千藤卓さんが教えてくれたバスを釣るための戦術、そして+1本の極意はどれもシンプルで実践的。自分自身の経験や得た情報を元に脳内で釣りを組み立てつつも、色気は出さず、堅実な釣りを遂行するというものだ。しかしその先に釣果が待っていることは容易に想像できるし、何よりも釣れたという経験値を確実に獲得していくことができる。バス釣りという、長く楽しめる趣味をゆっくりだが確実に極めていける、うってつけの思考方法を紹介しよう。
ルービックキューブの1面を揃えるイメージ!
『サイズ』も『数』も満足できる簡単な方法があります!
【Profile】
千藤卓(せんどう・たかし)
千藤卓 a.k.a.ニンジャ。陸艇問わず、豊富な知識と経験を武器に活躍する超実践派アングラー。バスオブジャパンや陸王など、競技面での活躍も印象的だ。近年はエリアトラウトの試合にも精力的に参戦している。
1尾目を目指してやること
【その1】朝イチは外せない!
千藤「1日の中でいかにバスを釣るかですが、まずは朝イチの時間帯は外せません。特に人気フィールドでは、夜を抜けてプレッシャーが低い状態が重要です」
【その2】まずは釣れた場所・釣れている場所に行け!
千藤「次に場所選びです。これは経験や情報をもとに決めていきます。例えばよく行くフィールドであれば、それまでに釣れた経験のある場所や、季節的に鉄板な場所。そうでない場所でも、調べるとすぐに出てくるような鉄板場所や、釣れているという情報を元にするのでもいいと思います。釣果の出ている場所は条件のいい場所であることが多く、魚がいる可能性が高いですからね」
【その3】1番釣れるルアーを使え!
千藤「特に朝イチとかって、景気よくビッグベイトで! とか、ファストムービングルアーで広範囲をチェック! とかしたくなりますけど、今のバス釣りはそこまで甘くないです(笑)。2尾、3尾と釣っていきたいのなら、1番釣れる時間に1番釣れる場所で、1番釣れるルアーで魚に触ることが大切なんです。なので、ヤマセンコー・ノーシンカーみたいな、『これを投げていれば釣れるだろう』的なルアーがオススメです」
釣れないときは?
【ノーフィッシュ脱出法】釣れない理由を探してみる。でも早めの決めつけはNG
千藤「例えば、朝イチにインレットのポイントで釣れなかったとして、その日はインレットの日じゃないのかというと、それはまだ決められません。なぜなら、朝イチで入ったつもりが、10分前にほかの誰かがすでにそこで魚を釣ってしまっている可能性もある。つまり場所による要因で釣れなかったとは確定できないんです。そこで釣れなかった理由を考えつつも気にせず、2番目にいい場所、3番目にいい場所と回っていきましょう。それでもダメだった時に、回った場所の釣れなかったであろう要因として被る要素を省いて次の場所を選ぶんです。ルアー選びも同様ですね」
【例】バスは水の流れを嫌っているかも!?
- 1箇所目:インレット×ハードボトム×ベイト多数…NF
- 2箇所目:チャンネルライン×ハードボトム×カバー…NF
- 3箇所目:シェード×クリアアップ×岬の先端…NF
ルアーを半固定して場所をどんどん変えてみる
千藤「一箇所でルアーをローテーションしても、そもそもその場所がその日に釣れない場所であれば時間をかけるだけ無駄になってしまうこともあります。それだったら、ルアーを半固定して、ちょっとでも良さそうな場所をどんどん回っていくのもオススメです。ルアーに迷う必要がない分、釣りのテンポも上がって、バスに出会える可能性もあがりますよ。ルービックキューブって全面を1度に完成させずに、まず1面を揃えるじゃないですか。あのイメージです(笑)」
千藤「ちなみに『半固定』という言い方をしているのは、1つのルアーだけに『固定』してしまうと場所が限らすぎちゃうからです。ピンスポットならヤマセンコーを落とす、広いエリアならクランクを通すみたいな、2本立てのイメージが効率いいと思います」
釣れたときにあと1本を釣る極意
ロマンはなくとも現実的な釣り
千藤「もし1本釣ることができれば、基本的には同じ様な場所を探して、同じ様な釣りをするのが定石ですね。ロマンがないと言われるかもしれませんが(笑)。極論、霞ヶ浦水系でハイシーズンにヤマセンコーを投げ続ければいいんです。琵琶湖ならスワンプのネコリグとかね(笑)。トーナメントでいうリミットメイクってそういうものだと思いますよ。ただ、いい場所に入れていれば、サイズのいい魚も混じってくることはありますよ」
サイズ狙い≒数釣り!?
数釣りでサイズが期待できない、なんてことはない
千藤「琵琶湖でガイドをしていて、小バスを100尾釣ろうとしたとするじゃないですか。そうすると何尾かはデカいのが混じってくるんですよね。魚がたくさんいる『いい場所』って、デカイのがいる可能性も高い。小さいのが先に食ってきちゃうだけなんですよ。だから掛かった小バスをそのまま泳がせていると、デカい魚が食ってくることもある。逆に、サイズに期待してピンスポット、例えば霞水系の水門だったり琵琶湖の取水塔だったりをどんどんまわっていくとするじゃないですか。それで何箇所もでバスが釣れてくれれば、それは結果としては数釣りとも呼べますよね。つまり1日というスパンで見たとき、サイズ狙いも数釣りも大差ないのかもしれません」
釣れないアングラーがやりがちな2つのこと
有名釣り場の裏をかこうとする
千藤「各釣り場に、季節毎に強いメジャーポイントとかってあるじゃないですか。そういった場所には魚がかならずいる、もしくは回ってくるんです。だからメジャーになるくらいの釣果があがっているわけで」
千藤「釣れなくてもタイミングが悪かった可能性もあるし、何度も入り直すのは有効な戦略になります。有名場所だから敢えていかない…みたいな裏をかく必要は全くありませんよ」
新しい情報に惑わさすぎるな!
千藤「今はSNSやYouTubeで次々に新しい情報が簡単に手に入りますが、それはあくまでも流動的な、その時その時の情報に過ぎません。それよりも重要なのは、普遍的な情報。いわゆるシーズナルパターンだったり、各種ルアーの典型的な使い方なわけです。そういった物に限ってインターネットでは探しづらい(笑)」
千藤「これを知るためのおすすめの方法は、例えばルアマガの同じ月号を数年分揃えてみるんです。よく読めば、絶対同じことが書かれているはずです。それこそが時代によって左右されない、普遍的な、重要な情報なんです」
『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報
ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!
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