釣りそのものの代名詞的存在である「釣り糸(ライン)」。以前はナイロン素材やフロロカーボン素材の透明なラインが主流でした。ここに、2000年頃より新素材として「PEライン」が登場します。当初は船釣りや投釣りで使われていましたが、現在では海のルアーフィッシングなど、あらゆる釣りにおいて主流のラインとなっています。今回はそんなPEラインの特性や、メリット、デメリット、そして選び方やおすすめの商品をご紹介していきます。
PEラインって何?
現在、市販されている主なラインは、素材や構造が異なる4タイプがあります。ナイロンはポリアミド、フロロカーボンはポリフッ化ビニリデン、エステルはポリエステルを素材に用いたモノフィラメント(単一繊維)ラインです。
PEラインの素材は高分子量ポリエチレンで、PEはポリエチレンの略称。日常でもポリ袋やプラスチック製ボトルなどで目にするあのマークです。このPEの極細の原糸を複数本編み込んだり、束ねて一本のラインに仕立てたのがPEラインです。
この素材と構造によって各ラインの特性が生まれますが、PEラインは他の3タイプと比べて大きなメリットが3つあります。
PEラインのメリット
メリット その1:細さのアドバンテージ
PEラインは同号数のナイロン、フロロカーボンより細くて強いのも大きな特長。細さは、キャスティングゲームで飛距離アップに直結。水の抵抗を受けにくくなり、深場や流れの速いエリアがより狙いやすくなります。
メリット その2:圧倒的な低伸度
メインラインとして使われる一般的なナイロンやフロロカーボンの伸び率は25%前後~30%前後のものが多くなります。
一方、PEラインは5%以下でその差は歴然。低伸度=高感度で水中の情報を得やすく、アタリも明確にキャッチできます。糸が伸びないという点においてはルアーや仕掛けの操作性もPEラインの方が敏感に伝わりやすくなります。
メリット その3:抜群の直線強度
引っ張り強度とも呼び、簡単に言えば魚と単純に引っ張り合いをしたときに、PEラインは圧倒的に強い糸といえます。メーカーやアイテムにもよりますが、同号数のナイロン、フロロカーボンの4倍以上の直線強度を発揮します。これは日本の釣り糸の「号数」は糸の太さを表示しているためです。
PEのラインのデメリット
デメリット その1:根ズレに弱い
PEラインは細い原糸を撚り合わせて構成されているので、岩など硬いものに擦れると切れやすいという特性があります。
対策としては、フロロカーボン素材などの「ショックリーダー」と呼ばれる糸をPEラインの先端に結束することで、岩などに糸が触れる「根ズレ」による切断を回避しやすくなります。
なおメーカー各社とも、PEラインの編み方やコーティングなどの技術で耐摩耗性をアップしている商品を開発しています。おおむね「高い=切れにくい」という見方で理解していただいてよいでしょう。
デメリット その2:結び目がほどけやすい
PEラインは他の釣り糸素材よりも糸の表面が滑りやすく、ルアーなどの釣り具に対してナイロンやフロロカーボンで使う結び方では結び目が抜けることがあります。
対策としては、根ズレ対策同様に「ショックリーダー」をPEラインの先端に結束することでライントラブルを減らすことができます。結束する際は「FGノット」など、ラインとラインを結ぶ際に結束力が強い結び方を用いましょう。
【ショックリーダーの役割とは】
ショックリーダーとは、メインライン(PE)となるラインの先に適宜結ぶ“先糸”のことで、一般的にはフロロカーボンやナイロンなどのPEとは異なる素材の糸を使用します。
PEラインのデメリットと言える岩や障害物などによる摩耗の弱さは、ショックリーダーとなるラインを結ぶことで回避しやすくなるのです。
デメリット その3:価格が高め
PEラインはナイロン、フロロカーボンと比べると価格は高めです。ただし吸水や紫外線による劣化は少なく、比較的長持ちするという利点もあります。
弱点をカバーする策があるから、実釣でPEラインのメリットが際立ちます。だからこそ、バスやトラウトなど、ソルト以外の釣種でもPEラインが普及しているわけです。PEライン未体験のビギナーの方も高感度で強くて細いラインに興味津々のはず。次はPEラインの選び方を紹介します。
PEラインの選び方
PEラインに限らずライン選びで重要なのは、ターゲットに合わせた強度(号数)。さらに釣り方や価格で、ラインの質感や編み数を選ぶことになります。初めてのPEライン選びでチェックするべきポイントは次の4つです。
チェックポイント その1:太さ(号数)
ターゲットに合わせた強度を選ぶのが基本中の基本
釣り糸は対象魚に合わせて太さ(強さ)を選び、釣り糸の強度に合わせたタックルをセッティングします。例えばエギングはPEライン0.6号前後の使用を前提とし、ロッドは軽く、しなやかに設計されたものが多いです。
人気釣種でいえばメバル、アジのライトゲームは0.4号以下。シーバスは1号前後が号数選びの目安で、PEライン0.8~1.2号に適合する長さ8~9ftのスピニングタックルがあれば、港周りのシーバスや堤防のライトショアジギングなど、身近なフィールドで幅広い釣種を楽しむことができます」
チェックポイント その2:滑りの良さ
ガイド抜けが良く飛距離アップに貢献
ラインの滑りの良さは、ガイド抜けが良くなりキャストでは飛距離アップに貢献します。より素早いフォールも可能になります。実際に使ってみないとわからない部分ですが、ネットで購入する場合は“~コーティング”や適度な“張り”、“コシ”といったワードがあれば、滑りの良さも期待できます。
チェックポイント3「強度・耐久性」
工法や推しアングラーのセレクトを参考に!
例えば、港湾のシーバスは0.8号で十分。でも荒磯は1.5号は欲しい、といった具合に同じ対象魚でも釣り場のシチュエーションや釣れる魚のサイズで、必要な強度が変わります。
そこを踏まえておけば、基本的に各社からリリースされる最新の工法やコーティングが施されたPEラインは、強度、耐久性が高く安心して使えます。自分が目指すスタイルの著名アングラーが何を使っているかも参考にしましょう。
チェックポイント その4:編み方(編み数)
ライトゲームは耐摩耗性重視の4本編み、エギング、シーバスは高バランスな8本編み
PEラインは同銘柄で4本編み、8本編み、12本編みをラインナップするものもあり、ビギナーのライン選びを悩ませます。覚えておきたいのは、同号数なら編み数が少ないほど原糸1本が太く、耐摩耗性が上がります。でも号数が上がるほど表面が凸凹になり、張りも出やすい。逆に編み数が多いほど原糸1本が細く、表面が滑らかでしなやかな糸質になります。低伸度化され、直線強度も上がります。
と、ここまで説明すれば勘の良い方はもうお気づきのはず。例えば0.4号以下の極細PEラインを使うアジ、メバルのライトゲームは耐摩耗性を重視した4本編みがベターということになります。感度、操作性、飛距離、耐摩耗性のバランスが良いのが8本編み。シーバスやエギングで8本編みを選択するアングラーは多いです。飛距離重視や鯛ラバのように巻き感度を求めるならライン表面が滑らかな12本編み、さらにはその性能をより高めた16本編み…と目的や釣種に合わせた編み数の選択もありです。
ただし、同ブランド同号数なら編み数が多いほど価格は上がります。編み数の選択はフトコロ具合とも相談。4本編みがエギングやシーバスに向かないわけではですからね。
注意点としては、4本編みは1.5号まで。2.0号を超えると糸鳴りや張りがきつくなるので、8本編み以上をおすすめします。
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