヴェスパプロトは詳細未定

背中に真っ直ぐ縫い刺しが基本

山岡「サイズの選び方は、#2が4in用、#3が3in用というのが基本です」

山岡さん、上項の堤さん共に背中に縫い刺ししているのは使用時のズレ防止策。共にフック外側のキーパーがワームの背中に固定される仕組みだ。

今やミドストの超定番ジグヘッドとして君臨するヴェスパ。

山岡「不思議と年を追う毎に出荷数が伸びています」

それは世に本物であることを認知された証だ。

【セッティング例】

  • ワーム:スーパーリビングフィッシュ4in(ティムコ)
  • フックサイズ:モノガードヴェスパ#2(プロト)
  • ワーム:スーパーホバリングフィッシュ2.5in(ティムコ)
  • フックサイズ:ヴェスパ#3

【使用タックル】

  • ロッド:フェンウィック・エイシスACES64SULJ(ティムコ)
  • リール:ヴァンキッシュ2500S(シマノ)
  • ライン:エクスレッド3~5lb(東レ)

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!